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キャリアアップ助成金とは?2025〜2026年度版 完全ガイド

キャリアアップ助成金とは?対象要件・支給額・申請方法を解説

キャリアアップ助成金は、有期雇用・短時間・派遣労働者などの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主を対象に、厚生労働省が支給する雇用関係助成金です。中小企業が有期雇用労働者を正社員化した場合、1人あたり最大80万円(重点支援対象者の場合)を受給できます。本記事では、2025年4月以降の制度改正も踏まえ、対象要件・支給額・申請手順・注意点を網羅的に整理します。

制度の概要と目的

国内の非正規雇用労働者は近年、全労働者の約40%を占めています。キャリアアップ助成金はこうした状況を踏まえ、企業内での非正規労働者のキャリアアップを後押しするために設けられた制度です。受給には大きく2つのステップがあります。①正社員化・処遇改善に関する制度を就業規則等に整備すること、②整備した制度に基づいて実際に正社員化・処遇改善を実行することです。

2025年11月時点では、以下の7コースが存在します。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日暫定終了)
  • 短時間労働者労働時間延長支援コース(令和7年7月新設)

令和8年度概算要求では、正社員化コースと賃金規定等改定コースを合わせて554億円が要求枠として示されており、国が継続的に重視する制度です。

対象事業主の要件

全コース共通で、以下の要件を満たす事業主が対象です。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 事業所ごとにキャリアアップ管理者を任命していること(他事業所との兼任・労働者代表との兼任は不可)
  • 対象労働者の労働条件・賃金支払い状況を明らかにする書類を整備していること
  • キャリアアップ計画期間内に計画に記載した取り組みを実施していること
  • 支給申請日前の1年間に労働関係法令の違反がないこと

次のいずれかに該当する場合は受給できません。倒産している事業主、労働保険料を未納の事業主、性風俗関連営業を行う事業主、暴力団との関係がある事業主などが該当します。

支給額は企業規模(中小・大企業)で異なります。業種別の中小企業の定義は以下のとおりです。

業種 資本金 または 常時雇用労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他(製造業等) 3億円以下 300人以下

正社員化コースの支給額(2025年4月以降)

2025年4月1日以降の転換では、「重点支援対象者」かどうかで支給額の仕組みが大きく異なります。雇用から3年未満の一般的な有期雇用労働者(重点支援対象者以外)は、従来の2期制が廃止され、1期(6か月)のみの支給となりました。

区分 転換元 中小企業 大企業
重点支援対象者以外(1期制) 有期雇用→正社員 40万円 30万円
重点支援対象者以外(1期制) 無期雇用→正社員 20万円 15万円
重点支援対象者(2期制・合計) 有期雇用→正社員 80万円(40万×2) 60万円(30万×2)
重点支援対象者(2期制・合計) 無期雇用→正社員 40万円(20万×2) 30万円(15万×2)

「重点支援対象者」は以下のA〜Cのいずれかに該当する人です。

  • A:雇い入れから3年以上の有期雇用労働者
  • B:雇い入れから3年未満で、過去5年間の正社員期間合計が1年以下、かつ過去1年間に正社員として雇用されていない人
  • C:派遣労働者、母子(父子)家庭の親、人材開発支援助成金の特定訓練修了者

加算措置として、正社員転換制度を新たに規定した場合は1事業所あたり20万円(大企業15万円)、多様な正社員制度を新たに規定した場合は40万円(大企業30万円)が加算されます。年度あたりの申請上限は1事業所20名です。

また、令和8年度(2026年度)からは「非正規雇用労働者情報開示加算」(5万〜20万円、中小企業)の新設が見込まれており、活用次第で最大115万円超の受給も想定されます(概算要求段階のため正式決定後に要確認)。

申請フローと必要書類

申請は窓口持参・郵送・電子申請(GビズID取得後、雇用関係助成金ポータル経由)のいずれかで、管轄の都道府県労働局へ行います。電子申請以外の場合も含め、以下のステップが必要です。

  1. キャリアアップ管理者の配置:事業所ごとに専任で任命する。
  2. キャリアアップ計画書の作成・提出(実施前日まで):2025年度より認定制から届出制に簡素化されたが、実施前の提出は引き続き必須。
  3. 就業規則の改定・整備:正社員・非正規の雇用区分・賃金差を明文化する。
  4. 正社員化・処遇改善の実施:整備した制度に基づいて転換を行う。
  5. 6か月分の賃金支払い:転換後6か月間、転換前より3%以上増額した賃金を支払う。
  6. 支給申請:賃金支払日の翌日から2か月以内に申請。期限超過は一切受理されない。
  7. 審査・支給決定:申請から約半年で支給決定。書類の整合性(出勤簿・賃金台帳・雇用契約書・就業規則等)が細かく確認される。

補助金と異なり、キャリアアップ助成金は支給要件を満たしていれば審査で落とされる仕組みではありません。ただし審査は年々厳格化されており、書類の不備や法令違反が判明した場合は不支給となります。

