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人材育成・研修費用で使える補助金・助成金|従業員教育・スキルアップ支援ガイド

人材育成・研修費用で使える補助金・助成金|従業員教育・スキルアップ支援

従業員の研修・教育にかかるコストを国が助成する制度が「人材開発支援助成金」です。2025年度の予算規模は約2,417億円(対前年比101.8%)に達し、リスキリング支援だけで約1,236億円が計上されています。年間約27,000件(2022年度実績)が利用するこの制度は、要件を満たせば高い確率で受給できる助成金です。本記事では制度の全体像から申請手順、2025〜2026年度の最新改正情報までを整理します。

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金です。雇用する従業員(雇用保険被保険者)に対して、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる教育訓練を実施した場合に、訓練期間中の賃金の一部(賃金助成)訓練にかかった経費の一部(経費助成)が支給されます。

補助金と異なり、助成金は一定の要件を満たせば原則として受給できる制度です。採択審査による競争倍率の概念がなく、書類の要件を正確に満たすことが受給の鍵となります。

対象となる訓練は、新入社員向け導入研修・管理職研修・IT/DX分野のスキルアップ研修・資格取得講座など、職務に関連する幅広い内容が含まれます。

主要コースと補助率・補助額の比較

人材開発支援助成金には複数のコースがあり、企業の目的・状況に応じて選択します。以下の表に主要3コースの概要を整理します。

コース名 主な対象 経費助成率(中小) 賃金助成(中小・1人1時間) 支給限度額
人材育成支援コース 正社員・非正規労働者へのOFF-JT訓練(10時間以上) 60〜70% 800円(改定後) 1,000万円/年度
人への投資促進コース 高度デジタル人材・高度専門人材の育成 60〜75% 800円(改定後) コースにより異なる
事業展開等リスキリング支援コース 新規事業展開等に伴うリスキリング訓練 最大75% 800円(改定後) コースにより異なる

人への投資促進コースでは、訓練終了後に対象者全員の賃金を5%以上引き上げた場合、または毎月の賃金を3%以上引き上げる手当を支払った場合に、助成率が+15%加算されます(中小企業は最大75%)。

人材育成支援コースにおける経費助成率の内訳は以下の通りです(2025年度改正後)。

対象者区分 経費助成率(中小企業)
正社員 60%
非正規労働者(正社員転換有無を問わず) 70%(2025年4月改正後)

受給要件と対象事業者

助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 雇用保険の適用事業所であり、対象従業員が雇用保険被保険者であること
  • 事業内職業能力開発計画を作成し、雇用保険被保険者に内容を周知していること
  • 職業能力開発推進者を選任していること
  • 訓練期間中も、対象者に賃金を適正に支払っていること
  • 対象者の訓練受講時間が、実訓練時間数の8割以上であること
  • 審査に必要な書類を整備して5年間保存していること

中小企業の判定は、企業の「主たる事業」を基準に、資本金額(または出資総額)もしくは常時雇用する労働者数のいずれか一方が基準内であれば中小企業として扱われます。

eラーニング・通信制訓練の扱い

eラーニング及び通信制による訓練等(標準学習時間が定められているもの以外)については、訓練時間の区分が一律「10時間以上100時間未満」となります。通常の訓練時間区分と異なるため注意が必要です。

申請フローと必要書類

申請の流れは大きく4ステップです。

  1. 訓練計画届の提出(訓練開始の6ヶ月前〜1ヶ月前までの間)
    都道府県労働局に訓練計画届を提出。職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知が事前に必要です。2025年度改正により、計画届の提出期限が「訓練開始日から起算して6ヶ月前から1ヶ月前までの間」に変更されました。
  2. 訓練の実施
    訓練計画書に基づき、実際に訓練を実施します。受講時間が実訓練時間の8割以上であることが要件です。
  3. 支給申請(訓練終了日の翌日から2ヶ月以内)
    労働局に支給申請書と必要書類を提出します。期限を過ぎると一切受理されません。
  4. 審査・受給
    審査を経て助成金が支給されます。2025年度改正により、支給・不支給の審査は支給申請時に一括実施される仕組みになっています。

主な必要書類

  • 訓練実施計画届・年間職業能力開発計画・事業所確認票
  • 支給申請書
  • 賃金台帳・出勤簿の写し
  • 訓練経費の支払いを証明する書類(領収書等)
  • 訓練の実施内容がわかる書類(カリキュラム等)

電子申請が利用可能

2023年4月から「雇用関係助成金ポータル」での電子申請が可能です。24時間申請・申請状況の確認ができ、書類の郵送や窓口持参の手間を削減できます。

申請時の重要ポイントと失敗事例

助成金の申請では、制度の理解不足や書類の不備が受給失敗の主な原因となります。以下に典型的な失敗パターンと対策を示します。

訓練計画の論理構成

「良さそうな研修だから実施する」という理由では不十分です。「自社の事業目標が○○であり、それを達成するために△△のスキルが必要。そのためにこの訓練を実施する」という事業計画と人材育成計画を連動させた論理構成が求められます。事業計画との連動性が高いほど審査がスムーズに進みます。

