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ものづくり補助金と事業再構築補助金の違い|どちらを申請すべき?

ものづくり補助金と事業再構築補助金の違い|どちらを申請すべき?

中小企業が活用できる代表的な補助金として「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」があります。どちらも数千万円規模の補助を受けられる制度ですが、目的・対象経費・補助率・申請要件は大きく異なります。事業再構築補助金は第13回公募(2025年3月締切)をもって新規受付を終了しており、その役割は後継の「中小企業新事業進出補助金」に引き継がれています。本記事では両制度の違いを整理したうえで、2026年6月時点でどの制度を選べるのか、最新動向とあわせて解説します。

1. 制度の目的・概要

両補助金は名称が似ていますが、支援の方向性は根本的に異なります。一言で表すと、既存事業を強化するならものづくり補助金新たな事業に踏み出すなら事業再構築補助金です。 ものづくり補助金の基本については「ものづくり補助金とは?」で解説しています。

事業再構築補助金は新規公募を終了しています

事業再構築補助金の新規応募受付は第13回公募(2025年3月26日締切)で終了し、現在は採択者向けの交付申請・実績報告等の手続きのみ実施されています。新たに申請する場合は、後継の「中小企業新事業進出補助金」(第4回公募:2026年6月19日18:00締切)が選択肢となります。本記事の事業再構築補助金に関する記述は、制度比較と後継制度理解のための参考情報です。
項目 ものづくり補助金 事業再構築補助金
正式名称 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 事業再構築補助金
目的 革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善による生産性向上 ポストコロナ時代の経済変化に対応するための事業再構築・構造転換
対象事業 既存事業の強化・生産性向上 業種転換・新規事業・事業転換など
予算規模 約1,000億円 約1兆円(約10倍)

予算規模(制度創設時)は事業再構築補助金がものづくり補助金の約10倍と大きく、コロナ禍を背景に多くの事業者が活用した制度でした。

2. 対象者・申請要件

両補助金とも中小企業・個人事業主が主な対象ですが、対象範囲と要件に違いがあります。

項目 ものづくり補助金 事業再構築補助金
対象法人 中小企業・小規模事業者・個人事業主・企業組合・社会福祉法人等 中小企業・中堅企業(資本金10億円未満)・個人事業主等
本社所在地 日本国内 日本国内
従業員要件 第21次より最低1名の給与支給従業員が必要(0名は申請不可) 各枠の要件に準ずる
認定支援機関 不要(社内で事業計画策定可) 必要(認定支援機関との連携必須)
賃上げペナルティ あり(未達時に制裁措置) なし

中堅企業はものづくり補助金の対象外

資本金10億円未満でも中小企業の規模を超える「中堅企業」は、ものづくり補助金の対象外となります。中堅企業の受け皿だった事業再構築補助金は新規公募を終了しているため、現在は中堅・中小企業の大規模成長投資補助金(最大50億円)などが大型投資の選択肢となります。各制度の対象者要件は最新の公募要領で確認してください。

ものづくり補助金の賃上げペナルティに注意

ものづくり補助金には賃上げ目標の達成が求められ、未達の場合は一定期間(未達報告から1年半以内)に申請したものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金などの採択率が下がるペナルティがあります。事業再構築補助金にはこのペナルティ規定はありません。

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3. 補助額・補助率・対象経費

補助額・補助率・対象経費の違いは申請先を選ぶうえで最も重要な判断材料です。

項目 ものづくり補助金 事業再構築補助金
補助上限(主要枠) 製品・サービス高付加価値化枠:750万〜2,500万円(大幅賃上げ特例で最大3,500万円)
グローバル枠:最大3,000万円(特例4,000万円)
成長分野進出枠(通常)3,000万円
GX進出類型:中小5,000万円・中堅1億円(いずれも最終回時点)
補助率(中小企業) 1/2(小規模事業者は2/3) 1/2〜3/4(枠・類型により異なる)
収益納付 求められない 一定条件で発生する場合あり
設備費 ◎ 対象 ◎ 対象
建物費 ✕ 対象外 ◎ 対象
広告宣伝費・販売促進費 ✕ 対象外 ◎ 対象
研修費 ✕ 対象外 ◎ 対象
事前着手申請 ✕ なし △ 第13回以降は廃止

建物費・広告費・研修費が必要な場合は新事業進出補助金を検討

店舗・工場の建築、新事業の広告展開、従業員研修を補助対象に含めたい場合、ものづくり補助金ではこれらは補助対象外です。事業再構築補助金ではこれらが対象でしたが新規公募は終了しているため、後継の新事業進出補助金の公募要領で対象経費を確認のうえ検討してください。

小規模事業者(常時使用する労働者数20名以下、商業・サービス業は5名以下)に該当する場合、ものづくり補助金では補助率が2/3に引き上げられるため、設備投資が中心の案件であればものづくり補助金の方が経済的に有利なケースがあります。

