事業再構築補助金とは?制度概要・採択率・申請のポイントを解説
事業再構築補助金は、ポストコロナの経済社会の変化に対応するため、新市場進出・業種転換・事業再編などの思い切った事業再構築に取り組む中小企業等を支援した国の補助金制度です。2020年度に創設され、2025年3月26日締切の第13回公募をもって新規募集が完全終了しました。本記事では制度の全容・補助額・採択率の推移・申請のポイント、および後継制度「中小企業新事業進出補助金」について整理します。
制度の概要と目的
経済産業省(中小企業庁)が管轄し、電子申請はjGrants(Jグランツ)経由で受け付けていました。コロナ禍で当面の需要・売上回復が見込みにくい中、日本経済の構造転換を促すことを目的として設けられた制度です。
対象となる「事業再構築」は以下の5類型に分類されていました。
- 新市場進出(新分野展開・業態転換):新たな製品・サービスで新たな市場に進出
- 事業転換:主な「事業」を転換
- 業種転換:主な「業種」を転換
- 事業再編:事業再編を通じて上記いずれかを実施
- 国内回帰:海外製品の先進的な国内生産拠点を整備
募集終了のお知らせ
第13回公募(締切:2025年3月26日、採択発表:2025年6月30日)をもって、事業再構築補助金の新規応募申請受付は完全に終了しました。対象者と必須要件
日本国内に本社を有する中小企業者・中堅企業・個人事業主等が対象でした。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必須で、発行まで1週間程度かかるため余裕を持った準備が求められていました。
全枠共通の必須要件(3要件すべてを満たすこと)
- 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
- 事業計画書を金融機関等または認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
- 補助事業終了後3〜5年で付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)を年平均成長率3.0〜4.0%以上増加させること
※補助金額が3,000万円を超える場合は、認定支援機関の確認書に加え金融機関の確認書も必要でした。
第13回(最終回)の補助額・補助率
第13回公募では3枠が設けられていました(「コロナ回復加速化枠(通常類型)」と「サプライチェーン強靱化枠」は第13回では募集なし)。
① 成長分野進出枠(通常類型)
| 従業員数 | 補助上限額 | 大規模賃上げ時 |
|---|---|---|
| 20人以下 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 101人以上 | 6,000万円 | 7,000万円 |
補助率:中小企業 1/2(大規模賃上げ時 2/3)、中堅企業 1/3(同 1/2)。下限はいずれも100万円。
② 成長分野進出枠(GX進出類型)
| 区分 | 補助上限額 | 大規模賃上げ時 |
|---|---|---|
| 中小企業(20人以下) | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 中小企業(21〜50人) | 5,000万円 | 6,000万円 |
| 中小企業(51〜100人) | 7,000万円 | 8,000万円 |
| 中小企業(101人以上) | 8,000万円 | 1億円 |
| 中堅企業 | 1億円 | 1.5億円 |
補助率:中小企業 1/2(大規模賃上げ時 2/3)、中堅企業 1/3(同 1/2)。
③ コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5人以下 | 500万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,500万円 |
補助率:中小企業 3/4(要件①未充足時 2/3)、中堅企業 2/3(同 1/2)。下限100万円。
採択率の推移
採択率は第1回の36.0%から上昇し、第7〜8回には51%台に達しましたが、第11〜12回で26%台に急落しました。第12回から口頭審査が導入され、審査が厳格化された影響が大きいとされています。最終回の第13回は35.5%でした。
| 公募回 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 約17,050件 | 約8,500件 | 約36% |
| 第7回 | 15,132件 | 7,745件 | 51.0% |
| 第8回 | 12,591件 | 6,456件 | 51.3% |
| 第10回 | 10,821件 | 5,205件 | 48.1% |
| 第11回 | 9,207件 | 2,437件 | 26.4% |
| 第12回 | 7,664件 | 2,031件 | 26.5% |
| 第13回(最終) | 3,100件 | 1,101件 | 35.5% |
業種別では製造業の採択割合が高く、第12回実績で採択件数の43.6%を占めていました(応募件数シェアは27.0%)。
第13回 枠別採択率
| 申請枠 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 成長分野進出枠(通常類型) | 489件 | 244件 | 49.9% |
| 成長分野進出枠(GX進出類型) | 891件 | 349件 | 36.8% |
| コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 321件 | 118件 | 36.8% |
申請フローと必要書類
