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雇用調整助成金とは|対象・助成率・申請手順を徹底解説(令和7年度版)

雇用調整助成金とは?助成率・申請フロー・注意点を解説

雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業・教育訓練・出向によって従業員の雇用を維持した場合に、その費用の一部を助成する厚生労働省の制度です。財源は雇用保険二事業(事業主負担分の雇用保険料)で、全国の都道府県労働局・ハローワークが窓口となっています。コロナ禍では延べ791万件超・総額6兆3,507億円が支給された実績を持ち、令和7年度も制度は継続されています。

制度の基本情報

助成の対象となる雇用調整は「休業」「教育訓練」「出向」の3種類です。令和6年4月の制度改正以降、従業員のリスキリング促進を目的として、休業よりも教育訓練を積極的に実施した事業主に有利な助成体系へと見直されています。令和7年度は令和6年度と助成率・加算額の骨格を引き継いだ形で継続されています。

項目 内容
管轄省庁 厚生労働省
財源 雇用保険二事業(事業主負担分の雇用保険料)
申請窓口 都道府県労働局・ハローワーク(電子申請も可)
対象地域・業種 全国・業種制限なし
助成対象 休業・教育訓練・出向
支給限度日数 休業・教育訓練:初日から1年間で最大100日、3年間で最大150日/出向:最長1年

支給要件(4つの主要条件)

以下4つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると支給対象外となります。

  1. 雇用保険の適用事業主であること。労働保険料に滞納がある場合は不支給となります。
  2. 売上高・生産量などの事業活動指標が、直近3か月の月平均値で前年同期比10%以上減少していること。
  3. 雇用量(雇用保険被保険者数+受入派遣労働者数)が、直近3か月の月平均値で前年同期比、中小企業は10%超かつ4人以上、大企業は5%超かつ6人以上増加していないこと。
  4. 実施する雇用調整が一定の基準(労使協定の締結、計画届の事前提出など)を満たすこと。

過去に雇用調整助成金を受けた事業主が新たに対象期間を設定する場合、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日等の翌日から起算して1年を超えていることも必要です(クーリング期間)。なお、能登半島地震の被災事業主については、クーリング期間なしで2年連続の申請が認められる特例が令和7年も継続されています。

中小企業の定義(業種別)

業種 資本金 従業員数
小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他(製造業等) 3億円以下 300人以下

助成率・助成額(令和7年度)

1人1日あたりの助成額の上限は、雇用保険基本手当日額の最高額(令和7年8月1日時点で8,870円)です。休業手当は平均賃金の60%以上の支払いが受給の前提条件となります。助成金は休業手当の支払い後に申請・受給する仕組みのため、事業主は一時的に費用を立て替える必要があります。

【累計支給30日未満の期間】

取組区分 中小企業 大企業
休業・教育訓練 2/3 1/2
出向 2/3 1/2
教育訓練加算(訓練実施時) 1人1日あたり1,200円を加算

【累計支給30日達成後(令和6年4月改定適用)】

累計支給日数が30日に達した次の判定基礎期間から、教育訓練の実施割合に応じて助成率・加算額が変わります。

教育訓練の実施割合 中小企業 大企業
1/10未満 1/2(引き下げ) 1/4(引き下げ)
1/10以上1/5未満 2/3(維持) 1/2(維持)
1/5以上 加算額が1,200円→1,800円に増額

申請の流れ(6ステップ)

雇用調整助成金は「事前申請が必須」の制度です。休業開始後に計画届を提出しても受理されません。また、支給申請の締め切りは支給対象期間末日の翌日から2か月以内で、1日でも超過すると受理不可となります。

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    雇用調整計画の作成

    休業・教育訓練・出向のいずれを実施するか決定し、対象従業員・実施期間・日数・方法を整理します。

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    労使協定書の締結

    労働者代表との合意を得て、労使協定書を書面で作成します。協定なしでは申請不可です。

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    計画届の提出(期限:休業等開始の前日まで)

    「休業等実施計画届(様式第1号)」を都道府県労働局またはハローワークへ提出します。初回は休業等開始の2週間前を目安に提出することが推奨されています。計画届は支給対象期間ごとに提出が必要です。

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    雇用調整の実施

    計画に従って休業・教育訓練・出向を実施します。実施期間中は出勤簿・タイムカードで実績を正確に記録します。

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    支給申請書の提出(期限:支給対象期間末日の翌日から2か月以内・必着)

    支給申請書・助成額算定書・休業計画実績一覧表・出勤簿・賃金台帳・支給要件確認申立書等を提出します。電子申請は「雇用関係助成金ポータル」から可能です(令和5年12月18日より)。

