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IT導入補助金とものづくり補助金の併用戦略|ダブル採択で最大補助額を引き出すコツ

IT導入補助金とものづくり補助金の併用戦略|ダブル採択で最大補助額を引き出すコツ

中小企業が活用できる代表的な補助金として、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)とものづくり補助金があります。最大補助額はそれぞれ450万円・4,000万円(グローバル枠の大幅賃上げ特例適用時)に上り、要件を満たせば同一事業者でも両方を受給できます。本記事では2026年6月時点の最新制度概要から、ダブル採択を実現するための申請戦略まで、具体的な数値とともに解説します。

1. 両補助金の制度概要

2026年度時点における両補助金の基本情報を整理します。制度名や上限額が近年変更されているため、最新情報を押さえておくことが重要です。 ものづくり補助金の制度詳細は「ものづくり補助金とは?要件・補助額・採択率をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

項目 デジタル化・AI導入補助金
(旧IT導入補助金)
ものづくり補助金
管轄省庁 経済産業省・中小企業庁 経済産業省・中小企業庁
実施機関 中小企業基盤整備機構(中小機構) 中小企業基盤整備機構(中小機構)
目的 ITツール・AIの導入による業務効率化・DX推進 新製品・サービス開発や生産性向上のための設備投資
最大補助額 450万円(通常枠) グローバル枠3,000万円(大幅賃上げ特例で最大4,000万円)
基本補助率 1/2(枠・要件により2/3〜4/5) 1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)
2026年度の主な変更 制度名変更・AI活用を重視した審査強化 第23次で賃上げが基本要件化。2026年度後半に新事業進出補助金と統合予定

制度名称の変更(2026年度)

IT導入補助金は2026年度より「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されました。AIの積極活用が審査でも重視される仕組みへと進化しています。ものづくり補助金は2026年度後半に新事業進出補助金と統合した「新事業進出・ものづくり補助金」への再編が予定されており、第23次(2026年5月8日締切・受付終了)が現行制度として最後の公募になるとみられています。

2. 補助額・補助率の詳細

両補助金の補助額は事業者規模や申請枠によって大きく異なります。以下の表で確認してください。

デジタル化・AI導入補助金(通常枠)

選択プロセス数 補助額 補助率
1プロセス以上 5万円〜150万円未満 1/2(小規模事業者は要件達成で4/5)
4プロセス以上 150万円〜450万円以下 1/2(小規模事業者は要件達成で4/5)

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠・第23次/従業員規模別補助上限額)

従業員規模 補助上限額(大幅賃上げ特例適用時) 補助率
5人以下 750万円(850万円) 1/2(小規模事業者等は2/3)
6〜20人 1,000万円(1,250万円) 1/2(小規模事業者等は2/3)
21〜50人 1,500万円(2,500万円) 1/2(小規模事業者等は2/3)
51人以上 2,500万円(3,500万円) 1/2(小規模事業者等は2/3)
グローバル枠(従業員規模によらず) 3,000万円(4,000万円) 1/2(小規模事業者等は2/3)

ダブル採択を実現した場合、従業員21〜50人規模の事業者であれば、ものづくり補助金の上限1,500万円とデジタル化・AI導入補助金の上限450万円を合わせ、最大1,950万円の補助を受けられる計算になります。

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3. 併用の基本ルール|なぜダブル採択が可能なのか

両補助金の併用において最も重要な原則は「同一事業では不可、異なる事業であれば可」という点です。同一の補助対象経費に対して複数の国の補助金を重複して受けることはできませんが、目的・内容が明確に異なる別事業として申請する場合は認められています。

「同一事業」と「異なる事業」の判断基準

同一事業者であっても、用途・目的が異なれば各補助金への申請が可能です。たとえば「既存の受発注業務を効率化するためのクラウドシステム導入(デジタル化・AI導入補助金)」と「新商品開発のための高精度加工機器の購入(ものづくり補助金)」は、それぞれ独立した事業として扱われます。申請書類において、両者が別の目的・プロセスであることを明確に記載することが不可欠です。

事業区分の具体例

補助金 適切な申請内容の例
デジタル化・AI導入補助金 生産ラインの生産性向上を目的としたAIシステムの導入
ものづくり補助金 新商品開発を目的とした高性能製造機器の購入

4. 申請フロー比較

両補助金の申請フローには共通点と相違点があります。GビズIDプライムアカウントは両方に必要なため、早めに取得しておくことで二重の手間を省けます。

デジタル化・AI導入補助金の申請フロー

  1. 準備(締切2〜3週間前から):GビズIDプライムアカウント取得、SECURITY ACTION宣言(★一つ星以上)、「みらデジ経営チェック」の実施(通常枠では必須)
  2. ツール選定:事務局のITツール検索で補助対象ツールを確認し、IT導入支援事業者と連携
  3. 申請書作成・提出:事業計画書・見積書(複数社分)を準備し、交付申請書を提出
  4. 採択・交付決定:審査期間は約1〜2か月。採択後に交付申請書を再提出し交付決定となる
  5. 事業実施・実績報告:交付決定前の発注は補助対象外。事業完了後に実績報告書を提出し補助金が交付される

