補助金・助成金・給付金の違い
「補助金」「助成金」「給付金」は似た言葉ですが、それぞれ異なる特徴があります。違いを理解して、自社に合った制度を活用しましょう。
3つの制度を比較する
補助金・助成金・給付金の主な違いを一覧表で確認しましょう。管轄省庁、審査の有無、金額規模だけでなく、申請の難易度や手続きにかかる期間も大きく異なります。
| 補助金 | 助成金 | 給付金 | |
|---|---|---|---|
| 主な管轄 | 経済産業省・自治体 | 厚生労働省 | 各省庁・自治体 |
| 審査 | あり(競争的) | 要件確認のみ | 要件確認のみ |
| 採択率 | 30〜60%程度 | 要件を満たせばほぼ100% | 要件を満たせばほぼ100% |
| 金額 | 数十万〜数億円 | 数万〜数百万円 | 定額が多い |
| 返済 | 不要 | 不要 | 不要 |
| 申請難易度 | 高い(事業計画書が必要) | 中程度(書類準備が必要) | 低い(簡易な申請が多い) |
| 手続き期間 | 申請〜入金まで6〜12ヶ月 | 申請〜入金まで3〜6ヶ月 | 申請〜入金まで1〜3ヶ月 |
| 典型的な活用シーン | 設備導入・新事業・販路開拓 | 人材育成・雇用改善・正社員化 | 災害・経済危機時の緊急支援 |
| 代表例 | ものづくり補助金、IT導入補助金 | キャリアアップ助成金、雇用調整助成金 | 持続化給付金(終了) |
補助金とは
補助金は、主に経済産業省や自治体が、産業振興や地域活性化などの政策目的を達成するために交付する資金です。審査があるため競争的で、すべての申請者が受給できるわけではありません。その分、1件あたりの金額が大きいのが特徴です。事業計画書の質が採択を左右します。
補助金の多くは「後払い(精算払い)」方式です。先に自己資金で事業を実施し、完了報告書を提出した後に補助金が振り込まれます。そのため、事業実施中の運転資金を確保しておく必要があります。また、補助金で購入した設備には一定期間の処分制限がかかるため、すぐに売却・廃棄することはできません。
公募には期間が定められており、年に数回の公募回(締切)があるのが一般的です。採択率は制度や年度によって異なりますが、概ね30〜60%程度で推移しています。専門家(認定支援機関)のサポートを受けることで、採択率を高めることができます。
こんな方におすすめ
新しい設備を導入して生産性を上げたい製造業
ものづくり補助金を活用すれば、最大1,250万円(通常枠)の設備投資費用を補助してもらえます。最新の加工機やロボットの導入を検討している方に最適です。
ホームページやECサイトを作りたい小規模事業者
小規模事業者持続化補助金では、ウェブサイト制作費の一部(最大50万円)を補助対象にできます。広告費やチラシ作成費も対象です。
業務効率化のためにITツールを導入したい
IT導入補助金なら、会計ソフト・受発注システム・顧客管理ツールなどの導入費用を最大450万円まで補助。デジタル化の第一歩を踏み出せます。
コロナ後に新しい事業に挑戦したい
事業再構築補助金は、既存事業の転換・新分野進出を支援する大型補助金です。飲食店がテイクアウト専門店に転換する、小売店がEC事業を始めるなど、大胆な事業転換に活用できます。
助成金とは
助成金は、主に厚生労働省が雇用の維持・促進を目的に支給する資金です。雇用保険に加入している事業者が対象で、要件を満たせば原則受給できます。従業員の雇用に関する取り組み(正社員化、研修実施、育休取得促進など)に対して支給されるものが多いです。
