各自治体の創業支援補助金まとめ【2025〜2026年度版】
創業支援補助金は国が枠組みを設計し都道府県・市区町村が実施するものと、各自治体が完全独自に運営するものの2種類に大別される。制度名・対象者・補助額は自治体ごとに異なり、全ての自治体に設置されているわけではない。本記事では2025年3月時点の情報をもとに、主要制度の概要・補助額・採択率・申請フローを比較整理する。申請前には必ず各制度の公式サイトまたは商工会議所・よろず支援拠点で最新情報を確認すること。
主要な創業支援補助金の体系
創業者が活用できる公的補助金・助成金のうち、代表的な制度を以下の表に整理する。
| 制度名 | 管轄 | 最大補助額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 地方創生 起業支援金 | 内閣府(地方創生推進事務局) | 200万円 | 1/2 |
| 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 経済産業省・中小企業庁 | 250万円(特例含む) | 2/3 |
| 東京都 創業助成事業 | 東京都・東京都中小企業振興公社 | 400万円 | 2/3以内 |
| 東京都 若手・女性リーダー応援プログラム | 東京都 | 844万円 | 3/4以内 |
| 移住支援金(起業支援金との併用) | 内閣府 | 100万円(世帯) | − |
| 各市区町村独自の補助金 | 各自治体 | 数万〜100万円程度 | 1/2〜2/3 |
※ 起業支援金(最大200万円)と移住支援金(最大100万円)を組み合わせると、地方移住して社会的事業を起業した場合に最大300万円(単身は最大260万円)を受け取れる可能性がある。
各制度の対象要件
① 地方創生 起業支援金
交付決定以降〜補助事業期間完了日までに個人開業または法人設立を行う者が対象。東京圏以外(または東京圏内の条件不利地域)で、子育て支援・買い物弱者支援・まちづくり推進など「社会的事業」を実施することが要件となる。2025年度の実施予定都道府県は東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府を除く43道府県。申請書類・受付期間は各都道府県または市町村が個別に設定しているため、起業予定地の自治体に直接確認する必要がある。
② 小規模事業者持続化補助金(創業型)
2025年(令和6年度補正予算)に新設された枠。対象は公募締切日から1年以内に開業した創業1年以内の小規模事業者で、「特定創業支援等事業の証明書」の取得が必要。従業員数の上限は、商業・サービス業(宿泊娯楽除く)で5人以下、製造業その他で20人以下。インボイス特例を適用すると補助上限が200万円から250万円に引き上げられる。補助率は2/3。第1回公募の採択率は37.9%(申請3,883件中1,473件採択)。
③ 東京都 創業助成事業
都内創業予定者または創業5年未満の中小企業者等が対象。TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援終了者、インキュベーション施設入居者、東京都または都内区市町村の創業制度融資利用者、産業競争力強化法に基づく認定特定創業支援等事業による支援を受けた者のいずれかを満たす必要がある。個人・法人の代表者として通算5年以上の経営経験がある者は対象外。助成対象期間は交付決定日から6か月以上2年以下。対象経費は賃借料・広告費・器具備品購入費・専門家指導費・従業員人件費・委託費など。
採択率は年度によって異なるが、令和2年度以降は申請者が毎回1,000名超に対し採択は約150名程度にとどまり、採択率は最低13.3%〜最高25.2%で推移している。2025年度は春期(4〜5月頃)と秋期(10〜11月頃)の年2回程度の募集が予定されている。
主要補助金の採択率比較(直近データ)
| 制度名 | 採択率(直近) | 申請件数 | 採択件数 |
|---|---|---|---|
| 持続化補助金 通常枠(第17回) | 51.1% | 23,365件 | 11,928件 |
| 持続化補助金 創業型(第1回) | 37.9% | 3,883件 | 1,473件 |
| 東京都 創業助成事業 | 13〜25% | 1,000名超/回 | 約150件/回 |
持続化補助金 通常枠の採択率は過去最低の第16回(37.1%)から第17回(51.1%)に回復したものの、7次公募(69.8%)と比較すると依然として低水準にある。創業型は通常枠より採択率が厳しく、事業計画の質が採否を分ける。
申請フロー
小規模事業者持続化補助金(創業型)の申請手順
- 特定創業支援等事業のセミナー・個別相談を1か月以上・4回以上受講し、「経営・財務・人材育成・販路開拓」の4分野を学ぶ
- 市区町村から「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」を取得する
- 地域の商工会・商工会議所に経営計画書・補助事業計画書を提出し、事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する(会員外でも相談・申請可)
- 必要書類を揃え、電子申請システム(Jグランツ)でのみ申請する(郵送申請は不可)
- 採択・交付決定後、補助対象経費を執行し、全納品完了後に実績報告・補助金請求を行う
※ 補助金は後払い(精算払い)が原則。採択から入金まで6か月以上かかる場合があるため、先行して自己資金または融資で経費を賄う資金繰り計画が必要。
東京都 創業助成事業の申請手順
- TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援(プランコンサルティング)などの要件を満たす創業支援プログラムを利用し証明書を取得する(準備期間の目安:2か月以上)
- 募集期間内(春期・秋期の年2回程度)に申請書類を提出する
- 書面審査を通過した場合、面接審査に臨む(事業計画の内容を口頭で説明する機会があるため、事前に内容を整理しておく)
- 採択・交付決定後、助成対象期間内(最長2年)に経費を執行する
- 実績報告・精算払い請求を行う
2025〜2026年度の主な制度変更
- 持続化補助金の再編(2025年度〜): 「卒業枠」「後継者支援枠」が廃止され、「通常枠」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の4類型に整理。採択から交付決定の間に見積書等の提出が必須化された。
