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中小企業退職金共済制度と助成金|従業員の退職金準備で使える国庫補助ガイド

中小企業退職金共済制度と助成金|従業員の退職金準備で使える国庫補助ガイド - 補助金ガイド - 補助金さがすAI

中小企業退職金共済制度(中退共制度)は、昭和34年に「中小企業退職金共済法」に基づき設立された国の退職金制度です。独力では退職金制度を整備しにくい中小企業を対象に、相互共済と国の助成によって退職金の積み立てを支援します。2025年3月時点で357万5,000人が加入し、運用資産は5兆5,000億円に達しています。本ガイドでは、国庫補助の具体的な金額・申請手続き・注意点・2026年度の最新情報まで詳しく説明します。

制度の概要と仕組み

中退共制度は、事業主が勤労者退職金共済機構(中退共本部)と「退職金共済契約」を結び、毎月金融機関を通じて掛金を納める仕組みです。掛金は事業主が全額負担し、従業員が退職する際に中退共本部から直接退職金が支払われます。

事業主にとって、退職金の管理・支払い業務を外部に委託できるメリットがあります。また、掛金は税法上の損金(法人)または必要経費(個人事業主)として全額算入できます。

項目 内容
根拠法 中小企業退職金共済法(昭和34年制定)
運営主体 勤労者退職金共済機構 中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)
加入者数(2025年3月) 357万5,000人
運用資産(2025年3月) 5兆5,000億円
掛金負担 事業主が全額負担(従業員負担なし)
退職金の受取 中退共本部から退職者本人へ直接支払い

加入要件:対象企業と従業員

加入できる企業は業種ごとに従業員数・資本金の上限が定められています。以下のいずれか一方を満たせば加入可能です。個人事業主も常時雇用する従業員がいれば加入できます。

業種 常時従業員数 資本金・出資額
製造業・建設業・運輸業など 300人以下 3億円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
サービス業 100人以下 5,000万円以下
小売業 50人以下 5,000万円以下

従業員は原則として全員加入(包括加入の原則)ですが、以下の条件に該当する場合は加入させなくても構いません。

  • 期間を定めて雇われている場合
  • 試用雇用期間中の場合
  • 休職期間中の場合
  • 定年等で短期間内に退職することが明らかな場合
  • 加入に反対の意思を表明した場合

法人役員・重複加入に関する注意

法人企業の役員は原則として加入できません。また、建設業・清酒製造業・林業の特定業種退職金共済制度、社会福祉施設職員等退職手当共済制度、小規模企業共済との同一従業員の重複加入は認められていません。

国庫補助の金額と計算方法

国による掛金助成制度は「新規加入掛金助成」と「掛金月額増額助成」の2種類があります。審査による採択ではなく、要件を満たす事業主であれば自動的に適用されます。

① 新規加入掛金助成

加入後4カ月目から1年間(12カ月)、掛金月額の2分の1(従業員1人あたり上限5,000円/月)を国が助成します。

対象 掛金月額 月額助成額 年間助成額(12カ月)
一般従業員(例) 10,000円 5,000円(上限) 60,000円
短時間労働者(特例) 2,000円 1,000円+300円=1,300円 15,600円
短時間労働者(特例) 3,000円 1,500円+400円=1,900円 22,800円
短時間労働者(特例) 4,000円 2,000円+500円=2,500円 30,000円

② 掛金月額増額助成

月額18,000円以下の掛金を増額する場合、増額分の3分の1(10円未満切り捨て)を増額月から1年間、国が助成します。従業員の給与水準に合わせて掛金を引き上げる際に活用できます。

地方自治体による上乗せ補助

国の助成に加え、地方自治体独自の補助制度を設けているケースがあります。例として岐阜県川辺町では「対象掛金×20%(1人あたり年額12,000円上限)」の補助を実施しています。お住まいの自治体の産業振興担当窓口でご確認ください。

申請フローと必要書類

中退共への加入手続きは審査型ではなく登録型のため、要件を満たす事業主が書類を提出すれば契約が成立します。以下の手順で進めます。

  1. 加入対象の従業員全員から同意を取得する
  2. 「退職金共済契約申込書」および「預金口座振替依頼書」を用意する
  3. 中小企業者であることの証明書類(必要な場合:登記簿謄本等)を準備する
  4. 最寄りの取扱金融機関または委託事業主団体の窓口へ提出する
  5. 提出日が契約成立年月日となる(お客様控えを保管)

取扱窓口は以下の通りです。申込金は不要です。

窓口種別 具体例
取扱金融機関 都市銀行・地方銀行・信用金庫等(ゆうちょ銀行・農協・漁協・ネット銀行・外資系銀行は除く)
委託事業主団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、青色申告会、労働保険事務組合、税理士協同組合、TKC企業共済会 等
中退共直轄窓口 中退共本部・相談センター室(東京・池袋)、中退共相談コーナー(名古屋・大阪)

助成開始までのスケジュール

国庫補助(新規加入掛金助成)は加入後4カ月目から開始されます。契約成立月を1カ月目として数えるため、実際の助成開始は加入から約3カ月後です。助成期間は12カ月間です。