補助金と異なり、助成金には「審査による不採択」が基本的にありません。定められた要件(雇用保険加入、就業規則の整備、対象となる取り組みの実施など)を満たしていれば、原則として受給できます。ただし、書類の不備や要件の誤解による不支給は珍しくないため、事前の確認が重要です。
助成金の財源は雇用保険料です。そのため、雇用保険に加入していない個人事業主(従業員なし)は原則として対象外になります。また、直近の労働関連法令違反がある場合も受給できません。
こんな方におすすめ
パート・契約社員を正社員に転換したい
キャリアアップ助成金(正社員化コース)では、非正規社員を正社員に転換した場合、1人あたり最大80万円が支給されます。人材の定着率向上にもつながります。
従業員にスキルアップ研修を受けさせたい
人材開発支援助成金を活用すれば、研修費用と研修期間中の賃金の一部が助成されます。資格取得やOJT研修も対象です。
育児・介護と仕事を両立できる職場にしたい
両立支援等助成金では、育児休業の取得促進や復帰支援の取り組みに対して助成金が支給されます。男性の育休取得促進コースもあります。
経営が厳しく従業員の雇用を維持したい
雇用調整助成金を使えば、休業手当の一部が助成されます。売上減少時に従業員を解雇せずに雇用を維持するための制度です。
給付金とは
給付金は、特定の状況に置かれた事業者や個人に対して支給される資金です。コロナ禍の持続化給付金のように、経済的打撃を受けた事業者を支援する目的で緊急的に設けられることが多いです。定額支給が一般的で、事業計画書の提出は不要なケースが多いです。
給付金の最大の特徴は、手続きの簡易さとスピードです。補助金のような詳細な事業計画書は不要で、売上の減少や対象要件を証明する書類を提出すれば受給できます。審査期間も短く、申請から1〜3ヶ月程度で入金されるケースが多いです。
ただし、給付金は常時募集されているわけではありません。災害や経済危機など、特定の状況に応じて臨時的に設けられるものが大半です。平常時には募集していない制度がほとんどのため、該当する給付金があるかどうかは自治体のウェブサイトや当サイトで定期的に確認することをおすすめします。
こんな方におすすめ
自然災害で事業に被害を受けた
被災事業者向けの給付金や支援金が自治体から支給されることがあります。台風・地震・豪雨などの被害を受けた場合は、所在地の自治体に問い合わせましょう。
物価高騰で経営が圧迫されている
エネルギー価格や原材料費の高騰を受けて、自治体が独自の給付金を設けることがあります。光熱費・燃料費の補助として一定額が支給されるケースが多いです。
売上が急激に減少した
前年同月比で売上が大幅に減少した場合、国や自治体の緊急支援給付金の対象になることがあります。持続化給付金(終了済み)のような大規模制度が再び設けられる可能性もあります。
補助金と助成金の併用
補助金と助成金は管轄省庁が異なるため、同時に活用することが可能です。補助金は「設備投資・事業拡大」、助成金は「人材・雇用」と目的が異なるため、うまく組み合わせることで事業の成長を効率的に進められます。
ただし、同じ経費に対して複数の公的資金を重複して受け取ること(二重受給)は禁止されています。例えば、同じ設備の購入費に対して2つの補助金を申請することはできません。併用する場合は、それぞれ異なる経費に充てる必要があります。
