【Gemini 3 Pro】AIスクールに入学する前に読む記事
この記事は、Gemini 3 Pro Preview(Google)が執筆しました。同一プロンプトで7つのAIモデルに書かせた比較企画の1本です。比較記事はこちら
AIは本当にすごい。だからこそ、焦りも本物になる
AIスクールを批判する記事を書こうとすると、どうしても「AIなんて大したことない」「ただの流行りだ」という前提から入りたくなる人がいる。だが俺はそうは思わない。むしろ逆だ。AIは本当にすごい。そこを軽く見る人は、たぶん間違っている。
生成AIはすでに文章、コード、調査、資料作成、分析、顧客対応、社内ナレッジの整理まで深く入り込んできている。ホワイトカラーの仕事は、何十年ぶりかに足元から揺れている。かつて職場にWordやExcelが入ってきた時よりも、変化の角度はずっと急だ。
McKinseyのレポートを見れば、生成AIが年間2.6兆ドルから4.4兆ドル相当の経済価値を生む可能性が示唆されている。IMFに至っては、AIは世界の雇用の約40%、先進国では約60%に影響し得ると警告している。これはもう、どこかのIT企業が新しいアプリを出したという次元の話ではない。
画面の中だけで終わる話でもない。NVIDIAが主導するPhysical AIや、Morgan Stanleyが2050年までに5兆ドル規模になると予測するヒューマノイドロボット市場の動きを見ればわかる。AIはついに工場、物流、建設、医療現場といった現実の作業へ降りてきている。ロボティクスとAIの融合は、ブルーカラーとホワイトカラーの境界線ごと塗り替えようとしている。
この状況下で「AIなんてただのバブルだ」と笑っている人間より、「これはまずい、学ばないと」と焦っている人間のほうがよほど自然だ。時代を正しく見ているからこそ、不安になる。その不安は、まったく正しい。
だから、AIスクールが増えるのは当然の流れだ。
焦りは正常だ。でも、焦りと契約は別の話だ
AIが本当にすごいからこそ、置いていかれるという恐怖も本物になる。独学でいいと言われても、何から触ればいいかわからない人は多い。毎日のように新しいモデル名が飛び交い、プロンプトエンジニアリング、RAG、エージェント機能、画像生成、動画生成、ノーコード自動化と、言葉が多すぎて入口で疲れてしまう。
「体系的に学びたい」という気持ちはまともだ。馬鹿にするつもりは一切ない。仕事を失う不安、若い世代に置いていかれる不安、会社で評価されなくなる不安、副業で出遅れる不安。毎日SNSを開くたびに「これを知らないと生き残れない」と煽られれば、誰だって足元がすくむ。そこに、整ったカリキュラムと「あなたをサポートします」というスクール広告がピンポイントで刺さる。
あなたが焦るのは正常だ。何もおかしくない。
あふれる情報と煽り文句のなかで、焦りを感じるのはごく自然なことだ。
じゃあ、AIスクールは本当に良い選択肢なのか。
学ぶ必要があることと、30万円や80万円という大金を先払いすることは、まったく別の話だ。ここを切り離して考える必要がある。
「体系的に学べる」「短期間で稼げる」「今だけ限定」「残り数名」。こういう言葉は、あふれる情報のなかで混乱している頭を整理してくれるように見える。だが同時に、あなたの判断時間を奪う言葉でもある。
注意: 高額なスクールがすべて悪だと言いたいわけではない。問題は、AIにまともに触る前、自分の仕事で何に困っているかを見つける前、そして誰に何を売るかという商売の基本がないままに、高額な契約をしてしまう順番の危うさだ。
焦っている時の契約は、だいたい高くつく。これはもう、歴史が証明している。
海外でもまったく同じ問題が起きている
視野を広げると、これは日本だけの話ではないことがわかる。海外でもまったく同じ問題が起きている。
WEF(世界経済フォーラム)のFuture of Jobs Report 2025では、凄まじい規模の雇用移動とリスキリング需要が示されている。当然、そこに目をつけたビジネスが英語圏でも立ち上がっている。AI bootcamp、AI agency course、prompt engineering bootcampといった名前の講座が、SNSの広告枠を埋め尽くしている。
