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AIライティング比較

【Claude Opus 4.7】AIスクールに入学する前に読む記事

【Claude Opus 4.7】AIスクールに入学する前に読む記事 - コラム - 補助金さがすAI 深夜のデスクに散らばるカード明細とノートPCの青い光、温かいデスクランプの灯り

この記事は、Claude Opus 4.7(Anthropic)が執筆しました。同一プロンプトで8つのAIモデルに書かせた比較企画の1本です。比較記事はこちら

AIはすごい。これは前置きでもポーズでもなく、本気でそう思っている。

俺はChatGPTが出てきた頃から触り続けていて、カード明細にOpenAIとAnthropicとAWSが並ぶ月をもう何回も見てきた。地方に中古の一軒家を買えるくらいは課金している気がする。怖くて総額を計算していない。スクロールしている時にOpenAIの文字がちらっと見えるだけで反射的にスマホを伏せる夜もある。悪いことはしていないはずなのに、なぜか領収書のほうから詰問されている気分になる。

それでも言う。AIはすごい。

文章、調査、議事録、提案書、補助金関連の資料整理、コード、社内ナレッジ、顧客対応の下準備。ここ二、三年で、ホワイトカラーの仕事の中身が静かに、しかし確実に入れ替わっている。WordやExcelが入った時より、変化の角度が急だ。あの時は「使える人」と「使えない人」に分かれただけだったが、今度は「仕事そのものが要らなくなる作業」が混じっている。これはわりと別の話である。

McKinseyは生成AIが年2.6兆ドルから4.4兆ドル分の経済価値を生む可能性があると言っている。日本円で何百兆円という単位で、もはや桁が大きすぎてピンと来ないが、要するに「無視できる流行」ではないということだ。世界経済フォーラムのFuture of Jobs Report 2025は、2030年にかけて何千万という規模で職が動き、リスキリングが必須になると書いている。IMFはもっと露骨で、AIは世界の雇用の約40%、先進国に限れば約60%に影響し得るとブログにまとめている。先進国の60%である。あなたの隣の席の人と、自分のうちのどちらかは入っている計算になる。

しかもAIは画面の中だけで終わらない。

NVIDIAは「Physical AI」という言い方で、AIをロボットや工場、物流、建設、医療の現場に降ろし始めている。Morgan Stanleyはヒューマノイド市場が2050年までに5兆ドル規模になり得ると試算している。冗談みたいな数字だが、出しているのが投資銀行なので、少なくとも資本のほうは本気で計算している。工場のラインに、倉庫の棚の前に、いずれは建設現場と病室にもAIの体が立つ。手元のChatGPTが「ちょっと便利な文章ツール」に見えていた人ほど、この先の数年で景色が変わる。

――だから、「AIはただの流行りでしょ」と言える人より、「これはまずい、何か学ばないと」と感じている人のほうが、たぶん感覚として正しい。

不安なのは、あなたが弱いからではない。

不安は本物だ。だからスクールが増える

大量のタブが重なるノートPCを前に、肩だけが映る人物のオーバーザショルダー

AIが本当にすごいから、不安も本物になる。これは順序として自然なことで、馬鹿にされる話ではまったくない。

「独学でいい」と言われても、何から触ればいいか正直わからない、という人は多い。モデル名、ツール名、プロンプト、RAG、エージェント、画像、動画、自動化、ノーコード、MCP。横文字が多すぎて、入口で疲れる。Twitterを開けば毎週新しいフレームワークが流れてきて、開いたタブを閉じる前に次のタブが増える。これで疲れない人のほうが少し変だ。

体系的に学びたい、という気持ちはまともである。

仕事を失うかもしれない不安、若い人に置いていかれる不安、会社で評価されなくなる不安、副業で出遅れる不安。どれも本物で、どれもちゃんと根がある。そこにAIスクールの広告が刺さるのは、構造として当然のことだ。「未経験から3ヶ月でAI人材」「体系的に学べる」「伴走サポート」「今だけ」。言葉のひとつひとつが、夜中に眠れない時の頭の中身に正確に当てはまる。