ものづくり補助金の申請フロー

  1. 準備:GビズIDプライムアカウント取得、事業計画の策定、認定支援機関によるサポート受け取り(推奨)
  2. 電子申請:jGrants(電子申請システム)で申請書を提出
  3. 採択発表:申請から約3〜4か月後に採択結果が発表される
  4. 交付申請・事業実施:交付決定日から原則10か月以内に事業を完了
  5. 報告義務:事業完了後、年1回の「事業化状況報告」を3〜5年間継続して提出

交付決定前の発注は補助対象外

両補助金ともに、交付決定が下りる前に発注・契約・支払いを行った経費は補助対象外となります。採択通知と交付決定は別ステップであるため、採択後も焦らず交付決定を待ってから発注手続きに入ることが必要です。

5. 採択率の実績データ

採択率は申請戦略を立てるうえで欠かせない指標です。両補助金の直近データを比較します。

補助金 枠・類型 採択率 備考
IT導入補助金2025(最終6次締切) 通常枠 35.5% 申請2,624者、採択931者(2025年12月11日発表)
IT導入補助金2025(最終6次締切) インボイス枠(インボイス対応類型) 44.9% 申請7,464者、採択3,355者
ものづくり補助金 第21次公募 約34.1% 応募1,872者、採択638者(2026年1月23日発表)
ものづくり補助金 第22次公募 約37.5% 応募1,552者、採択582者(2026年4月30日発表)

両補助金とも採択率は3〜4割台で推移

ものづくり補助金の採択率は第20次33.6%→第21次34.1%→第22次37.5%と3割台で推移しています。IT導入補助金も2025年は通年で4割前後と、2024年度の約70%から大幅に低下しました。第23次(2026年5月8日締切)の採択発表は2026年8月上旬頃、デジタル化・AI導入補助金2026の1次締切分は2026年6月18日交付決定予定で、いずれも2026年6月13日時点では未発表です。

6. 採択率を高める申請のコツ

デジタル化・AI導入補助金の採択ポイント

  • 業務課題の具体化:「何の業務を、どう改善したいのか」が申請書から読み取れない場合、審査で大きく減点される。現在の業務プロセスの問題点と改善根拠を数値で示す
  • GビズIDの早期取得:取得には1〜2週間程度かかるため、締切ギリギリでの申請は書類不備のリスクが高まる
  • 加点項目の積極活用:SECURITY ACTION(★一つ星以上)の取得で加点。省力化ナビへの登録も加点対象となっている
  • AI搭載ツールの選定:2026年度は生成AIや予測AIを活用した業務効率化案が人手不足対策として高く評価される
  • 見積書の管理:見積書の有効期限切れや相見積もりが1社分のみ(2〜3社分が求められる)といった不備が不採択につながる

ものづくり補助金の採択ポイント

  • 公募要領の熟読:補助要件を満たしていなければ100%不採択となる。まず公募要領を精読し要件確認を行う
  • 審査項目への対応:審査項目は事前に公開されている。審査員が評価する観点を正確に把握し、その項目に沿った事業計画を記述する
  • 実現可能性の明示:革新性を優先するあまり、自社の実力と乖離した壮大な計画は「実現困難」と判断されて不採択になる確率が高い
  • 経営資源の蓄積:「経営資源の蓄積につながらない」と判断された事業計画は不採択になる。投資後に自社にどのような能力・資産が蓄積されるかを具体的に示す
  • 予算の根拠明示:審査員は「予算の精度=事業の計画性」と見る。根拠ある見積書の添付、数値と事業内容の整合性、投資効果の説明が採択の基礎となる
  • 早期準備の開始:募集開始から締切まで早いケースでは1か月、長くても3か月程度しか準備期間がない。公募開始前から事業計画の骨子を整えておく必要がある

認定支援機関の活用

ものづくり補助金の申請では、認定支援機関(商工会議所、会計事務所、行政書士事務所など)によるサポートが推奨されています。申請書のクオリティを高めるうえで、認定支援機関や専門家への相談が有効な手段です。よろず支援拠点では無料相談も利用できます。

7. 2026年度の主な変更点と申請戦略への影響

2026年度は両補助金に大きな制度変更が加わっています。変更内容を踏まえた申請戦略の調整が求められます。

デジタル化・AI導入補助金2026の変更点

  • AI活用の評価強化:AIツールがITツール検索画面で「見える化」され絞り込み検索が可能に。AI活用計画は審査での優遇対象となる
  • 2回目以降の申請要件追加:IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、翌事業年度以降3年間の事業計画策定と報告が申請要件に追加された
  • 戦略分野への加点:AI・半導体、サイバーセキュリティ、造船、防衛産業など17の戦略分野への取り組みが加点対象
  • 省力化ナビとの連携:省力化ナビ(カタログ型補助金との連携)が加点項目として新設された

