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アルバイト・パート雇用で使える助成金・補助金|人件費削減・採用支援ガイド

アルバイト・パート雇用で使える助成金・補助金|人件費削減・採用支援ガイド

パート・アルバイトをはじめとする非正規雇用労働者を雇用・育成する事業主は、厚生労働省が提供する複数の助成金制度を活用できる。キャリアアップ助成金(正社員化コース)では1人あたり最大80万円、特定求職者雇用開発助成金では最大240万円など、返済不要の支援金が用意されている。本記事では、代表的な4つの助成金について、対象要件・補助額・申請フロー・注意点を具体的な数値とともに整理する。

主要助成金の概要比較

パート・アルバイト雇用に関連する主要な助成金制度は以下の4つに大別される。目的・補助上限・管轄窓口がそれぞれ異なるため、自社の課題に合った制度を選択することが重要だ。

助成金名 主な目的 補助上限(目安) 主な窓口
キャリアアップ助成金 非正規→正社員への転換促進 1人あたり最大80万円 都道府県労働局
業務改善助成金 最低賃金引き上げ+設備投資支援 事業主単位で年間600万円 都道府県労働局
トライアル雇用助成金 就職困難者の試行雇用支援 月額4〜5万円×最長3か月 ハローワーク
特定求職者雇用開発助成金 高齢者・障害者等の雇用促進 1人あたり最大240万円 ハローワーク

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主に支給される助成金。2025年4月以降、「重点支援対象者」の概念が導入され、助成額と対象範囲が見直されている。さらに令和8年度(2026年度)には、正社員転換制度の概要や転換実績を自社サイトまたは「しょくばらぼ」で公表した場合に1事業所あたり20万円(大企業15万円・1事業所1回限り)を上乗せする「情報公表加算」が新設された(令和8年4月8日以降の転換が対象)。

助成額(中小企業の場合)

対象者区分 助成額(1人あたり) 支給タイミング
重点支援対象者 80万円(40万円×2回) 転換後6か月・12か月の賃金支払後
上記以外の有期雇用労働者等 40万円(第1期のみ。第2期の満額受給は重点支援対象者に限る) 転換後6か月の賃金支払後

重点支援対象者の要件(A〜Cいずれか)

  • A:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
  • B:雇い入れから3年未満で、過去5年間の正社員期間が合計1年以下かつ過去1年間に正社員として雇用されていない
  • C:派遣労働者、母子家庭の母等・父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定訓練修了者

申請フロー

  1. キャリアアップ計画書を労働局に届け出る(2025年度より「届出のみ」に簡略化)
  2. 計画に基づき非正規労働者を正社員に転換する
  3. 転換後6か月分の賃金を支払った翌日から2か月以内に第1期申請
  4. 転換後12か月分の賃金を支払った翌日から2か月以内に第2期申請

運用の厳格チェックに注意

就業規則・労働条件通知書・給与計算の書類が揃っているだけでなく、「法律どおりの運用が正しくなされているか」が厳格に審査される。形式的に書類を整えるだけでは不支給となるケースがある。1事業所あたり年間最大20人まで申請可能。なお、転換要件である「転換前後で賃金3%以上増額」については、令和8年10月1日以降の転換から、選択制企業年金(企業型確定拠出年金)の事業主掛金が算定対象外となる点にも注意が必要だ。

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業務改善助成金

事業場内の最低賃金を引き上げ、かつ生産性向上のための設備投資を行った中小企業・小規模事業主に対し、その費用の一部を補助する制度。令和8年度(2026年度)は通年募集から短期集中型へ変更され、交付申請の受付は2026年9月1日に開始される。締切は申請事業場の都道府県の地域別最低賃金発効日の前日、または2026年11月30日のいずれか早い日となる。

受給要件(3つすべてを満たすこと)

  • 中小企業・小規模事業主であること(みなし大企業を除く)
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