申請時の注意点と失敗を防ぐポイント

加入後の運用で注意すべき点を以下に整理します。

掛金設定の考え方

退職金は退職時点の給与水準に見合った金額を支給するのが一般的です。中退共からの退職金は毎月の掛金額に連動するため、勤続年数とともに給与が上がる場合は掛金も引き上げる必要があります。入社時に「退職金規程」へ中退共利用の旨・掛金見直しタイミングを明記しておくと運用が円滑になります。

加入除外対象の確認

以下の事業主は新規加入掛金助成の対象外となります。

  • 同居の親族のみを雇用する事業主
  • 社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している事業主
  • 解散存続厚生年金基金または特定退職金共済事業廃止団体から資産移換を希望する事業主

早期退職による掛金損失に注意

加入後12カ月未満で退職した場合、退職金は支給されず掛金は全額損失となります。12カ月以上24カ月未満の退職では、退職金の支給額が掛金納付総額を下回ります。試用期間中や短期雇用が見込まれる従業員への加入タイミングは慎重に検討してください。

包括加入の原則

中退共制度は原則として雇用する従業員全員を加入させる「包括加入の原則」があります。特定の従業員だけを選んで加入させることは原則として認められていません。

2025〜2026年度の最新情報

厚生労働省は中退共制度について、以下の方針を発表しています。

付加退職金の支給(2026年度)

2026年度に付加退職金(退職金への上乗せ)が2年ぶりに支給されます。支給率は退職金の0.61%で、1人あたり7,000〜8,000円程度(厚生労働省試算)が見込まれます。国内外の株式・外国債券の運用収益が好調なことを受け、加入者への還元として実施されます。

付加退職金の上限撤廃方針

厚生労働省は付加退職金の上乗せ上限を撤廃する方針を示しており、運用収益が好調な場合にはより多くの還元が可能となります。

予定運用利回りの見直し(2027年度末までに)

現在1%に設定されている予定運用利回りについて、日本国債の利回り上昇を踏まえ2027年度末までに見直す方針が示されています。利回りが引き上げられれば、退職金額の増加につながります。

加入促進強化月間(毎年10月)

独立行政法人勤労者退職金共済機構は毎年10月を「中小企業退職金共済制度の加入促進強化月間」と定め、厚生労働省等の後援のもとに加入促進活動を実施しています。10月前後に問い合わせ・加入相談が集中する傾向があります。

関連制度・退職金準備の選択肢

中退共以外にも退職金準備に使える制度があります。自社の規模・対象者に応じて使い分けや組み合わせが可能です。

制度名 主な対象 特徴
中退共制度 中小企業の従業員 国庫補助あり。事業主が全額負担。退職金は中退共本部から直接支払い
小規模企業共済 従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の個人事業主・会社役員 中退共との重複加入不可。経営者自身の退職金準備に活用
確定給付企業年金(DB) 主に大・中堅企業の従業員 給付額があらかじめ確定。中退共からの資産移換も可能
企業型確定拠出年金(DC) 企業に勤める従業員 従業員が自ら運用商品を選択。退職・転職時にiDeCoへ移換可
建設業退職金共済(建退共) 建設業(規模不問) ゼネコンから一人親方まで加入可。他制度からの掛金通算が可能

中退共から確定給付企業年金(DB)または企業型DCへの資産移換制度もあります。事業拡大等により中小企業の要件を外れた場合、従業員からの請求に基づき解約手当金相当額を他制度へ移換することが可能です。

退職金制度の選択に迷う場合は、 補助金・助成金の検索ガイド一覧 も参考にしてください。

まとめ

  • 中退共制度は昭和34年設立の国の退職金制度で、2025年3月時点で357万5,000人・運用資産5兆5,000億円の実績がある
  • 新規加入掛金助成として、加入後4カ月目から1年間、掛金月額の2分の1(上限5,000円/月・従業員1人あたり)を国が助成する
  • 短時間労働者(特例掛金月額4,000円以下)には上乗せ助成(月300〜500円)がある
  • 月額18,000円以下の掛金を増額する場合、増額分の3分の1を1年間助成する「掛金月額増額助成」も活用できる
  • 2026年度は付加退職金として退職金の0.61%(1人あたり7,000〜8,000円程度)が支給される予定
  • 付加退職金の上乗せ上限撤廃・予定運用利回りの2027年度末までの見直しも方針として示されている
  • 加入後12カ月未満の退職では退職金が支給されないため、掛金設定・加入タイミングの慎重な検討が必要
  • 申請は取扱金融機関または委託事業主団体の窓口で行い、審査不要・申込金不要で手続きできる
  • 地方自治体による上乗せ補助も存在するため、所在地の自治体窓口に確認する価値がある

参考情報

本ガイドは以下の公的情報源に基づき2026年3月30日時点の情報を整理したものです。制度の詳細・最新情報は各機関の公式サイトまたは窓口でご確認ください。

中退共本部・相談センター室(東京・池袋)への電話相談:03-6907-1234(土日祝・年末年始を除く)

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