申請から事業完了までは以下のステップで進みます。交付決定前に発注・購入した経費は補助対象外となる点に注意が必要です(第13回から事前着手制度も廃止)。
- 事前準備:公募要領確認・GビズIDプライムアカウント取得(発行まで約1週間)
- 申請:jGrants(Jグランツ)で電子申請
- 事業実施:交付候補者決定→交付申請・決定→補助事業実施期間内に設備投資等を実施
- 実績報告提出:実績報告書を提出
- 事業化状況報告:5年間にわたり毎年報告を提出(収益が出た場合は収益納付の義務あり)
主な必要書類
- 事業計画書(PDF形式、指定フォーマットなし・自由記述)
- 認定経営革新等支援機関の確認書
- 金融機関の確認書(補助金額3,000万円超の場合)
- ミラサポplusから入力・提出する事業財務情報
- 労働者名簿(パート・アルバイト・契約社員含む全労働者。役員除く)
事業計画書の作成には約25時間、添付資料準備には約10時間が目安とされていました。
採択のポイントと注意点
審査は「事業化点」「再構築点」「政策点」の3項目で評価され、審査員3〜4名が1社あたり40〜50分で審査していました。事業計画書の質が採否を左右します。
1ページ目で事業再構築要件を明示する
1ページ目で前提要件を満たさないと判断された場合、以降の計画書が審査対象外となります。新規性・新市場への進出を冒頭で明確に示すことが必須です。
図表・ビジュアルを積極的に活用する
限られた審査時間の中で視認性を高めるため、文字のみの計画書より図表を交えた計画書が有利です。
収益計画は現実的な数値に基づく
審査員の多くは中小企業診断士です。非現実的な数値は信頼性を損ない、不採択に直結します。
加点項目を把握・活用する
一定の要件を満たすと審査上の加点が得られる項目があり、採択可能性が高まります。
口頭審査への対応(第12回以降)
第12回から採択後に口頭審査が実施されるようになりました。約15分のオンライン審査で、外部協力者は参加不可です。計画内容を自身の言葉で説明できる理解が求められます。
書類不備による不採択に注意
事業計画書の内容は問題ないにもかかわらず、申請書類の不備・不足が原因で不採択となるケースが過去の公募で散見されていました。
後継制度:中小企業新事業進出補助金
事業再構築補助金の終了を受け、2025年度から「中小企業新事業進出補助金」が稼働しています。中小企業・小規模事業者の新事業進出や高付加価値事業への進出を支援する制度で、補助率は一律1/2、補助上限額は最大9,000万円(特例適用時)です。
主な要件は、①付加価値額の年平均成長率+4.0%以上の増加、②給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上の引き上げです。
第2回公募スケジュール
- 公募開始:2025年9月12日(金)
- 申請期間:2025年11月10日(月)〜12月19日(金)
- 採択結果発表:2026年3月頃(予定)
2025年度末までに合計4回程度の公募が予定されており、2026年度以降はものづくり補助金との統合が予定されています。
関連補助金・支援制度
新事業・生産性向上への取り組みを支援する他の補助金もあわせて確認することを推奨します。
| 補助金名 | 主な用途・概要 |
|---|---|
| 中小企業新事業進出補助金 | 事業再構築補助金の後継制度。新事業・構造転換への投資を支援(最大9,000万円・補助率1/2) |
| ものづくり補助金 | 中小企業の革新的サービス開発・生産プロセス改善への設備投資を支援 |
| IT導入補助金 | ITツール・システム導入によるDX推進を支援 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者の販路開拓・生産性向上を支援 |
| 事業承継・M&A補助金 | 事業承継・M&Aに伴う費用を支援 |
まとめ
- 事業再構築補助金は第13回(2025年3月26日締切)をもって新規募集が完全終了
- 最終回(第13回)の全体採択率は35.5%(3,100件の応募に対し1,101件採択)
- 採択率は第11〜12回に26%台まで低下。第12回からの口頭審査導入が要因の一つ
- 事業計画書の1ページ目での事業再構築要件の明示が採否の重要な分岐点
- 後継制度「中小企業新事業進出補助金」が2025年度より稼働中。補助率1/2・最大9,000万円(特例時)
- 新事業への投資を検討する事業者は後継制度の公募スケジュールを早期に確認することが重要
参考情報
- 事業再構築補助金 公式サイト(事務局): https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
- 経済産業省 事業再構築補助金ページ: https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html
- 中小企業庁 第13回公募告知: https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2025/250110kobo.html
- 事業再構築補助金 採択結果一覧: https://jigyou-saikouchiku.go.jp/result.html
- 中小企業新事業進出補助金 公式サイト: https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
- ミラサポplus(経済産業省): https://mirasapo-plus.go.jp/
※本記事の情報は2025年3月時点のリサーチ結果に基づきます。制度の詳細・最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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