ものづくり補助金2026年度の変更点

  • 賃上げの基本要件化(第23次):従来は加点項目だった賃上げが基本要件となり、「従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上増加」に一本化された。事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上とする要件もある
  • 新事業進出補助金との統合:令和7年度補正予算により「新事業進出・ものづくり補助金」が創設され、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠に再編される予定。グローバル枠の補助上限は最大7,000万円(特例9,000万円)へ大幅引き上げが見込まれる
  • 統合後のスケジュール(予定):第1回公募は公募要領が2026年6月頃公開、申請受付が2026年8月頃開始と予告されている(確定スケジュールは公式発表をご確認ください)

2026年度のチャンスポイント

2026年度はインボイス対応からAIによる人手不足解消へと予算の重点が移行しています。AI機能を搭載したITツールの導入や、戦略分野への取り組みを計画している事業者は審査上の優遇を受けやすい状況です。デジタル化・AI導入補助金で最大450万円の補助額は昨年度と同水準を維持しています。直近の交付申請締切は2026年6月15日(月)17:00で、以降の締切は公式スケジュールページで随時公表されます。

8. 申請前に確認すべき共通要件チェックリスト

両補助金への申請を進める前に、以下の要件を確認してください。

確認項目 デジタル化・AI導入補助金 ものづくり補助金
GビズIDプライム 必須(取得に2〜3週間) 必須(取得に2〜3週間)
SECURITY ACTION 必須(★一つ星以上) 不要
みらデジ経営チェック 必須(通常枠) 不要
IT導入支援事業者との連携 必須 不要
認定支援機関のサポート 不要 推奨
成果目標の設定 賃上げ等(150万円以上の申請では賃上げ要件が必須) 1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上 等(第23次)
事後報告義務 実績報告書(事業完了後) 事業化状況報告(3〜5年間・年1回)

9. 他の補助金との連携・注意点

両補助金以外にも、同一事業者が活用できる補助金制度があります。それぞれの併用可否を把握しておくことで、資金調達の選択肢が広がります。

  • 新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継):内容が異なる別の事業であれば、同一事業者でも申請できる。第4回公募(締切2026年6月19日18:00)が統合再編前の最後の公募とされる。なお事業再構築補助金は第13回公募で新規受付を終了している
  • 中小企業省力化投資補助金:「カタログ注文型」と「一般型」の2タイプがあり、省力化設備の導入に活用できる。デジタル化・AI導入補助金の「省力化ナビ連携」加点とも関係する
  • 小規模事業者持続化補助金:同一事業者・同一事業・同一内容での国の補助事業との併用は不可。異なる事業・異なる内容であれば併用できる可能性がある

経営基盤の安定が採択の前提条件

補助金への採択においては、安定した利益・少ない借入金・高い自己資本比率が有利に働く傾向があります。財務状況が不安定な状態での申請は採択率を下げる要因になるため、経営基盤の整備と並行して補助金活用を検討することが重要です。

補助金の活用に迷ったときは、補助金検索ツールで自社に適した制度を確認するか、補助金ガイド一覧で関連制度の解説記事を参照してください。

まとめ:ダブル採択のための5つのポイント

  • 事業を明確に区分する:「既存業務の効率化(デジタル化・AI導入補助金)」と「新製品開発・設備投資(ものづくり補助金)」を別事業として申請書で明記することが前提条件
  • GビズIDを早期取得する:両補助金に共通して必要。取得に2〜3週間かかるため、公募開始前から準備を始める
  • 加点項目を積極的に取得する:SECURITY ACTION、省力化ナビ登録、AI搭載ツールの活用、戦略分野への取り組みは審査上の評価を高める
  • ものづくり補助金は統合後の新制度に備える:採択率は直近3割台(第22次37.5%)。第23次で現行公募は終了見込みのため、統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」(2026年8月頃受付開始予定)に向けて事業計画の骨子を早めに整えておく
  • 交付決定前の発注は厳禁:採択通知後も交付決定が下りるまで発注・契約を行わない。この原則を守らないと補助金全体が対象外になるリスクがある

参考情報

本記事は以下の公式情報を参考に作成しています。制度は変更される可能性があるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

※本記事は2026年6月13日時点の情報に基づいています。

併用以外の選択肢も含めてAI導入に使える補助金を比較したい場合はAI導入に使える補助金まとめ【2026年度最新】をご覧ください。

この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

X-HACK Inc. 代表取締役。システムコンサルタントとして中小企業の基幹システム構築・業務設計に携わったのち、自ら起業。小規模ビジネスの立ち上げから黒字化までを複数回経験し、採用・資金調達・補助金申請の実務にも精通。「補助金さがすAI」の開発・運営を通じて、経営者が本当に必要とする情報を現場目線で発信しています。

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