補助上限と2026年度(令和8年度)の変更点

項目 従来 2026年度(令和8年度)
助成上限の単位 事業場単位で年間600万円 事業主単位で年間600万円(複数事業場でも事業主全体で上限600万円)
申請受付期間 通年募集 2026年9月1日開始の短期集中型(締切は地域別最低賃金発効日の前日または11月30日の早い日)
コース体系 30円・45円・60円・90円等の4コース 50円・70円・90円の3コースに再編(30円・45円コースは廃止)
助成率の区分 事業場内最低賃金の水準別に設定 事業場内最低賃金「1,050円」を基準に見直し(詳細は最新の交付要綱を確認)

交付決定前の着手は対象外

賃上げの実施・就業規則の改訂・設備投資は、いずれも交付決定通知を受け取った後に実施しなければならない。交付申請書提出前に取り組んだ賃上げや設備購入は助成対象外となるため、順序を厳守すること。

トライアル雇用助成金

職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3か月間試行雇用し、その適性・能力を見極めながら期間の定めのない雇用への移行を促す制度。雇用リスクを軽減しつつ人材確保につなげられる点が特徴。令和8年度も一般トライアル・障害者トライアル・障害者短時間トライアル・若年/女性建設労働者トライアルの4コース体制で継続しており、支給額等に大きな変更はない。

助成額

対象者 月額助成額 支給期間
一般対象者 月額4万円/人 最長3か月
母子・父子家庭の親、または認定事業主が35歳未満を雇用する場合 月額5万円/人 最長3か月

申請フローの要点

  1. ハローワークにトライアル雇用求人を申し込む
  2. ハローワークの紹介を経て面接・雇用契約を締結する
  3. 試行雇用期間(原則3か月)中に適性・能力を確認する
  4. 雇用終了後、所定の支給申請書をハローワークへ提出する

就労日数が少ないと助成額が減額

実際の就労日数が少ない場合、受け取れる助成金額も比例して減少する。勤務シフトの設計段階から十分な就労機会を確保する計画が必要。

特定求職者雇用開発助成金

高年齢者・障害者など就職が特に困難な求職者を継続雇用労働者として雇い入れた事業主に対し支給される助成金。対象者の属性に応じて複数のコースに分かれており、特定就職困難者コースでは1人あたり最大240万円が支給される。なお、通常の1.5倍を助成する「成長分野等人材確保・育成コース」は令和7年度末で廃止された。

主なコースと補助上限

コース名 主な対象者 最大助成額(目安)
特定就職困難者コース(高年齢者・母子家庭の母等) 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母等 60万円/人(中小企業。大企業50万円)
特定就職困難者コース(障害者) 身体・知的障害者(重度等を除く)/重度障害者等 120万円/人〜最大240万円/人(中小企業)
その他のコース 対象属性により異なる コースごとに設定

自社独自採用では対象外になる

特定求職者雇用開発助成金は、ハローワーク・地方運輸局・特定地方公共団体・有料無料職業紹介事業者などの紹介を経て雇い入れた場合のみ対象となる。自社で採用活動を行い、採用後にハローワークへ相談しても対象外となるため、採用活動の開始前に必ずハローワークへ求人申し込みを行うこと。

令和8年度からの運用変更

令和8年4月1日以降の支給申請分から全コース共通で賃金台帳の提出が必須となり、賃金支払いの実態が確認できない場合は不支給となる。また令和8年5月1日以降、60歳以上の高年齢者については、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている者が対象となり、助成金対象であることを明示した職業紹介を経た雇入れのみ支給申請が可能となった。

共通の申請準備:就業規則の整備

上記いずれの助成金においても、就業規則の整備が前提条件となる。労働時間・休日・賃金のルールが明文化されていない、あるいは実態と乖離した古い規則のままでは申請が受理されないケースがある。助成金申請を検討する段階で、以下の書類の有無と最新性を確認する。

  • 就業規則(常時10人以上の事業場では労働基準監督署への届出が法定義務)
  • 労働条件通知書(雇用形態ごとに整備)
  • 賃金台帳・出勤簿(実態と一致していること)
  • キャリアアップ計画書(キャリアアップ助成金の場合)

社会保険労務士への相談が有効

助成金は返済不要の支援金だが、要件を厳格に満たしていることが前提であり、不備があると不支給・返還命令の対象となる。申請前に厚生労働省の最新パンフレットを確認のうえ、必要に応じて社会保険労務士に相談することを推奨する。

関連支援制度(併用を検討できる助成金)