焦るあなたは正常だ。これは皮肉ではない。

――で、AIスクールは本当に良い選択肢なのか

ここまで書いて、ようやく問いを立てる。

学ぶ必要があることと、いま30万円や80万円を一括で払うことは、まったく別の話である。

AIに触る必要があるのは確かだ。しかし、「触る前に、困る前に、売るものが何もない状態で高額契約を結ぶ」のは、順番がかなりおかしい。財布の話というより、学びの順番の話だ。

「体系的に学べます」「短期間で稼げます」「今だけ」「残り数名」というフレーズは、不安を整理してくれるように見える。でも、よく見ると判断時間を奪う言葉でもある。冷静になられる前に決済まで連れていきたい、という気持ちが、文末からほのかに匂う。

注意: 焦っている時の契約は、だいたい高くつく。これは経験則というより、もう公理に近い。

海外でも同じことが起きている

上から下へ細くなっていくチラシ、パンフレット、契約書、クレジットカードのフラットレイ

これは日本だけの話ではない。

英語圏では「AI bootcamp」「AI agency course」「prompt engineering bootcamp」「AI side hustle course」のような講座が信じがたい数で増えている。価格帯は497ドル、997ドル、4,997ドルあたりが多い。ドル表記だと少しだけ夢の距離が遠く見えるが、円に直すと一気に現実感が押し寄せる。

販売導線もかなり似ている。無料ウェビナー、低額のフロント商品、本講座、高額コンサル、月額のコミュニティ、という流れだ。海外のレビューを覗くと「YouTubeで無料で学べる内容だった」「Discordはほとんど誰も発言していない」「lifetime accessと書いてあったが、運営が放置している」といった不満が並ぶ。

向こうではこの構造は「course」ではなく「funnel」と呼ばれて批判されることがある。教育ではなく販売導線、という意味だ。日本語で「講座」と聞くと学びに見えるものも、英語で「funnel」と分解されると、急に営業の配管図に見えてくる。

構造は新しくない ――AI時代特有の悪知恵が新しく生まれたわけではない。古い販売導線の上に、AIという熱の高い看板が乗っただけだ。新しいのは単語であって、人が焦る場所ではない。

俺はAIを使っている。かなり使っている

ここで一回、自分の立ち位置を出しておく。

俺はAIを批判する外野ではない。むしろAIに金を使いすぎた人間として書いている。冒頭で書いた通り、地方に家が買えるくらいは課金してきたし、業務でも毎日触っている。社員は7名いるが、全員に徹底的に使わせている。文章、調査、議事録、提案書、補助金関連の資料整理、コード、社内ナレッジ、顧客対応の下準備。触らせない日はほとんどない。

これは精神論ではない。実際にかなり効率化できている。

以前は数日かかっていた資料の下書きが、半日で形になる。長文の調査も、AIに荒く調べさせて自分が確認するほうが、最初から自分で調べるよりずっと速い。コードは168,000行、記事は400本以上書いてきた。ひとりで書いたわけではなく、AIと一緒に書いた。一緒に、と書くと美談に聞こえるが、実際は「AIに雑に投げて、戻ってきたものを直して、また投げる」を延々と繰り返しただけである。地味だ。

AIを導入してよかった、と俺は明確に言える。月の利用料は遠慮なく口座から持っていくが、それ以上のものが残っている。

――だからこそ、これだけははっきり言いたい。

「AIは使える」と「AIスクールに高額入学金を払う」は、別の話だ。

俺はAIに金を払うのが嫌だと言っているのではない。AIに金を払うのは慣れている。慣れているからこそ、AIスクールの入学金を見ると、財布ではなく胃のあたりがざわつく。AIに払う金と、AIへの不安を売る人に払う金は、同じ金額でも匂いがまるで違う。道具に払った金は、失敗しても自分の試行錯誤として手元に残ることがある。不安の鎮静に払った金は、振り込んだ瞬間だけ「もう大丈夫な気がする」という湯気になる。

その湯気で白米は炊けない。請求書も止まらない。

問題は、AIではなく、順番と売り方だ

AIスクールという業態そのものを否定する気はない。きちんと教えている人もいるはずだ。中身が良い講座もあるだろう。

問題は、まだ何を作りたいかも決まっていない人に、いきなり高額契約を結ばせる構造のほうだ。

「あなたはAIを学ぶべきです」は正しい。だが「だから今日50万円払うべきです」は飛躍だ。この二つの間には、本当はかなり長い廊下がある。その廊下を歩かせずに、いきなり奥の決済画面に連れていくのが、粗悪な売り方の本質だと思う。