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    審査・支給決定・振込

    審査を経て支給決定後、約3週間〜1か月で振込となります。

申請時の注意点とよくある失敗

不正受給の累計件数は2020年4月から2024年12月末までで1,545件・総額494億円超に達しています(東京商工リサーチ調べ)。支給決定取消は累計3,874件・約910億円に上ります。制度の適切な利用のために、以下の点を事前に確認してください。

失敗パターン 内容と影響
事後申請 計画届を休業開始後に提出→全額不支給
旧様式の使用 最新様式(令和7年8月1日更新版)以外は差し戻し対象
残業相殺の見落とし 休業日と同時期に残業させると助成対象日数が減算される
書類間の不整合 出勤簿と賃金台帳の記録が一致しないと審査で指摘・差し戻し
申請期限の超過 支給対象期間末日翌日から2か月を1日でも超えると受理不可
労働保険料の滞納 前年度以前の滞納があると全額不支給
平均賃金計算の誤り 個人の実賃金ではなく全社員の前年度平均賃金を使用する仕組みのため過大計算に注意
休業手当の支払率不足 平均賃金の60%未満の休業手当では受給要件を満たさない

管轄労働局によって求められる書類や記載方法が異なるケースもあります。申請前に管轄の労働局・ハローワークへの事前照会を行うことが確実です。社会保険労務士への相談も有効な手段です。

2025年の最新動向

  • 【令和6年4月改定(現在も適用中)】累計支給30日達成後から、教育訓練の実施率が低い企業(1/10未満)の助成率が引き下げられる仕組みが導入されました。逆に実施率が1/5以上の企業には加算額が増額(1,200円→1,800円)されます。また、クーリング期間の起算日も変更されています。
  • 【令和6年能登半島地震・豪雨特例(令和7年継続)】能登地域の被災事業主については、通常のクーリング期間(1年超)の要件が免除され、2年連続での申請が可能です。令和7年1年限りの特例として設けられています。
  • 【米国関税対策「緊急対応パッケージ」(2025年4月25日決定)】政府がトランプ関税への対応策として決定した緊急対応パッケージに、雇用調整助成金の支給要件緩和の検討が盛り込まれました。制度申請の簡素化など、今後の見直しが実施される可能性があります。
  • 【鳥インフルエンザへの対応】鳥インフルエンザに伴う経済上の理由により事業活動が縮小した事業主も、本助成金の利用対象となっています。
  • 【様式・要領の更新】要領・様式等は令和7年8月1日に更新されています。申請前に厚生労働省公式サイトから最新版をダウンロードしてください。

関連する主な支援制度

雇用調整助成金は、同一の対象者・期間に対する他の助成金との原則的な併給が認められていません。類似制度と目的の違いを把握したうえで、最適な制度を選択してください。

制度名 主な目的 管轄
産業雇用安定助成金 在籍型出向による雇用維持・スキルアップ 厚生労働省
キャリアアップ助成金 非正規労働者の正社員化・処遇改善 厚生労働省
人材開発支援助成金 従業員の教育訓練・スキルアップ費用の助成 厚生労働省
業務改善助成金 最低賃金引上げに伴う設備投資支援 厚生労働省
働き方改革推進支援助成金 時間外労働削減・有給取得促進 厚生労働省

自社の状況に合った制度を探す際は、 補助金検索 もご活用ください。

申請前の確認チェックリスト

以下の項目をすべて確認してから申請手続きを進めてください。

  • 雇用保険の適用事業主であり、労働保険料の滞納がない
  • 直近3か月の売上・生産量が前年同期比10%以上減少していることを証明できる書類がある
  • 過去1年間に労働関係法令違反(送検)がない
  • 休業等の開始前日までに計画届を提出できる(初回は2週間前を目安)
  • 労働者代表との合意のもと、労使協定書を締結できる
  • 出勤簿・タイムカード・賃金台帳・労働者名簿が整備されている
  • 厚生労働省HPから最新様式(令和7年8月1日更新版)をダウンロード済み
  • 休業手当を平均賃金の60%以上支払う体制がある
  • 支給申請を期間末日の翌日から2か月以内(必着)に行う日程を確認している
  • 同一費用・同一対象者で他の助成金を重複受給していない

※ 本制度は頻繁に改定されます。申請前には必ず厚生労働省の最新ガイドブックを確認し、管轄の労働局・ハローワークへの事前照会を行ってください。不正受給には支給額の返還・延滞金の納付・5年間の助成金不支給といった厳しいペナルティが課されます。

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