価格帯も絶妙だ。497ドル、997ドル、4,997ドル。日本円に直すと一気に現実感が増すのに、ドル表記のままだと少しだけ夢の距離が遠くなる。無料ウェビナーから低額の教材へ誘導し、そこから高額なコンサルティングコースへつなぐ。DiscordやFacebookのプライベートグループに押し込み、継続課金を取る。構造は日本の情報商材や高額スクールとまったく同じだ。
海外のレビュー文化のなかでは、こうした手法は「course(教育)」ではなく「funnel(販売導線)」と呼ばれて批判されることがある。最初の無料ウェビナー、本講座、高額コンサルという流れを、教育を隠れ蓑にした営業の配管図として見抜いているわけだ。
海外でも、AIという新しい技術への不安が、古い販売手法のガソリンとして燃やされている。時差のあるグローバルな講義に聞こえても、実態は深夜に録画を見るだけで、質問の返事が来る頃には熱が冷めている。海外だから最先端でクリーンだということはない。
世界中どこでも、新しい不安には古い値札が貼られる。 ――国が変わっても、不安を利用した販売の構造は驚くほど同じだ。
実務でAIを使い込んでいる側からの話
俺自身はどうなのかというと、実務でAIを使い込んでいる側だ。単なる外野の批判として書いているわけではない。
AIの利用料は遠慮なく口座から引かれるが、それに見合うだけの実務の蓄積がある。
AIにはかなりの額を使ってきた。地方に中古の一軒家を買えるくらいは使ったと思う。カード明細にOpenAI、Anthropic、AWSが並ぶ月は、家族に見られたら浮気より説明が難しい。「これは仕事で必要で」と言いながら、怖くて総額はちゃんと計算していない。スクロール中に利用料の文字が見えると反射的にスマホを伏せる月もある。
業務でも徹底的に使っている。社員7名にも使わせ、文章、調査、議事録、提案書、補助金関連の資料整理、コード、社内ナレッジ、顧客対応の下準備まで、AIを触らせない日はほとんどない。これは精神論ではなく、実際に効率化できている。AIを導入して本当によかったと明確に言える。文句も言わず働いてくれるが、利用料は遠慮なく口座から持っていく。
だから俺は、AIに夢を見ている人間というより、AIの請求と業務改善の両方で毎月現実に戻されている人間だ。コードも書かせたし、記事も何百本と生成した。領収書の山を前にして、せめて何か残ったと言い張るための実務の蓄積はある。
だからこそ、「AIは使える」ということと「AIスクールに高額入学金を払う」ことは分けて考える必要があると強く言いたい。
スクールの問題はAIではない。順番と売り方だ
スクールの話に戻そう。問題はAIそのものではない。順番と売り方だ。
AIスクールで学ぶこと自体を否定するつもりはない。ただ、まだ何を作りたいかも決まっていない人に、先に高額な契約を結ばせる構造に無理がある。
「あなたはAIを学ぶべきです」は正しいかもしれない。だが「だから今日50万円払うべきです」は明らかな飛躍だ。AIが本当にすごいからこそ、AIの名前を借りただけの粗悪なサービスが目立つ。
ここから、よくある事例と、その否定を繰り返していく。
事例1:「AIで月100万円」「未経験からAI案件獲得」
「AIで月100万円」「3ヶ月で副業収入」「未経験からAI案件獲得」。
これらには、何を誰に売るのかという商売の根幹が丸ごと抜けている。AIは制作を速くするが、販売先までは連れてこない。
AIで記事、画像、アプリ、提案書はたしかに作れるようになった。しかし、売れるかどうかはまったく別の話だ。AIで作れるものは増えたが、買わない人が急に買うようになるわけではない。制作コストが下がっても、相手の財布の紐がゆるむわけではないのだ。
スクールに30万円払う前に、ココナラで何か一件出品してみればいい。だいたい初日に現実が来て、こちらの期待を無言で削ってくる。出品初日、閲覧ゼロ。翌日もゼロ。三日目のアクセス「1」はたぶん自分だ。市場は最初はだいたい返事をしない。