AIが本当にすごいからこそ、AIの名前を借りただけの粗悪なサービスが目立つようになっている。良い道具のまわりに、悪い看板が立ちすぎている。

ここから少し、よくある売り文句を一個ずつ見ていく。

「AIで月100万円」

「AIで月100万円」「3ヶ月で副業収入」「未経験からAI案件獲得」。広告を開けばどこかで見るフレーズだ。

これらの謳い文句に共通して抜けているのは、「何を、誰に売るのか」である。

AIは制作を速くする。これは本当だ。記事も、画像も、提案書も、簡単なアプリも、昔より圧倒的に速く作れる。だが、AIは販売先までは連れてきてくれない。これは仕様の話で、文句を言っても変わらない。AIで作れるものは増えたが、買わない人が急に買うようになるわけではない。

しかも、AIで作れる人の数も同時に増えている。AIで記事を書ける人はもう山ほどいる。山ほどいる時点で、それは差別化ではなく、駅前にコンビニが一軒増えたくらいの話になる。便利ではあるが、珍しくはない。珍しくないものに、高い単価はつかない。

AIでブログを100本作っても、誰も読まなければ、整った墓石が100本並ぶだけだ。誤字も少なく、見出しも整っていて、それでも誰も来ないサイトのアクセス解析は、わりと心に来る。ゼロは品質を直接責めてこない。ただ黙っている。その黙り方が一番きつい。

「AI副業」という職業はない。あるのは、文章、画像、動画、資料、リサーチ、営業、システムの仕事で、その一部にAIが混ざるだけだ。表計算副業という職業がないのと同じ理屈である。道具の名前を仕事の名前にしている時点で、商売としては少し怪しい。

「体系的に学べます」

未開封のフードプロセッサーの箱の隣で、手でキャベツを千切りしている台所

カリキュラム、ロードマップ、完全初心者OK、伴走サポート。

体系という言葉は便利で、まだ手を動かしていない不安に立派な箱をかぶせてくれる。だが、本当に体系が見えている人は、そもそも体系を箱ごと買う側にはあまりいない。中身が薄くても、箱に「体系」と書くと急に大学っぽくなる。大学っぽいだけで大学ではないし、修了証が出ても就職先が拍手して待っているわけでもない。

用事のない人にAIを渡すと、三日は感動し、四日目に飽き、十日目にはブックマークの墓場に入る。これはツールの問題ではなく、用事の問題だ。

俺の実家には未開封のフードプロセッサーがある。母は今もキャベツを手で千切りしている。便利そうという理由だけで贈った俺が悪い。便利になる前に置物になる、というのは家電に限らない。視聴済みマークだけが増える教材、Notionだけが整う受講生、立派な修了証と空白のポートフォリオ。これらは全部、用事より先に体系を買った結果である。

体系を買う前に、自分の未処理フォルダを開けたほうがいい。

最良の教材は自分の用事だ ――毎日返したくないメール、毎週嫌になる議事録、毎月つらい資料作成、面倒な役所のPDF。そのへんに転がっている用事のほうが、よほど良い教材になる。架空のカフェのSNS投稿を作るより、実際に返したくない上司へのメールを下書きしてもらうほうが、AIのありがたみが体に入る。

「今日だけ」「残り3名」「分割なら月々」

暗いデスクの上の契約書、万年筆、カード、そしてタイマー

無料セミナー、限定価格、分割払い、個別相談。

「今日だけです」は、割引の説明ではなく、判断力にかけられたタイマーである。本当に価値があるものなら、明日になった瞬間に腐るわけがない。「本日限り」と書いてある商品が、翌週の別セミナーでもまた「本日限り」として並んでいるのを見ると、これはもう商品ではなく、こちらの冷静さに有効期限を貼り付けているだけだとわかる。

「残り3名です」と言われたら、席が残り3名なのではなく、自分の判断力が残り3分なのだと思ったほうがいい。

そして分割払いだ。

「49万8,000円が、分割なら月々1万6,000円です」と言われた瞬間、総額が急にスマホ代みたいな顔をし始める。総額は1円も消えていないのに、見え方だけが薄くなる。分割は、金額を小さくしているのではない。痛みを小分けにして、見えにくくしているだけだ。

