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事業所内保育施設の開設で使える補助金・助成金|保育施設整備・運営費支援ガイド

事業所内保育施設の開設で使える補助金・助成金|保育施設整備・運営費支援ガイド

従業員の育児支援と待機児童解消を目的として、事業所内保育施設の設置・運営に対する公的助成制度が整備されてきました。ただし、国の二大制度であった厚生労働省の「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」は平成28年4月で、後継の「企業主導型保育事業」も令和3年6月で新規受付を終了しており、2026年6月時点で新規開設に使える支援は、市区町村の認可を受ける「事業所内保育事業」(地域型保育給付)や自治体独自の補助金が中心です。本記事では各制度の経緯と現在の選択肢、対象要件・補助額・申請フロー・注意点を具体的なデータとともに解説します。

1. 制度の概要と目的

事業所内保育施設への支援制度は、育児休業等の取得促進など子ども・子育て支援に積極的に取り組む事業主を支援することで、企業における保育環境整備を促進し、待機児童問題の解消と仕事と子育ての両立を図ることを目的としています。

国の主要な制度は以下の2つでしたが、厚生労働省の助成金は平成28年4月で、企業主導型保育事業は令和3年6月で、いずれも新規受付を終了しています。2026年6月時点で新規開設を支援する公的制度は、市区町村認可の「事業所内保育事業」(子ども・子育て支援新制度の地域型保育事業)として運営費給付を受ける方法と、自治体独自の補助金が実質的な選択肢となります。

制度名 所管 新規申請
事業所内保育施設設置・運営等支援助成金 厚生労働省(都道府県労働局雇用均等室) 平成28年4月で新規受付終了(企業主導型保育事業へ移行)
企業主導型保育事業助成金 こども家庭庁・公益財団法人児童育成協会 令和3年6月で新規受付終了(再開未定)

国の二大制度はいずれも新規募集停止中

厚生労働省の事業所内保育施設設置・運営等支援助成金は平成28年4月で新規計画の認定申請受付を停止し、企業主導型保育事業へ役割が引き継がれました。その企業主導型保育事業も令和3年6月で新規受付を終了し、令和4年度以降の新規募集・定員増は実施されておらず、2026年6月時点でも再開は発表されていません。待機児童解消に必要な保育定員数が概ね確保されたことが理由とされています。新規開設を検討する場合は、市区町村認可の事業所内保育事業(地域型保育給付)および自治体独自の補助金を中心に検討してください。

2. 対象者・申請要件

本セクションは旧制度の参考情報です

事業所内保育施設設置・運営等支援助成金は平成28年4月で新規受付を終了しています。以下の要件は旧制度のものですが、保育士配置基準や認可外保育施設指導監督基準は現在も事業所内保育施設の運営に共通して求められる水準であるため、参考情報として掲載します。

事業所内保育施設設置・運営等支援助成金の申請対象者は、雇用保険適用事業所の事業主または事業主団体でした。以下の要件を満たす必要がありました。

事業主の基本要件

  • 雇用保険適用事業所の事業主または事業主団体であること
  • 助成金の審査に必要な書類を整備・保管し、都道府県労働局長の求めに応じて提出・提示できること
  • 労働局の実地調査に協力できること
  • 企業内保育所に関し、国等から同種の補助金を受けていないこと
  • 過去5年以内に同一施設の整備に対して国等から同種の補助金を受けていないこと

施設の要件

  • 0歳から小学校入学前までの子どもの全部または一部が利用できること
  • 就業形態・雇用形態・職種などによって従業員の利用に制限を設けないこと
  • 認可外保育施設指導監督基準を満たす施設であること(児童福祉法に基づく認可外保育施設のため都道府県の指導対象)

保育士配置基準

対象年齢 保育士1人あたりの児童数
0歳児 3人につき保育士1人以上
1〜2歳児 6人につき保育士1人以上
3歳児 20人につき保育士1人以上
満4歳以上 おおむね30人につき保育士1人以上

運営費支給における利用率要件

申請対象期間の1日の平均保育乳幼児数(現員)が、施設定員の一定割合以上であることが支給要件となります。

事業主区分 必要充足率
大企業 定員の6割以上
中小企業 定員の3割以上

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3. 補助額・補助率の詳細

事業所内保育施設設置・運営等支援助成金(新規受付終了)では、設置費と運営費の両方について助成を受けることができました。以下は旧制度の助成水準の参考情報です。

設置費(新築・増改築)