AIでブログを100本作っても、誰も読まなければ、ただのきれいな墓石が100本並ぶだけだ。誤字もなく整っているぶん、余計に寂しい。アクセス解析のゼロは、文章の品質を直接責めてこない。ただ黙っている。その黙り方が一番きつい。AIは「作る」を速くするが、「売れる」はまったく別の筋肉だ。そこを鍛えないまま量産すると、あっという間に見向きもされない在庫の山ができる。
事例2:「カリキュラム完備」「体系的に学べます」
「カリキュラム完備」「完全初心者OK」「体系的に学べます」。
用事がない人に体系を渡しても、きれいな箱が増えるだけだ。
AIを学ぶ前に、まず自分の用事、会社の用事、顧客の用事を持つべきだ。用事のない道具は、どれだけ高機能でもだいたい棚の奥で静かになる。実家にある未開封のフードプロセッサーと同じだ。母は今もキャベツを手で千切りしている。便利そうという理由だけで買ったものは、便利になる前に置物になる。
成果物のない「視野」は棚の肥やしになる
「何が作れるようになるか」を聞いて答えがぼやける講座は、たぶん何も作れない。逆に「視野が広がる」「思考が変わる」ばかり言う講座は、成果物ではなく気分を納品してくる。気分は納品書に書けないし、ポートフォリオにも貼れない。
AIの使い道のない魔法は、手品動画を見た翌日のトランプみたいにすぐ机の引き出しに戻る。動画教材を2倍速で流しながら別タブでネットサーフィンをして、視聴済みマークだけが増えていく。Notionのダッシュボードだけが妙に整う。体系を買う前に、自分の未処理フォルダを開け。毎日のメール、面倒な議事録、つらい資料作成。そこにAIを突っ込むほうが、よほど体系的な学びになる。
事例3:「無料セミナー開催」「今日だけ限定価格」「残り3名」
「無料セミナー開催」「今日だけ限定価格」「残り3名」「分割なら月々1万6,000円」。
これは学習の案内ではない。あなたの判断時間を圧縮するためのタイマーだ。
無料セミナーは無料ではない。あなたの不安を売りやすい形に加工する場所だ。
無料セミナーは無料ではない。あなたの不安を、売る側が扱いやすい形に整える場所であり、その加工賃があとから入学金になる。無料で椅子に座ったつもりが、帰るころには自分の悩みに値札がついている。
新橋の雑居ビルに行ったことがある。エレベーターには前の客の香水と湿ったカーペットの匂いが残っていて、会場に入る前から気が重かった。空調が弱く、蛍光灯だけが白く光り、パイプ椅子のスポンジは死んでいた。開始1時間で尻のほうが先に真実を訴え始め、講師より正直に現実を教えてくれた。
最初の30分はAIで消える仕事の恐怖を語り、次の40分で普通の会社員が月50万稼いだという希望を見せ、最後の50分で財布を出させる。恐怖で縮ませ、希望で前のめりにし、限定価格で判子を押させる。古典芸能みたいな流れで、演目だけがAIに差し替わっている。
「今日だけです」は割引の説明ではなく、冷静さを奪う言葉だ。本当に価値があるものなら、明日になった瞬間に腐るわけがない。「残り3名です」と言われたら、席が残り3名なのではなく、自分の判断力が残り3分なのだと思ったほうがいい。
「分割なら月々1万6,000円です」と言われた瞬間、49万8,000円が急にスマホ代みたいな顔をし始める。総額は消えていないのに、見え方だけが薄くなる。分割払いは金額を小さくするのではなく、痛みを細切れにして見えにくくするだけだ。痛みが細切れになったからといって、無傷なわけではない。
事例4:「返金保証あり」「個別相談であなたに合うプランを提案」
「返金保証あり」「個別相談であなたに合うプランを提案」。
返金条件が長すぎる場合、それは保証ではなく返金障害物競走だ。全課題提出、全面談参加、期間内申請まで並ぶと、保証という言葉が出た瞬間に安心する人ほど、その条件を最後まで読まない。金を失ったあとにさらに証明作業まで求められるのはしんどい。登り切るころには、返してほしい気力のほうが先に退会している。
個別相談は、悩みを聞く場であると同時に、支払い能力と断りにくさを測る場にもなり得る。「どんな人生にしたいですか」という大きい話の最後に出てくるのは、だいたい支払い方法だ。「家族に相談すると反対されそうですか」と聞く人間は、反対される理由をもう知っている。だから先に家族を会話から外そうとする。人生相談から分割払いまでが近すぎる。丁寧な聞き役と、誠実な聞き役は別物だ。聞き上手な人が、いつも味方とは限らない。