パート・アルバイト雇用に直接関係するものに加え、以下の関連制度との組み合わせで、採用・育成・職場環境整備のコストをさらに低減できる場合がある。

制度名 支援内容 主な窓口
人材開発支援助成金 職業訓練・OJT等の人材育成費用を助成 都道府県労働局
両立支援等助成金 育休取得・職場復帰支援制度の整備を助成 都道府県労働局
働き方改革推進支援助成金 長時間労働是正・柔軟な働き方の導入を支援 都道府県労働局
人材確保等支援助成金 テレワーク・外国人労働者支援・建設分野等の職場環境整備を助成 都道府県労働局

2026年度(令和8年度)の政策動向

政府は「賃上げを起点とした成長型経済の実現」を掲げており、令和8年度の雇用関係助成金は賃上げ・正社員化の後押しを軸に複数の改定が行われた。2026年6月時点の主な変更点は以下のとおり。

  • キャリアアップ助成金:正社員化コースに「情報公表加算」(中小企業20万円・大企業15万円、1事業所1回限り)を新設(令和8年4月8日以降の転換が対象)
  • キャリアアップ助成金:「年収の壁」対策の時限措置だった「社会保険適用時処遇改善コース」は令和7年度末で廃止。令和8年度は正社員化・賃金規定等改定・賃金規定等共通化・賞与/退職金制度導入・短時間労働者労働時間延長支援の5コース体制
  • 業務改善助成金:申請受付を2026年9月1日開始の短期集中型に変更し、賃金引上げコースを50円・70円・90円の3コースに再編。助成上限は事業主単位で年間600万円
  • 特定求職者雇用開発助成金:成長分野等人材確保・育成コースを廃止し、賃金台帳の提出を必須化(令和8年4月〜)
  • 人材開発支援助成金:長期教育訓練休暇制度に「新規採用助成」「職務代行助成」を新設(令和8年4月8日〜・中小企業対象)

制度改定のタイミングに注意

助成金の要件・助成額・申請期限は年度ごとに改定される。申請前には必ず厚生労働省の最新パンフレットまたは管轄の都道府県労働局に最新情報を確認すること。

まとめ

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、重点支援対象者を正社員転換した際に1人最大80万円(第1期40万円+第2期40万円)が支給される。令和8年度からは情報公表加算(中小企業20万円)も新設
  • 業務改善助成金は中小企業が事業場内最低賃金を引き上げ設備投資を行う際に年間最大600万円(事業主単位)を補助する。2026年度の申請受付は9月1日〜11月30日(地域別最低賃金発効日の前日までの場合あり)の短期集中型
  • トライアル雇用助成金は就職困難者を試行雇用する際に月額4〜5万円×最長3か月を支援し、採用リスクを軽減できる
  • 特定求職者雇用開発助成金は高齢者・障害者等の雇用で1人最大240万円が支給されるが、必ずハローワーク等の紹介経由で採用する必要がある(令和8年4月からは賃金台帳の提出も必須)
  • どの助成金も就業規則の整備と法律どおりの運用が前提条件であり、書類の形式的な整備だけでは不支給となるリスクがある
  • 交付決定前の賃上げ・設備投資は業務改善助成金の対象外となるため、手続きの順序を厳守する
  • 令和8年度は情報公表加算の新設・社会保険適用時処遇改善コースの廃止・業務改善助成金のコース再編など改定が多いため、最新の支給要領を確認する
  • 申請に不安がある場合は社会保険労務士やハローワーク、よろず支援拠点への相談を活用する

参考情報

本記事の内容は以下の公式情報源に基づいている。最新の要件・様式は各リンク先で必ず確認すること。

その他の補助金・助成金を検索する場合は 補助金検索トップ または 補助金ガイド一覧 も参照のこと。

この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

X-HACK Inc. 代表取締役。システムコンサルタントとして中小企業の基幹システム構築・業務設計に携わったのち、自ら起業。小規模ビジネスの立ち上げから黒字化までを複数回経験し、採用・資金調達・補助金申請の実務にも精通。「補助金さがすAI」の開発・運営を通じて、経営者が本当に必要とする情報を現場目線で発信しています。

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