毎月の痛みが小さいから大丈夫、という理屈は、毎日少しずつ足を踏まれているから平気です、と言っているようなものだ。平気ではない。痛みが分散すると、人はその痛みに気づきにくくなる。気づきにくいというだけで、痛みは確実にそこにある。

「返金保証」「個別相談」

「返金保証あり」と聞くと、人は安心する。だが、その安心が契約書の細字を読ませないための麻酔として使われていることがある。

返金条件をちゃんと読むと、「全課題の提出」「全面談への参加」「期間内の正式な申請手続き」「複数の証明書類の提出」が並んでいたりする。返金保証というより、返金障害物競走である。条件の階段が長すぎて、登り切るころには、もう返してほしい気力のほうが先に退会している。

人は損をしたあと、強くなるのではなく疲れる。だから条件を読む体力があるうちに、契約前に全部読んだほうがいい。契約後の自分を、買う前ほど信用してはいけない。

個別相談の構造

個別相談は表向きには「あなたに合ったプランを探す時間」だが、同時に「断りにくい角度を、相手が静かに測る時間」になり得る。「今の年収はいくらですか」と聞かれた瞬間、教育の話ではなく支払い能力の話が始まっている。「家族に相談すると反対されそうですか」と聞かれたら、それは家族を会話から外すための質問だと思っていい。

注意: まともな買い物なら、誰かに相談されても困らない。反対される可能性を先に潰しにかかる質問は、かなり営業の匂いが濃い。

人生相談から分割払いまでが近すぎる商売は、だいたい近すぎるなりの理由がある。

公的事例で、いったん現実に戻す

ここまではよくある売り文句のパターンの話だった。一段、現実に降りる。

消費者庁は2025年12月25日に、AI副業スクールを運営していたアドネス株式会社に対して、特定商取引法に基づく指示処分を行ったことを公表している。関東経済産業局も同日に同件をリリースしている。これは詐欺認定ではない。「特定商取引法に基づく指示処分」である。ここは正確に書きたい。

公表資料には、契約者の状況として、当時18歳、月収最大5万円程度、主に親からの経済的援助で生活していた消費者に対して、消費者金融での借入と分割払いを案内し、手数料込みで支払総額約77万円の契約を即日締結させた事例が記されている。

これを「極端な例」として遠ざけたい人ほど、その構造に近い場所で商売をしている。本当に無関係なら、もっと静かに読めるはずなのだ。

俺がここでこの事例を出すのは、特定の会社を叩きたいからではない。「支払い能力と高額契約のミスマッチは、現実に行政処分の対象になるほど重い」という事実を、出典付きで一度はっきり置いておきたかったからだ。

不安に駆られた人が、未来の収入で現在の不安を買わされる。半年で稼げるなら売る側が半年後払いにすればいいのに、なぜ最初に借りさせるのか。答えは、契約書を見ればだいたい書いてある。

AIの進化速度が、スクールのカリキュラムを追い越す

ここまでは「売り方」の話だった。次は「中身」の話をする。仮に、まともなスクールがあったとして――講師が誠実で、返金条件も良心的で、煽りもなく、50万円に見合うカリキュラムを本気で組んでいたとして――それでもなお、構造的にどうにもならない問題がある。AIの進化が、カリキュラムの寿命を食い潰しているのだ。

2022年の11月末にGPT-3.5が公開された。あの衝撃から数えて、GPT-4、GPT-4o、o1、そしてGPT-5.5 Pro。たった2年半で5世代。当時「プロンプトエンジニアリング」という言葉が急に輝いて、それだけで講座が成り立った。「AIに正しく指示を出す技術」を教えます、と言えば人が集まった。だが今のモデルに同じプロンプトを投げても、当時の苦心は半分以上が無意味になっている。モデルが賢くなったのだ。こちらが工夫する前に向こうが察してしまう。それ自体はいいことだが、高い金を払って学んだ技法が2年で「いや、もう要らないんですよね」と言われるのは、なかなか残酷な話だ。