事例5:公的事例で現実に戻す
極端な例として片づけず、公的事例で現実に戻す。
消費者庁と関東経済産業局が2025年12月25日に公表した、アドネス株式会社への特定商取引法に基づく指示処分がある。これは詐欺認定ではなく、行政による指示処分である。
関東経済産業局の公表資料によれば、当時18歳で月収最大5万円程度の消費者に、消費者金融での借入と分割払いを勧め、手数料込みで支払総額約77万円の契約を即日締結させた事例が示されている。
18歳に消費者金融をすすめて「半年で稼げば返せる」と言う商売を、教育と呼ぶには無理がある。月収5万円程度の人に約77万円を背負わせる。その瞬間、スクールではなく回収の仕組みに見えてくるし、講師の顔も先生ではなく営業担当の顔になる。
自分には関係ない、極端な例だと思いたい人ほど危ない。大きなトラブルの入口は、意外と静かな列をしている。支払い能力と高額契約のミスマッチは、現実に行政処分の対象になるほど重いという事実を、まずは頭に入れておくべきだ。
AIの進化速度が、スクールのカリキュラムを追い越す
ここまでは販売手法の問題を挙げてきた。次は、仮に善意のスクールだったとしても構造的に成り立たない理由を整理する。AIの進化速度が、カリキュラムの更新速度を完全に追い越している。
時系列を並べる。2022年11月にGPT-3.5が出た。2023年3月にGPT-4。2024年5月にGPT-4o。2024年12月にo1。2025年4月にGPT-5.5 Pro。2年半で5世代。当時「プロンプトエンジニアリング」として教えられていた技法の大半は、今のモデルでは不要か、むしろ逆効果になっている。モデルが賢くなれば、小手先のプロンプト構文は意味を失う。スクールがカリキュラムを作り終えた頃には、前提が変わっている。
消えた機能に分割払いだけが残る
もっと露骨な例がある。2023年3月、OpenAIはChatGPTプラグインを発表した。当時は「これがAIの未来だ」と騒がれた。プラグインの使い方を教えるコースが次々と作られた。2024年4月、OpenAIはプラグインを廃止した。丸ごと消えた。プラグイン活用を売りにしていたコースの受講者は、まだ分割払いが残っている段階で、習った内容が存在しなくなった。
開発者向けの話も同じだ。LangChainというフレームワークがある。2023年にはAI開発の標準ツールとされ、「LangChainマスター講座」が乱立した。2025年現在、LangChain初期のベストプラクティスの多くはアンチパターン扱いされている。公式ドキュメント自体が書き直されている。1年前の教材通りに書いたコードは、今では「やってはいけない書き方」に分類される。
画像生成AIも同じ構造だ。Midjourney v3時代に必須とされたプロンプト技法――ネガティブプロンプトの書き方、特定の呪文のような修飾語の並べ方――は、v6では不要になった。モデルが進化すれば、以前の回避策は意味を失う。v3時代のプロンプト集を教えていた講座は、v6ユーザーには役に立たない。
コーディング支援ツールの変遷はもっと激しい。GitHub Copilotが出て「これで開発が変わる」と言われた。次にCursorが出て「Copilotより上だ」と言われた。次にClaude Codeが出た。次にDevinが出た。半年ごとにツールが世代交代している。どのツールを教えるかで講座を作った時点で、次の世代が来る。
コスト設計の前提も崩れる。OpenAIのAPI料金は2年で90%以上下落した。2023年時点のコスト計算に基づいて「このくらいの予算が必要」と教えていた講座は、今の料金体系では前提が全部違う。ビジネスモデルの設計、AIサービスの原価計算、すべてやり直しだ。
50万円のカリキュラムを考える。作成に数ヶ月、受講期間に3ヶ月。合計で半年。半年後のAIの世界は別物だ。「体系的に学ぶ」という言葉は美しいが、体系自体が3ヶ月で変わる領域では成り立たない。古い体系を体系的に学んでも、古い知識が整然と並ぶだけだ。