- 持続化補助金 創業型の新設(2025年): 令和6年度補正予算で新設。創業後1年以内の小規模事業者が対象で、補助上限200万円(インボイス特例適用で最大250万円)。
- 東京都 創業助成事業の上限額引き上げ(令和5年度〜継続): 助成上限が400万円に引き上げられた状態が令和7年度第1回も継続。令和7年度第1回より、過去に他の創業関連助成金を受給していても重複経費でなければ申請可能となった。
- 中小企業新事業進出補助金の創設(2025年〜): 既存基金1,500億円を活用。賃上げにつながる新規事業への挑戦を支援し、補助上限は従業員数に応じて最大9,000万円(特例適用時)、補助率は一律1/2。
- 日本政策金融公庫の創業融資制度拡充(2025年3月〜): 「新規開業資金」が「新規開業・スタートアップ支援資金」に名称変更。融資上限が3,000万円から7,200万円(うち運転資金4,800万円)に大幅引き上げ。自己資金要件も撤廃。
採択率に影響する申請上の注意点
不採択になる主な原因
- 書類不備:提出書類の種類の相違、記載内容の過不足、ファイル形式の誤り、事業計画書の枚数超過など
- 要件不適格:業種・従業員数・創業年数など申請資格を満たしていない場合は採択ゼロ
- 事業計画の不備:市場ニーズとの乖離、スケジュールの非現実性、自社の強みの分析が不十分
採択率を高めるポイント
- 公募要領に記載された「審査のポイント」に沿って計画書を記述する。審査は「基礎審査(要件適合)」「計画審査(強みの分析・実現可能性・IT活用・積算の透明性)」「加点審査(政策加点)」の3段階で行われる
- 政策加点(採択審査時の加点制度)は100点満点中10〜20点程度の比重があるとされており、特定創業支援等事業の証明書取得や女性・若者・シニア創業などの属性加点を事前に確認する
- 商工会・商工会議所の窓口には早期に相談し、書き直しや資料準備の時間を確保する(会員外でも無料相談可)
- 東京都創業助成事業は面接審査があるため、事業計画の内容を第三者に説明できるレベルで整理しておく
創業者が活用できる関連支援制度
| 制度・機関 | 種別 | 概要 |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金 | 融資(返済必要) | 上限7,200万円(うち運転資金4,800万円)。無担保・自己資金要件撤廃 |
| 信用保証協会 創業関連保証 | 融資(返済必要) | 無担保・無保証人で最大3,500万円。特定創業支援等事業の証明書で事業開始6か月前から利用可 |
| IT導入補助金 | 補助金(返済不要) | 会計ソフト・業務システム・ECツール等の導入費を補助。法人登記・開業届があれば創業直後でも対象 |
| よろず支援拠点(全国47都道府県) | 無料相談 | 中小企業・小規模事業者への無料経営相談。補助金申請の相談にも対応 |
| 特定創業支援等事業(証明書取得) | 支援事業 | 市区町村主催のセミナー等を1か月以上・4回以上受講し証明書取得。登録免許税半額・融資利率引き下げ・創業関連保証特例などの特典あり |
都道府県・市区町村レベルの独自補助金は、J-Net21(中小機構)の都道府県別一覧や、ミラサポplus(中小企業庁)の補助金検索で確認できる。大牟田市「起業家支援事業費補助金」・郡山市「スタートアップ支援補助金」・東京都港区・文京区・狛江市などの区市レベルでも多数の独自補助金が存在するため、起業予定地の自治体サイトを直接確認する。
創業補助金活用の推奨ステップ
- 特定創業支援等事業を受講・証明書取得: 市区町村のセミナーを1か月以上・4回以上受講。証明書取得で登録免許税半額・融資利率優遇・創業関連保証特例(事業開始6か月前から利用可)が得られる。
- 商工会・商工会議所で事業計画書を策定: 持続化補助金「創業型」への申請には事業支援計画書(様式4)が必要。早期に窓口へ相談し、書き直しの時間を確保する。
- 持続化補助金「創業型」に申請(最大250万円・補助率2/3): 申請はJグランツ(電子申請)のみ。補助金は後払いのため資金繰り計画を事前に策定する。
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」で融資(最大7,200万円): 特定創業支援等事業の証明書で利率引き下げが適用される。
- 起業予定地の都道府県・市区町村独自補助金を確認: J-Net21またはミラサポplusで検索し、上乗せ支援がないか確認する。
- 地方移住を伴う場合は起業支援金+移住支援金を検討: 最大200万円+100万円(世帯)=合計最大300万円の組み合わせが可能。
⚠️ 各補助金の公募期間・要件・補助額は年度ごとに変更される。申請前に必ず各制度の公式サイトまたは商工会議所・よろず支援拠点で最新情報を確認すること。補助金は原則後払いのため、先行して自己資金または融資で経費を賄う資金繰り計画が必要。
参考情報
- ・ 内閣府 地方創生(起業支援金・移住支援金): https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html
- ・ 持続化補助金〈創業型〉事務局: https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/
- ・ TOKYO創業ステーション(東京都創業助成事業): https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/
- ・ ミラサポplus(中小企業庁)補助金・助成金情報: https://mirasapo-plus.go.jp/
- ・ J-Net21(中小機構)都道府県別 創業者向け補助金一覧: https://j-net21.smrj.go.jp/support/covid-19/sogyo.html
- ・ 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金: https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
調査基準日:2025年3月22日
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