消えた目玉機能と古びたフレームワーク

もっと象徴的な例がある。ChatGPTプラグインだ。2023年、あれはOpenAIの目玉機能だった。プラグインを使いこなすための講座や解説記事が雨のように降り、「これを知らないと遅れる」という空気が業界を覆っていた。2024年、廃止。跡形もない。プラグイン活用を看板にしていたコースは、カリキュラムが丸ごと消えた。受講生はすでに払い終わっている。教える側は「次のカリキュラムに進みましょう」と言えるが、払った側の50万円は巻き戻らない。

開発者向けの世界でも同じことが起きている。LangChainというフレームワークがある。2023年にはAI開発の標準とされていた。雑誌も書籍もYouTubeも、LangChainを教えれば間違いないという空気があった。2025年の今、当時の書き方の多くがアンチパターン扱いだ。冗長で非効率で、より簡潔な方法に置き換えられている。LangChainが悪いのではない。変化が速すぎて、1年前に「正しい」とされた書き方が、今は「古い」に変わっただけだ。スクールの教材は、出版物と同じ鮮度の問題を抱えている。印刷した瞬間に劣化が始まる。

画像生成もコーディングも同じ轍

画像生成も同じ道を歩いた。Midjourney v3が出た頃、「プロンプトの書き方で結果が劇的に変わる」と騒がれた。呪文のようにキーワードを並べるテクニックが共有され、それだけでnoteの有料記事やUdemy講座が成立した。v6になって、その呪文はほとんど要らなくなった。自然言語で丁寧に説明したほうが良い画像が出る。呪文を暗記した人は、暗記を捨てるところからやり直すことになった。覚えたものを捨てるのは、知らなかったものを覚えるより難しい。教わった側にとっては二重の手間だ。

コーディング支援の世界を見れば、速度がもっと露骨にわかる。GitHub Copilotが出て、Cursorに移り、Claude Codeが現れ、Devinが来た。ツールが半年ごとに世代交代している。去年「これがベストプラクティスです」と言われた使い方が、今年はもう古い。AIがコードを書く時代に、AIの使い方を体系的に教えるという行為自体が、砂の上に正確な地図を描こうとしているようなものだ。

コスト前提も崩れている。OpenAIのAPI料金は2年間で90%以上下落した。2023年にコスト設計を学んだ人が、その計算を2025年の仕事に持ち出しても通用しない。桁が違う。設計の前提そのものが別の世界になっている。「AIの経済性を理解する」という講義の数字は、卒業証書を受け取る頃にはもう使えない。

体系が3ヶ月で変わる領域で、体系を売ることには無理がある ――50万円のカリキュラムは、作成時点と卒業する3ヶ月後では、前提となるAIの世界がもう別物になっている。教科書が完成した瞬間に改訂が必要になる教科を、半年分の月謝で教える。この構造自体が、講師の能力とは無関係に破綻している。

一方で、各AIツールの公式ドキュメントは無料で、常に最新だ。OpenAIもAnthropicもGoogleも、自社のAIを使ってもらうために本気でドキュメントを整えている。コミュニティも同じだ。Discordの開発者チャンネル、GitHubのdiscussion、X(Twitter)のスレッド。最新の使い方は、いつもそこに落ちている。スクールの教材が更新される頃には、コミュニティではとっくに次の話が始まっている。情報は水と同じで、高いところから低いところへ流れる。無料の場所に先に届いて、有料の教材はそのあとを追いかけている。この順序は、たぶん逆転しない。

AIの使い方は、AIに聞くのがいちばん早い

ここまで書いてきて、ひとつ、どうしても言わずにおけないことがある。自己言及的で、少し奇妙に聞こえるかもしれないが、聞いてほしい。

AIの使い方を学ぶ最良の教師は、AI自身だ。

公式ドキュメントが英語で読めない? AIにURLを渡して「初心者向けに日本語で解説して」と打てば、5分で要点が返ってくる。講師がスライドにまとめるのに3日かけた内容と、精度も鮮度もほとんど変わらないものが、昼休みの残り時間で手に入る。スクールの講師がやっていることを、AI自身がやれる。しかも24時間、待ち時間なしで。この事実を一度も口に出さないスクールがあるとしたら、それはかなり不誠実だと思う。