一方で、各AIツールの公式ドキュメントは無料で、常に最新版に更新されている。OpenAI、Google、Anthropic、xAI、すべて公式ドキュメントを無料公開している。コミュニティの議論もリアルタイムで動いている。スクールの教材は更新が追いつかない。講師が気づいた頃には、受講者がすでに公式ドキュメントで新機能を使っている、ということが普通に起きる。情報源として、スクールは公式ドキュメントに勝てない。速度で負ける。
AIの使い方は、AIに聞くのが一番早い
カリキュラムの寿命が短いという話をした。じゃあ、常に最新の情報を、自分に合った形で、必要なときに手に入れるにはどうすればいいか。答えは拍子抜けするほど単純だ。AIの使い方は、AIに聞けばいい。
手順を整理する。まず、公式ドキュメントのURLをAIに渡す。「このページを初心者向けに日本語で解説して」と一行書く。5分もかからない。OpenAIのAPIリファレンスでも、Googleの技術ドキュメントでも、英語だろうが何語だろうが、AIが読んで、噛み砕いて、日本語で返してくれる。講師が準備するスライドより速い。しかもリアルタイムで最新の情報を元にしている。
次に、海外事例の収集。たとえば「アメリカの中小企業がAIをどう活用しているか、日本の中小企業向けにまとめて」と頼む。英語圏、中国語圏、ドイツ語圏、AIは多言語の情報を横断して拾ってくる。講師が一人で仕込むスライドより、情報のカバー範囲が広く、しかも鮮度が高い。スクールの講師が先週の事例を話している間に、AIは今日の事例を引いてくる。
自分専用の教材をAIに作らせる
さらに、自分専用の教材が作れる。「飲食店を3店舗経営している。従業員20名。AIを使って仕入れ管理と顧客対応を改善したい。具体的なステップとチェックリストを作って」。これだけで、汎用カリキュラムよりはるかに自分の仕事に刺さる教材ができあがる。スライド形式にしろと言えばスライドになる。記事にしろと言えば記事になる。動画の台本にしろと言えば台本になる。
スクールの汎用教材は、万人向けに作られている分、誰の仕事にも半端にしか刺さらない。自分で作った教材は、自分の仕事にだけ深く刺さる。
対話型で学べるのも大きい。「もっと簡単に説明して」「具体例を出して」「うちの会社に当てはめるとどうなる?」「さっきの話とこの話のつながりがわからない」。こういう質問を、24時間いつでも、何度でも、嫌な顔ひとつされずにぶつけられる。人間の講師に同じことを繰り返し聞くのは気が引ける。AIは気が引けない。しかも毎回、聞いた瞬間に返ってくる。質問の順番待ちもない。
コスト比較 ―― ChatGPT Plusは月3,000円。Claude Proも月3,000円。Gemini Advancedは月2,900円。年間にすると約36,000円。50万円あれば、これらのサービスを10年以上使い続けられる。スクールの3ヶ月と、AIへの直接課金10年。どちらが学びの総量として大きいかは、計算するまでもない。
皮肉な話だが、AIの使い方を人間に50万円払って教わるより、AIに直接聞いたほうが正確で、最新で、安い。しかもAIは24時間稼働していて、質問の仕方が下手でも怒らない。講師の機嫌も、教室の空調も、隣の席の咳払いも気にしなくていい。AIの使い方を知りたければ、AIに聞け。それが2025年の最短ルートだ。
じゃあ、どう学ぶべきか
まず、AIに直接課金しろ。先生を通すな。中抜きされるな。
スクールという「箱」を買う前に、まずは直接AIに課金し、実務で使い倒すべきだ。
最初の1ヶ月は、ChatGPT、Claude、Geminiなど、どれか一つでいい。迷うくらいならどれかに払って毎日触れ。最適解を探して比較表を眺めている時間は、賢そうに見えるが何も進んでいない。
自分の仕事、会社の面倒な仕事、日常の雑務で使う。教材ではなく実務で試す。メールの返信、議事録の要約、役所のPDFの解読。自分の生活に食い込んだ用途ほど、うまくいった時の感覚が体に残る。架空のカフェのSNS投稿を作るより、実際に返したくないメールを下書きしてもらうほうがよほど身につく。
2ヶ月目に別のAIと比較する。答えの違いを見ると、AIにも得意不得意の癖があることがわかる。3ヶ月目に画像生成、調査、コード、自動化など用途別のツールを足す。順番を間違えると、道具箱だけ立派で作るものがない人になる。