申請時の注意点とよくある失敗

以下の失敗パターンは申請実務で頻繁に見られます。事前に確認してください。

# 失敗の内容 対策
1 計画書を事前提出せずに転換を実施 実施前日までに労働局へ届出を完了させる
2 就業規則に正社員・非正規の区分が未規定 雇用区分・賃金差を就業規則に明文化する
3 3%増額計算に賞与・変動手当を含めた 毎月固定の基本給ベースのみで計算する
4 申請期限(2か月)を超過して提出 賃金支払日をトリガーにカレンダー管理を徹底する
5 転換前後の6か月間に会社都合の離職が発生 転換日前後6か月の離職状況を継続的にモニタリングする
6 新卒者を雇用から1年未満で転換(2025年度〜対象外) 新卒採用者は1年以上の有期期間経過後に転換する
7 取締役の3親等以内の親族を対象に申請 取締役等の家族(甥・姪含む)は対象外と認識する

不正受給が発覚した場合、支給額の全額返還に加え、支給日翌日から返還日までの年3%の延滞金・返還額の20%の違約金が課され、その後5年間は全ての雇用関係助成金を受給できなくなります。

2025年度の主要改正点

令和7年度(2025年4月〜)に実施された主要な制度変更は以下のとおりです。

  • 正社員化コースの支給額見直し:重点支援対象者以外は2期制が廃止され、1期制(最大40万円・中小)に引き下げ。重点支援対象者は引き続き2期制(最大80万円・中小)が適用。
  • キャリアアップ計画書の届出制への移行:従来の認定制から届出制に簡素化。ただし実施前日までの提出は変わらず必須。
  • 短時間労働者労働時間延長支援コースの新設(令和7年7月1日〜):「年収の壁」対策として、週所定労働時間を延長して社会保険を新たに適用させた場合に最大75万円(1年目50万円+2年目25万円)を支給。小規模企業への支援が手厚い設計。
  • 社会保険適用時処遇改善コースの暫定終了:令和8年3月31日で終了。活用を検討中の場合は早急な届出が必要。
  • 新卒者の取り扱い変更:学校卒業後、雇用から1年未満の新卒者は正社員化コースの対象外。

令和8年度(2026年度)からは「非正規雇用労働者情報開示加算」の新設が概算要求段階で示されています。自社の非正規雇用情報を「しょくらぼ」等の厚生労働省サイトで開示することが要件となる見込みで、1事業所あたり1回のみ適用(中小企業5万〜20万円の範囲)の予定です。正式決定後に内容が変更される可能性があるため、最新情報の確認が必要です。

関連制度との併用

キャリアアップ助成金は他の助成金と組み合わせることで、より効果的な活用が可能です。主な関連制度は以下のとおりです。

助成金名 目的 併用可否
人材開発支援助成金 職業能力開発・スキルアップ訓練支援 ◎ 併用可
両立支援等助成金 育児・介護と仕事の両立支援 ○ 併用可
業務改善助成金 最低賃金引上げ+生産性向上設備投資 ○ 併用可
特定求職者雇用開発助成金 高齢者・障害者等の採用支援 △ 要確認
トライアル雇用助成金 就職困難者の試行雇用支援 △ 要確認

特に人材開発支援助成金との組み合わせは有効です。人材開発支援助成金で従業員のスキルアップ訓練を実施し、その訓練修了者をキャリアアップ助成金の「重点支援対象者C」として正社員転換することで、訓練支援と正社員化支援の両方を受けられます。なお、人材開発支援助成金は雇用保険の被保険者(週20時間以上勤務)を対象とし、有期・正規の区別なく適用される点でキャリアアップ助成金と対象範囲が異なります。

自社に適した制度の組み合わせを調べるには、以下の検索から確認できます。

まとめ:2025〜2026年のキャリアアップ助成金 重要ポイント

  • 重点支援対象者かどうかで支給額が大きく変わる。雇用から3年以上の有期雇用者や派遣労働者などは2期制(中小最大80万円)。それ以外は1期制(中小最大40万円)に変更された。
  • キャリアアップ計画書は届出制に簡素化されたが、実施前提出は絶対条件。就業規則・雇用契約書・賃金台帳の整合性が審査の焦点となる。
  • 社会保険適用時処遇改善コースは2026年3月31日で暫定終了。「年収の壁」対策として活用を検討している場合は早急な届出が必要。
  • 令和8年度から「非正規雇用労働者情報開示加算」(最大20万円・中小)の新設が見込まれる。ただし概算要求段階のため、正式決定後に厚生労働省の最新情報を確認すること。
  • 申請期限は賃金支払日の翌日から2か月以内。期限超過は一切受理されないため、転換実施後すぐにスケジュール管理を開始する。

参考情報

※ 本記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。制度の詳細・最新情報は厚生労働省の公式サイトを必ずご確認ください。

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