よくある書類不備の例

不備の種類 具体的な内容
書類の添付漏れ 出勤簿・賃金台帳の添付忘れ、カリキュラムの未提出
記載内容の不一致 就業規則と雇用契約書の手当記載が一致していない
日付の齟齬 申請日と実施日の記載が矛盾している
期限超過 訓練終了後2ヶ月以内の支給申請期限を過ぎた

労働法令違反は不支給の原因に

支給申請日の前日から過去1年間に、労働基準法・最低賃金法などの労働関係法令に違反していた場合、審査時に発覚すると助成金が不支給となる可能性があります。日常的な労務管理の適正化が受給の前提条件です。

事前相談を活用する

2025年度の改正により、労働局による計画届の訓練前確認がなくなり、受付のみとなりました。支給・不支給の審査は支給申請時に一括実施されるため、実施する訓練が助成対象となるか否かを事前に社会保険労務士(社労士)に相談することを推奨します。

2025〜2026年度の最新改正情報

制度は毎年度改正されます。以下に2025年度(令和7年度)実施済みの改正と、2026年度(令和8年度)の予定改正を整理します。

2025年度(令和7年度)の主な改正

改正項目 改正前 改正後
賃金助成額(中小企業) 760円/人・時間 800円/人・時間
賃金助成額(中小企業以外) 380円/人・時間 400円/人・時間
非正規労働者の経費助成率(有期実習型訓練) 正社員転換有無で60%/70%に分離 訓練修了後の正社員化が支給要件に(有期実習型訓練)
計画届の提出期限 訓練開始日の1ヶ月前まで 訓練開始日から6ヶ月前〜1ヶ月前の間
添付書類の提出タイミング 計画届提出時・支給申請時の両方 支給申請時のみに簡素化

2026年度(令和8年度)の主な予定改正

  • 設備投資助成の新設:リスキリング支援コース受講企業が、訓練で習得した知識・技能を活用して生産性向上につながる機器・設備を購入した場合に助成。対象は中小企業のみで、助成額は購入費用の50%、上限は最大150万円の予定。
  • 事業展開等リスキリング支援コースの対象訓練拡充:令和8年3月2日から、おおむね3年以内の人事配置計画に基づき「これから従事する予定の職務」に必要な知識・技能を習得するための訓練も対象に追加済み。
  • 予算規模:人材開発支援助成金の2026年度概算要求額は533億円。

期間限定コースの終了に注意

「人への投資促進コース」と「事業展開等リスキリング支援コース」は、令和4年度(2022年度)から令和8年度(2026年度)までの期間限定制度です。現時点では令和8年度が最終年度となる見込みのため、活用を検討している企業は早期に申請準備を開始することが重要です。

あわせて活用できる関連支援制度

人材育成・研修費用を支援する制度は人材開発支援助成金以外にも存在します。目的に応じて組み合わせることで支援を最大化できます。

制度名 目的・対象 主な助成内容 2026年度概算要求
キャリアアップ助成金 非正規労働者の正社員化・処遇改善 正社員転換時の助成・情報開示加算(1事業所20万円) 554億円
業務改善助成金 生産性向上のための設備投資+最低賃金引き上げ 設備投資費用の一部助成 35億円
DXリスキリング助成金(地域別) 中小企業のDX人材育成研修 対象経費の2/3、上限64万円 自治体により異なる
オンラインスキルアップ助成金(地域別) eラーニングを活用したスキルアップ eラーニング関連費用の一部 自治体により異なる

自社が活用できる制度を幅広く調べるには、補助金・助成金検索をご活用ください。

まとめ:人材育成助成金活用のポイント

  • ・人材開発支援助成金は厚生労働省が所管。2025年度の関連予算は約2,417億円規模で、年間約27,000件(2022年度)が利用する実績ある制度。
  • ・主要3コース(人材育成支援・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援)があり、中小企業の経費助成率は最大75%、賃金助成は1人1時間あたり800円(2025年度改定後)。
  • ・申請は「訓練計画届の提出(訓練開始の6ヶ月前〜1ヶ月前)→訓練実施→支給申請(終了後2ヶ月以内)」の流れ。期限超過は一切受理されない。
  • ・事業計画と人材育成計画を連動させた論理構成が審査の鍵。「なんとなく良さそうな研修」では不十分。
  • ・書類の添付漏れ・記載内容の不一致・労働法令違反は不支給の主要原因。日常的な労務管理の適正化が前提。
  • ・「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」は2026年度(令和8年度)が期間限定制度の最終年度となる見込み。
  • ・2026年度は新たにリスキリング受講企業への設備投資助成(最大150万円)が新設予定。
  • ・キャリアアップ助成金・業務改善助成金・地域別DXリスキリング助成金との併用も検討に値する。
  • ・複雑な申請は社会保険労務士(社労士)への事前相談を推奨。申請前に管轄の都道府県労働局または厚生労働省公式サイトで最新情報を確認すること。

参考情報

本記事は以下の情報源を参考に作成しています(情報基準:2025年3月時点)。申請前には必ず最新の公式情報をご確認ください。

最新情報の確認について

助成金制度は年度ごとに内容が変更されます。申請前には必ず厚生労働省公式サイトの最新パンフレットを確認し、管轄の都道府県労働局またはハローワークへの相談をお勧めします。

その他の補助金・助成金を探す場合は、補助金・助成金一覧ガイドもご参照ください。

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