どうしても講座形式が欲しいなら、最初は数千円の録画講座、公式チュートリアル、評判のいいYouTubeやブログで十分だ。低額の教材で眠くなる人は、高額講座でもだいたい眠くなる。違うのは、眠気に分割払いがついてくることくらいである。まず安く眠ってみればいい。
順番は、用事、道具、学びだ。 ―― 逆にすると、何かできそうな気分だけが残る。30万円の気分より、3,000円の習慣のほうが強い。高額講座は一度払うと物語になるが、月額課金で毎日触ると生活になる。生活のほうが実力を作る。
それでもスクールに入りたいなら、これを聞いてほしい
それでもどうしてもスクールに入りたいなら、入る前にこれらを聞いてほしい。
- 「で、何が作れるようになるんですか」
- 「講師はいまもその実務で食っていますか」
- 「卒業生の実際の成果物を見せてください」
- 「今日だけですか」
- 「返金保証の条件を全部読ませてください」
- 「借入なしで払える金額ですか」
これを聞いて、嫌な顔をされたり空気が悪くなったりしたら、そのまま帰ればいい。その顔と空気が、たぶん一番正直な教材だ。
まとめ
AIは本当にすごい。ホワイトカラーの手足を伸ばし、ロボティクスで現実世界にも降りてくる。だから学ぶべきだし、触るべきだし、仕事で使うべきだ。
でも、だからこそ、AIを看板にしたいい加減な商売が腹立たしい。安っぽく売られるほど、素晴らしい道具まで安っぽく見える。高い不安止めとしてスクールを買う必要はない。入学するなと言いたいのではない。入学する順番を間違えるなと言いたいのだ。
新橋のセミナー会場で隣に座っていた、50代くらいの真面目そうな男性をたまに思い出す。配られたチラシを透明のクリアファイルに丁寧に入れていた。個別相談の列に静かに並んでいたあの人は、申し込んだのだろうか。
あそこで「やめたほうがいいですよ」と言えるほど、俺は親切でも勇敢でもなかった。怒りよりも、後味の悪さのほうがずっと部屋の隅に残っている。
だからこれを書いた。AIの話というより、あの列に並んだ誰かの財布が、少しでも守られればいい。クレジットカードの明細を見て、ため息をつく夜が一つでも減ればいい。
参考にした公開情報
- McKinsey & Company: The economic potential of generative AI
- World Economic Forum: The Future of Jobs Report 2025
- IMF: AI Will Transform the Global Economy. Let's Make Sure It Benefits Humanity.
- Morgan Stanley: Humanoid Robots: A $5 Trillion Market by 2050?
- NVIDIA: NVIDIA and Global Robotics Leaders Take Physical AI to the Real World
- 消費者庁: アドネス株式会社に対する行政処分について
- 関東経済産業局: 特定商取引法違反の通信販売業者に対する指示について
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X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO
Microsoft for Startups Founders Hub 採択
Claude・Cursor・Devin・Runway など 200 種類以上の AI ツールに年間 2,000 万円を投じ、自社の経営・開発・マーケティング全業務で使い倒している「AI ツールの実戦投入実験台」。AI 面接ツールおよび AI 動画編集ツール「GenVox」を開発。「補助金さがすAI」では、自分で試して効果があった AI 活用事例と、それに紐づく補助金制度をセットで解説しています。
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