4. 採択率・実績データ

採択率の観点では、ものづくり補助金の方が高い傾向にあります。

補助金 回次・条件 応募件数 採択件数 採択率
ものづくり補助金 第19次 31.8%
ものづくり補助金 第20次 33.6%
ものづくり補助金 第21次 1,872件 638件 34.1%
ものづくり補助金 第22次(2026年4月発表) 1,552件 582件 37.5%
ものづくり補助金 第13次(一般型) 3,261件 1,903件 58.35%
事業再構築補助金 第5次(全体) 21,035件 9,707件 46.1%
事業再構築補助金 第5次(中小通常枠) 39.8%
事業再構築補助金 第8次(全体) 12,591件 6,456件 51.3%
事業再構築補助金 第13回(最終回・2025年6月発表) 3,100件 1,101件 35.5%
新事業進出補助金(後継) 第1回(2025年10月発表) 3,006件 1,118件 37.2%
新事業進出補助金(後継) 第2回(2026年3月発表) 2,350件 832件 35.4%

ものづくり補助金は近年30%台での推移が定着しており(直近の第22次は37.5%)、採択ハードルは決して低くありません。事業再構築補助金も終盤は採択率が下がり、最終回の第13回は35.5%でした。後継の新事業進出補助金も第1回37.2%・第2回35.4%と、いずれも「3社に1社」程度の競争水準です。採択率だけで判断するのではなく、自社の事業内容に合った補助金を選ぶことが最優先です。

5. 申請フロー・スケジュール

申請手続きの複雑さにも違いがあります。

ものづくり補助金の申請フロー

  1. 公募要領の確認
  2. GビズIDプライムアカウントの取得
  3. 必要書類の準備(事業計画書・決算書等)
  4. 電子申請システム(jGrants)へのログイン・内容入力
  5. 必要書類の添付・システム上での自動チェック・送信
  6. 外部有識者による審査(申請締切から約2か月後に採択通知)

事業再構築補助金(第13回・最終回)のスケジュール【新規受付終了】

  • 公募開始:2025年1月10日(金)
  • 申請締切:2025年3月26日(水)18:00(この回をもって新規公募終了)
  • 採択発表:2025年6月30日(応募3,100者・採択1,101者)

新事業進出補助金(第4回・後継制度)のスケジュール

  • 公募開始:2026年3月27日(金)
  • 申請受付開始:2026年5月19日(火)
  • 申請締切:2026年6月19日(金)18:00
  • 採択発表:2026年9月末頃(予定)

新事業進出補助金の第4回公募は、単独制度としては最後の公募とされています。以降はものづくり補助金と統合した「新事業進出・ものづくり補助金」として公募される予定です。

事業再構築補助金:第13回より事前着手が完全廃止

第13回公募から、事前着手はいかなる理由があっても一切認められなくなりました。交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したもののみが補助対象経費となります。過去の慣例で事前に発注・支払いを行うと補助対象外になるため注意が必要です。

認定支援機関の関与が必要かどうかも重要な違い

ものづくり補助金は社内で事業計画を策定できますが、事業再構築補助金は認定支援機関(税理士・金融機関・商工会議所等)の確認・連携が必須でした。後継の新事業進出補助金でも金融機関要件等が課されるため、外部機関との調整に一定の時間と費用がかかる点を考慮してください。

6. 申請のコツ・注意点

ものづくり補助金のポイント

  • 審査項目(革新性・優位性・実現可能性・適格性等)は公募要領に明記されており、事業計画書の作成前に必ず確認する必要があります。
  • 補助申請金額が一定額以上の事業者はオンライン口頭審査が実施されます。個人事業主本人または法人代表者が1人で臨む必要があるため、経営者自身が事業計画を深く理解していることが前提となります。
  • 設備投資の規模が企業の財務体力に見合っていない「過剰投資」「不適切投資」は審査で厳しくチェックされ、不採択の主要因となります。
  • 過去3年以内に交付決定を2回以上受けている場合は再申請が不可。1回の場合は減点措置の対象となります。

事業再構築補助金のポイント

  • 採択率を左右するのは「事業計画書」の質です。事業再構築の必要性・有望な事業テーマ・具体的な事業計画の3点がわかりやすく記載されているかが審査の肝となります。
  • 賃上げ計画を盛り込んで申請する必要があります。未達の場合、その後のものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金の採択率にも影響が出ます。
  • 既存顧客への販売ではなく新市場・新顧客の開拓が前提となるため、ものづくり補助金と比べて事業リスクは高くなります。

7. どちらを選ぶべきか:判断チャート

以下の判断基準をもとに、自社の状況に照らし合わせて選択してください。なお、事業再構築補助金は新規公募を終了しているため、下表で「事業再構築補助金」が該当する場合は、後継の新事業進出補助金(2026年度以降は統合後の「新事業進出・ものづくり補助金」)を検討してください。