海外の最新事例が欲しいなら、AIに「この分野の海外事例を、日本の中小企業向けにまとめて」と頼めばいい。英語圏、フランス語圏、中国語圏、どこの情報でもAIは横断して引っ張ってくる。講師がひとりで数週間かけてスライドにする内容より、たいてい新しくて広い。情報の鮮度という一点だけで、人間は構造的に負ける。更新されないスライドは、印刷された瞬間から劣化するが、AIの回答は問いかけるたびに現在地から答える。

自分専用の教材をAIに作らせる

もっと言えば、AIに「自分の業種に特化したAI活用ガイドを作って」と頼めばいい。飲食店なら飲食店の、建設業なら建設業の、会計事務所なら会計事務所の。スクールの汎用カリキュラムより、よほど自分に刺さる教材ができる。スライドも作れる。チェックリストも作れる。動画の台本だって作れる。「自分専用の教材を、AIに作らせる」という行為自体が、すでにかなり高度なAI活用なのだ。スクールに50万円払って汎用の教材を受け取るより、AIに月額3,000円払って自分だけの教材を作り続けるほうが、学びの密度はずっと高い

対話型の学習としても、AIは異様に優秀だ。「さっきの説明をもっと簡単に」「具体例を出して」「うちの会社に当てはめるとどうなる?」。こういう質問を、講師のスケジュールを待たずに、真夜中でも日曜日でも投げられる。相手は嫌な顔をしないし、同じことを10回聞いても怒らない。人間の講師にはある「聞き返しにくさ」が、AIにはない。わからないことを恥ずかしいと思わずに済む環境は、学びにおいてかなり大きい。理解が追いついていない人ほど質問できなくなる、という教室の力学が、AIとの対話では発生しない。

50万円 vs 月額3,000円台 ――ChatGPT Plusが月額3,000円。Claude Proが月額3,400円。Google AI Pro(旧Gemini Advanced)が月額2,900円。年間にしても約4万円台だ。50万円あれば、どのサービスのアンリミテッドプランでも10年以上使える。3ヶ月で中身が古くなるカリキュラムの一括払いと、10年以上伴走してくれる定額制。どちらが賢い投資か、と聞かれたら、俺は笑ってしまうと思う。笑うしかないのだ。

そしてここに、この話の中でいちばん鋭い皮肉がある。AIの使い方を人間に50万円払って教わるより、AIに直接聞いたほうが、正確で、最新で、安い。この事実そのものが、AIの実力の証明だ。AIがすごいと言いながら、AIに聞くことを勧めないスクールは、自分が売っているものの価値を、自分でいちばん信じていない。道具の力を認めながら、道具を使わせない。それは矛盾というより、商売の都合だ。

では、どう学べばいいのか

ここからは、俺が実際にやってきて、社員にも勧めているやり方を書く。難しいことは何もない。

最初は、AIに直接課金する。先生を通さない。中抜きされない。

最初の1ヶ月は、ChatGPT、Claude、Geminiのどれか一つでいい。選ぶ時間で迷うくらいなら、適当にどれかに払って、毎日触ったほうが早い。最初から最適解を探していると、最適解を探すだけの人になる。AI比較表をずっと眺めている時間は、賢そうに見えるが、だいたい何も進んでいない。

触る対象は、教材ではなく、自分の仕事と生活だ。

返したくないメール、面倒な議事録、書きたくない提案書、開きたくないExcel、読みたくない役所のPDF、家族への愚痴、旅行の計画、保険の見直し。なんでもいい。「自分が今日困っていること」をAIに投げる。これを1ヶ月続けると、AIの便利さだけでなく、雑さと嘘の癖まで見えてくる。そこからが本当の勉強で、そこまではただの試食である。

2ヶ月目に、別のAIを足して同じ質問を投げる。答えの違いが、講師の説明より早く体に入る。AIにも個性があって、片方は文章がうまく、片方は調査が強く、片方は妙に自信満々に外す。同僚みたいなものだ。

3ヶ月目に、用途別の道具を足す。画像生成、ディープリサーチ系、コード補助、自動化ツール。順番を間違えると、道具箱だけ立派で作るものがない人になる。ホームセンターで工具だけ買い込んで結局棚一枚作らない人と、構造はかなり似てくる。