併用の具体例
例1: 製造業の設備投資 + 人材育成
新しい工作機械の導入にものづくり補助金を活用し、その機械を操作する従業員の研修に人材開発支援助成金を活用する。設備費と研修費は別の経費なので併用可能です。
例2: 小売店のEC化 + 非正規社員の正社員化
ECサイトの構築費にIT導入補助金を活用し、EC運営を担当するパート社員の正社員化にキャリアアップ助成金を活用する。IT投資と雇用改善を同時に進められます。
例3: 飲食店の販路開拓 + 従業員の待遇改善
テイクアウト事業の立ち上げに小規模事業者持続化補助金を活用し、従業員の賃上げに業務改善助成金を活用する。新規事業と従業員のモチベーション向上を両立できます。
よくある勘違い FAQ
補助金・助成金・給付金について、よくある誤解をQ&A形式で解説します。
Q. 補助金は申請すれば必ずもらえる?
いいえ。補助金は審査があり、採択率は30〜60%程度です。事業計画書の内容が審査基準を満たさなければ不採択となります。一方、助成金は要件を満たせば原則受給できるため、確実性を重視する場合は助成金の活用を先に検討するのがおすすめです。
Q. 補助金は事業開始前に振り込まれる?
いいえ。補助金は原則として「後払い(精算払い)」です。まず自己資金で事業を実施し、完了報告書を提出した後に補助金が振り込まれます。採択から入金まで6〜12ヶ月かかるのが一般的です。事業実施期間中の資金繰りを事前に計画しておく必要があります。
Q. 助成金は従業員がいないともらえない?
基本的にはその通りです。厚生労働省の助成金は雇用保険が財源のため、雇用保険に加入している事業者(従業員を雇用している事業者)が対象です。ただし、創業時に従業員を雇う計画がある場合に利用できる助成金(地域雇用開発助成金など)もあります。
Q. 補助金で買ったものは自由に使える?
制限があります。補助金で取得した設備や資産には「処分制限期間」が設定されています。この期間内に売却・廃棄・目的外使用をする場合は、事前に承認を得る必要があり、補助金の一部または全部の返還を求められることがあります。
Q. 個人事業主でも補助金を申請できる?
はい、申請できます。小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金など、多くの補助金は個人事業主も対象です。法人化していなくても、開業届を出していれば申請可能な制度が数多くあります。
Q. 補助金と助成金は同時に使える?
はい、条件付きで可能です。補助金(経産省系)と助成金(厚労省系)は管轄が異なるため、同時に活用できます。ただし、同じ経費に対して重複して受け取ることはできません。詳しくは上記の「補助金と助成金の併用」セクションをご確認ください。
Q. 過去に不採択になったら再申請できない?
再申請は可能です。多くの補助金は次回以降の公募で再申請できます。不採択の理由を分析し、事業計画書を改善して再チャレンジすることで採択されるケースも少なくありません。ただし、不正受給で返還命令を受けた場合は、一定期間申請が制限されます。
代表的な制度ガイド
主要な補助金・助成金制度について、それぞれ詳しく解説した個別ガイドを用意しています。気になる制度があれば、詳細ガイドで申請要件や手続きの流れを確認しましょう。
補助金の個別ガイド
ものづくり補助金
革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援。最大1,250万円(通常枠)。中小企業の生産性向上を後押しする代表的な補助金です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の販路開拓を支援。ウェブサイト制作、チラシ作成、展示会出展など幅広い経費が対象。従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の事業者が対象です。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者のIT化を支援。会計ソフト、受発注システム、顧客管理ツールなど、認定されたITツールの導入費用を補助します。
事業再構築補助金
新分野展開、事業転換、業種転換など、思い切った事業再構築を支援する大型補助金。中小企業は最大1,500万円(成長枠)。
創業・スタートアップ向け補助金
これから創業する方、創業間もない方向けの補助金をまとめて解説。創業補助金や各自治体の創業支援制度を紹介しています。
助成金の個別ガイド
キャリアアップ助成金
非正規社員の正社員化や待遇改善を支援。正社員化コースでは1人あたり最大80万円を受給可能。最も利用者が多い助成金の一つです。
雇用調整助成金
経営悪化時に従業員の雇用を維持するための助成金。休業手当の一部を国が助成します。売上が減少した際の雇用維持に活用できます。
まとめ
- 設備投資・新事業に取り組みたい → 補助金を検討(審査あり・高額)
- 人材育成・雇用改善に取り組みたい → 助成金を検討(要件充足で受給可能)
- 緊急支援が必要 → 給付金の募集を確認(臨時的・簡易申請)
- 補助金と助成金は対象経費が異なれば併用可能(二重受給は禁止)
- 補助金は後払いが原則。資金繰りの計画を忘れずに
- 迷ったらまず当サイトで自社に合った制度を検索してみましょう
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