新築・増改築の場合、建築工事費・設備工事費・外構工事費・設計監理料が助成対象となります。助成率は大企業・中小企業ともに1/3です。

設置費の対象外経費

以下の費用は助成対象外となります。
・土地の取得費用
・土地および建物の賃借料
・整地のための費用
・既存建物の取り壊しまたは内装部分の取り壊し費用
・備品費

運営費

項目 内容
支給対象期間 運営開始日(従業員が最初に利用を開始した日)から連続する10年間
通常型 1日の運営時間が11時間未満の施設(施設規模に応じた支給限度額あり)
時間延長型 1日の運営時間が11時間以上の施設(通常型より支給限度額が高い)

企業主導型保育事業(参考:新規募集停止中)

現在は新規募集が停止していますが、制度の水準を参考として記載します。整備費は工事費用の3/4相当が交付され、認可施設とほぼ同水準の助成が行われていました。運営費については、東京都特別区で定員20名(満2歳以上受け入れ、11時間開所、週7日未満)の保育所の場合、年間3,400万円前後の助成となる水準でした。

4. 申請フロー・手続きの流れ

旧助成金では、設置費・運営費・増築費・保育遊具等購入費のいずれも、認定申請書の受理→審査→認定決定→支給申請書の受理→審査・建築士査定→支給決定という流れで進んでいました。新規受付は終了していますが、STEP 2の認可外保育施設届の提出など、現在も事業所内保育施設の開設時に必要な手続きが含まれるため、参考として流れを掲載します。自治体独自の補助金を利用する場合の手続きは各自治体の要綱に従ってください。

STEP 1:設置・運営計画の認定申請

設置・運営計画または増築計画の認定申請を都道府県労働局へ提出します。認定決定日の翌日から1年以内に保育施設の設置・運営を開始し、その後に設置費の支給申請を行います。なお、定員数は自社労働者の利用希望アンケート調査結果に基づいて設定することが求められます。

STEP 2:認可外保育施設届の提出

事業所内保育施設は児童福祉法上の認可外保育施設に該当します。施設所在地の市町村保育担当課へ「認可外保育施設設置届」を提出してください。

STEP 3:設置費支給申請

施設の設置完了後、必要書類を揃えて支給申請を行います。建築士による査定が含まれるため、工事関係書類の整備が重要です。

STEP 4:運営費支給申請

運営計画の認定申請を提出後、施設の運営を開始してから運営費の支給申請を行います。運営開始から10年間が支給対象期間となります。

申請タイミングと書類整備に注意

認定申請から施設開設、支給申請まで一連の手続きには時間がかかります。申請書類の不備や提出期限の超過は支給対象外となる場合があります。都道府県労働局雇用均等室への事前相談を早めに行い、必要書類のリストを確認することを推奨します。

5. 申請時の注意点・よくある失敗

自治体補助金等を申請する場合も含め、以下の点は特に確認が必要です。見落としによって助成金・補助金を受けられないケースが発生しています。

同種の補助金との併給は不可

企業内保育所に関し、国等から同種の補助金の交付を受けている場合、この助成金の支給を受けることはできません。また、過去5年以内に同一施設の整備に対して国等から同種の補助金を受けたことがある場合も、整備に関する補助金の支給対象外となります。複数の制度を検討する際は必ず窓口に確認してください。

主な注意点一覧

  • 定員数の設定は利用希望アンケートの結果に基づく必要がある(恣意的な設定は認められない)
  • 雇用形態・就業形態・職種による従業員の利用制限は設けられない
  • 認可外保育施設指導監督基準を満たす施設運営が求められる(都道府県の指導対象)
  • 運営費の支給には1日平均現員が定員の6割(中小企業は3割)以上であることが必要
  • 書類の整備・保管を怠ると審査に支障が生じる場合がある
  • 土地取得費・賃借料・備品費は設置費助成の対象外

6. 関連補助金・併用できる支援制度

厚生労働省の助成金に加え、自治体独自の補助金や他省庁の支援制度と組み合わせることで、開設・運営コストを効果的に軽減できる場合があります。ただし、同種の補助金との併給禁止規定に注意が必要です。

制度名 所管 主な用途
保育所等整備交付金 こども家庭庁 保育所・小規模保育事業所の新設・修繕・整備費用(国1/2、市区町村1/4、申請者1/4が基本)
保育所等改修費等支援事業 こども家庭庁 賃貸物件を使用した保育所設置・幼稚園の長時間保育実施・認可外施設の改修費用
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金、2026年度に名称変更) 経済産業省(中小企業基盤整備機構) 中小企業・小規模事業者のITツール・AI活用ツール導入による業務効率化(通常枠は補助額5万〜450万円・補助率1/2以内等)
保育所等ICT化推進事業 こども家庭庁 ICT機器・インターネット環境・入退室管理端末・キャッシュレス決済機器の導入(令和7年度:1施設あたり20万円枠拡充)
働き方改革推進支援助成金 厚生労働省 中小企業の年次有給休暇取得促進に向けた就業規則整備等