状況・条件 推奨する補助金 理由
既存事業の設備投資・生産性向上 ものづくり補助金 目的・対象経費が合致
業種転換・新規事業への参入 事業再構築補助金 事業再構築が要件の中核
建物建設・広告宣伝費・研修費が必要 事業再構築補助金 ものづくり補助金では対象外
小規模事業者(製造業等20名以下)で設備投資 ものづくり補助金 補助率2/3で有利
中堅企業(中小企業規模超・資本金10億円未満) 事業再構築補助金 ものづくり補助金の対象外
高額補助(5,000万円超)が必要 事業再構築補助金(後継:新事業進出補助金) 新事業進出補助金は最大7,000万円(特例9,000万円)
既存顧客向けの改良・改善が中心 ものづくり補助金 リスクが低く事業成功確率が高い
認定支援機関へのアクセスが難しい ものづくり補助金 認定支援機関が不要

2つの補助金の併用も可能

複数の事業を展開している場合、事業Aでものづくり補助金、事業Bで事業再構築補助金をそれぞれ申請・採択されれば、両方の補助金を受け取ることができます。ただし、同一事業での重複申請はできません。

8. 2026年度の最新動向

両制度をめぐる状況は2026年度に大きく動いています。申請を検討する際は最新の公募要領を必ず確認してください。

ものづくり補助金:第23次が現行制度最後の公募の見込み

ものづくり補助金の第23次公募は2026年5月8日で申請受付を終了し(採択発表は2026年8月上旬予定)、これが現行制度として最後の公募となる見込みです。令和7年度補正予算により、新事業進出補助金と統合した「新事業進出・ものづくり補助金」が創設され、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3枠で構成される予定です。グローバル枠の補助上限は最大7,000万円(大幅賃上げ特例で9,000万円)へ引き上げられる見込みで、第1回公募は公募要領が2026年6月頃公開・申請受付が2026年8月頃開始と予告されています(確定スケジュールは未公表)。

事業再構築補助金:第13回で終了、新事業進出補助金が後継に

事業再構築補助金はコロナ禍の経済変化に対応するために創設された制度で、第13回公募(採択結果は2025年6月30日公表、採択率約35.5%)をもって新規受付を終了しました。後継として2025年4月に創設された「中小企業新事業進出補助金」は、新事業進出・事業転換を支援する制度で、補助率は1/2(大幅賃上げ特例で2/3)、補助上限は従業員数に応じて2,500万〜7,000万円(特例適用で最大9,000万円、補助下限750万円)です。第4回公募(2026年6月19日18:00締切)が単独制度としては最後の公募とされ、以降は統合後の新制度に引き継がれます。

制度変更に注意:申請前に必ず最新情報を確認

両補助金の制度・公募要領は年度や公募回次によって変更されます。補助上限額・補助率・対象経費・申請要件が変わる可能性があるため、申請前には必ず各公式サイトで最新の公募要領を確認してください。

まとめ:ものづくり補助金 vs 事業再構築補助金

  • 制度の現状:事業再構築補助金は第13回(2025年3月締切)で新規公募を終了。新規申請は後継の新事業進出補助金(第4回:2026年6月19日締切)が選択肢です。
  • 目的の違い:ものづくり補助金は既存事業の生産性向上、事業再構築補助金(後継:新事業進出補助金)は新規事業・事業転換を支援する制度です。
  • 対象経費の違い:建物費・広告宣伝費・研修費はものづくり補助金では対象外。これらが必要な場合は新事業進出補助金系の制度が適しています。
  • 補助額の違い:高額補助が必要な場合は新事業進出補助金(補助上限2,500万〜7,000万円、特例で最大9,000万円)が有利です。
  • 補助率の違い:小規模事業者はものづくり補助金で2/3の補助率が適用され、設備投資であれば経済的に有利な場合があります。
  • 採択率:直近の数値ではものづくり補助金34〜37%台、新事業進出補助金35〜37%台。採択率だけで選択せず、事業内容との適合性を最優先にしてください。
  • 申請要件:事業再構築補助金は認定支援機関の関与が必須でした(新事業進出補助金にも金融機関要件あり)。ものづくり補助金は賃上げペナルティに注意が必要です。
  • 2026年度以降:両制度は「新事業進出・ものづくり補助金」へ統合再編予定(第1回公募は2026年夏頃見込み)。申請前に最新の公募要領を必ず確認してください。
  • 併用:異なる事業であれば複数の補助金を同時に申請・受給することは可能です(同一事業での重複申請は不可)。

参考情報

本記事の作成にあたり、以下の公的機関・情報源を参照しました。

補助金の条件・金額・スケジュールは公募回次ごとに変更されます。最新情報は各公式サイトおよび 補助金ガイド一覧 でご確認ください。また、申請の際は認定支援機関や商工会議所への相談も有効な手段です。

この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

X-HACK Inc. 代表取締役。システムコンサルタントとして中小企業の基幹システム構築・業務設計に携わったのち、自ら起業。小規模ビジネスの立ち上げから黒字化までを複数回経験し、採用・資金調達・補助金申請の実務にも精通。「補助金さがすAI」の開発・運営を通じて、経営者が本当に必要とする情報を現場目線で発信しています。

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