順番は、用事、道具、学び、の順だ。逆にすると、何かできそうな気分だけが残る。その気分は軽く、すぐ冷める。

どうしても講座形式が欲しいなら、最初は数千円の録画講座、公式チュートリアル、評判のいいYouTubeやブログで十分である。低額の教材で眠くなる人は、高額講座でもだいたい眠くなる。違うのは、眠気に分割払いがついてくることだけだ。

30万円の気分より、3,000円の習慣のほうが強い。派手ではないが、毎日触るほうが結局遠くまで行く。

それでもスクールに入りたいなら、これだけ聞いてほしい

ここまで読んだ上で、それでも自分には講座が必要だと思う人もいるはずだ。それは否定しない。合う人には合うと思う。

ただ、入る前に、これだけは聞いてほしい。

  • 「で、何が作れるようになるんですか」と聞く。具体名で答えられない講座は、ゴールが霞んでいる。
  • 「講師はいまもその実務で食っていますか」と聞く。過去の栄光だけで売る相手は、現在形の話で霧を出す。
  • 「卒業生の実際の成果物を見せてください」と頼む。感想文ではなく、何を作って誰に売ったかを見せてもらう。
  • 「今日だけですか」と聞く。今日だけなら、明日いらないものだ。
  • 「返金保証の条件を、契約前に全部読ませてください」と言う。空気が悪くなったら、その空気が答えである。
  • 「これは借入なしで払える金額ですか」と自分に聞く。消費者金融や分割払いを勧められた時点で、一度立ち止まる。

この六つに気持ちよく答えてくれる相手なら、たぶん大丈夫だ。一つでも嫌な顔をされたら、その顔がいちばん正直な教材だと思っていい。

最後に

誰もいなくなった雑居ビルのセミナールームに残された、一枚のクリアファイル

AIはすごい。最初に書いたことを、もう一度書く。

ホワイトカラーの仕事は本当に変わるし、ロボティクスやPhysical AIで現実の作業現場まで変わる。McKinseyもWEFもIMFもNVIDIAもMorgan Stanleyも、それぞれの言い方でそう言っている。だから学ぶべきだし、触るべきだし、仕事で使うべきだ。社員7名にも使わせて、実際に効率化できているからこそ言える。

ただ、その不安を止めるためだけに、高額スクールを買う必要はない。

AIスクールに入るな、と言いたいのではない。入る順番を間違えるな、と言いたい。先に道具に触る。先に自分の用事を片づけてみる。先につまずく。それでも足りないと感じた時に、初めて誰かに教えを乞えばいい。その時には、買うべき講座とそうでない講座の違いも、自分の目で見えるようになっている。

――新橋の雑居ビルで、無料セミナーの帰りに見たクリアファイルの男性のことを、今でもときどき思い出す。

50代くらいの真面目そうな人で、配られたチラシをきれいに透明のクリアファイルに入れていた。講師の歯は照明より白く、パイプ椅子のスポンジは死んでいて、後ろの席では20代の女性二人が「副業って何がいいんだろうね」と小声で話していた。会場のドアは誰かが入るたびにガコンと鳴った。あの音だけは、その日の中で一番正直だった。

セミナーの最後に「本日限定49万8,000円」と出た時、あの男性は腕を組んで何か考えていた。俺は何も言えずに会場を出た。あそこで「やめたほうがいいですよ」と声をかけるほど、俺は親切でも勇敢でもなかった。

あの人が申し込んでいなければいい、と思う。申し込んでいたとしても、まだ次の支払いを止めることはできるはずだ、とも思う。

結局のところ、この記事はAIの話というより、あの列に並んだ誰かのカード明細が、今月もう一行増える前に止まればいい、というだけの話なのかもしれない。

AIが本当にすごいから、安っぽく売られるのが嫌だ。

それだけのことを、長く書いた。

この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

Claude・Cursor・Devin・Runway など 200 種類以上の AI ツールに年間 2,000 万円を投じ、自社の経営・開発・マーケティング全業務で使い倒している「AI ツールの実戦投入実験台」。AI 面接ツールおよび AI 動画編集ツール「GenVox」を開発。「補助金さがすAI」では、自分で試して効果があった AI 活用事例と、それに紐づく補助金制度をセットで解説しています。

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