自治体独自の補助金(例:埼玉県)

埼玉県では、定員6名以上の企業内保育所を新たに開設する場合、施設整備に要する経費が補助されます。また、既存の企業内保育所が6名以上の定員増に伴い保育室面積を9.9平方メートル以上増加させる拡充整備をする場合も補助対象となります。自治体によって独自の補助制度が設けられているため、施設設置予定地の都道府県・市区町村窓口への確認が重要です。

民間財団の助成

一般財団法人第一生命財団では、保育計画に関わる遊具・運動器具・楽器等備品の購入費用の一部を助成しています。対象は全国の認可保育所・地域型保育事業・企業主導型保育事業・地方単独保育施設・認定こども園です。施設整備後の備品充実に活用できます。

7. 2025〜2026年度の最新動向

制度は毎年度見直しが行われます。申請前に最新の公募要領・通知を必ず確認してください。

ICT化支援の拡充(令和7年度)

令和7年度から、こども誰でも通園制度の実施に伴うICT機器導入支援として、空き枠の登録・管理を行うためのICT機器・インターネット環境整備、入退室管理用タブレット端末、キャッシュレス決済機器の導入費用の一部について、1施設あたり20万円の補助枠が拡充されています。

保育所等整備交付金の補助率

基本の補助率は国1/2・市区町村1/4・申請者1/4ですが、新子育て安心プランへの参加等一定要件を満たす場合は国2/3・市区町村1/12・申請者1/4という優遇が適用されます。

こども誰でも通園制度の全国実施(2026年度〜)

就労要件を問わず月一定時間まで保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」が、2026年度(令和8年度)から全国の自治体で本格実施されています。既存の事業所内保育施設・企業主導型保育施設でも空き定員を活用した受け入れが想定されており、施設の稼働率向上策として注目されています。実施方法は自治体ごとに異なるため、所在地の市区町村に確認してください。

企業主導型保育事業の今後

企業主導型保育事業は令和3年6月で新規受付を停止して以降、令和4年度から令和8年度まで新規募集・定員増は実施されておらず、2026年6月時点でも再開は発表されていません。既存施設への運営費助成・巡回支援は継続されています。新規開設は、市区町村認可の事業所内保育事業(地域型保育給付)や自治体補助金の活用を優先して検討することを推奨します。

まとめ

  • ・国の二大制度はいずれも新規受付終了(厚労省の事業所内保育施設設置・運営等支援助成金は平成28年4月、企業主導型保育事業は令和3年6月)。2026年6月時点で再開は未発表
  • ・現在の新規開設の実質的な選択肢は、市区町村認可の「事業所内保育事業」(地域型保育給付)自治体独自の補助金
  • ・旧助成金では設置費の助成率は大企業・中小企業ともに1/3、運営費の支給期間は運営開始から10年間だった(参考情報)
  • ・保育士の配置基準(0歳児3人につき1人、1〜2歳児6人につき1人等)を必ず満たすこと
  • ・国等から同種の補助金を受けている場合は併給不可。過去5年以内の同一施設への同種補助金交付がある場合も対象外
  • ・自治体独自の補助金(例:埼玉県の企業内保育所補助金)やICT化推進事業補助との組み合わせも要検討
  • ・申請手続きは複雑であるため、都道府県労働局雇用均等室への早期相談が重要

参考情報・公式窓口

最新の要件・補助額・申請様式は必ず各公式サイトで確認してください。制度は毎年度改正される場合があります。

  • 厚生労働省「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」
    https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu01/
  • こども家庭庁「企業主導型保育事業」
    https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/ryouritsu
  • 企業主導型保育事業ポータルサイト(公益財団法人児童育成協会)
    https://www.kigyounaihoiku.jp/
  • 埼玉県「企業内保育所補助金」
    https://www.pref.saitama.lg.jp/workstyle/nursery/josei.html
  • ミラサポplus(経済産業省)中小企業向け補助金情報
    https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/

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この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

X-HACK Inc. 代表取締役。システムコンサルタントとして中小企業の基幹システム構築・業務設計に携わったのち、自ら起業。小規模ビジネスの立ち上げから黒字化までを複数回経験し、採用・資金調達・補助金申請の実務にも精通。「補助金さがすAI」の開発・運営を通じて、経営者が本当に必要とする情報を現場目線で発信しています。

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