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ものづくり補助金と小規模事業者持続化補助金の違い|どちらを申請すべき?

中小企業・小規模事業者が活用できる代表的な補助金として、「ものづくり補助金」と「小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)」の2つが挙げられます。どちらも経済産業省・中小企業庁が管轄する制度ですが、対象者・補助額・申請要件・採択率はまったく異なります。本記事では、2026年度の最新情報をもとに両制度を徹底比較し、自社に適した補助金を判断するための情報を整理します。

制度概要と目的の違い

2つの補助金は、名称こそ似た雰囲気を持ちますが、設計思想と支援対象が大きく異なります。

項目 ものづくり補助金 小規模事業者持続化補助金
正式名称 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 小規模事業者持続化補助金
主な目的 革新的な新製品・新サービスの開発、生産性向上のための設備投資 販路開拓・業務効率化による小規模事業者の持続的発展
対象規模 中小企業・小規模事業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限あり) 小規模事業者のみ(商業・サービス業5人以下、製造業等20人以下)
補助上限額 750万〜2,500万円(グローバル枠は3,000万円) 50万〜250万円
補助率 中小企業1/2、小規模事業者2/3 2/3(条件により3/4)
採択率(直近) 約34.1%(第21次公募・2026年1月発表) 約51.0%(第17回公募・2025年9月発表)
報告義務 補助事業終了後5年間の年次報告 補助事業終了後1年後報告

端的に整理すると、「革新的な設備投資・開発に大きな資金が必要な中小企業」にはものづくり補助金、「販路開拓や広告・ウェブサイト制作などに取り組む小規模事業者」には持続化補助金が対応しています。

対象者・申請要件の詳細

ものづくり補助金の対象要件

業種ごとに資本金・従業員数の上限が定められています。

業種 資本金上限 従業員数上限
製造業・建設業・ソフトウェア業 3億円 300人以下
小売業 5,000万円 50人以下
その他 1,000万〜5,000万円 50〜300人程度

申請にあたっては、補助事業終了後3〜5年の事業計画の策定が必須です。また、すべての申請者が以下の基本要件を満たす必要があります(従業員21名以上は要件④も追加)。

  • 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること
  • 事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上とすること
  • 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること

小規模事業者持続化補助金の対象要件

「小規模事業者」に該当することが前提条件です。従業員数の定義は業種によって異なります。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員5人以下
  • 製造業その他(宿泊業・娯楽業を含む):常時使用する従業員20人以下
  • 法人・個人事業主・特定非営利活動法人が対象
  • 申請時点で日本国内にて開業していること

個人事業主の従業員数カウントについて

個人事業主本人および同居の親族従業員は、常時使用する従業員数に含めません。そのため、家族経営の個人事業主であっても要件を満たすケースが多くあります。

補助額・補助率の詳細(2026年度)

ものづくり補助金(第22次公募)

申請枠 補助上限額 補助率
製品・サービス高付加価値化枠 750万〜2,500万円(従業員数による) 中小企業1/2、小規模事業者・再生事業者2/3
グローバル枠 3,000万円 中小企業1/2、小規模事業者2/3

大幅な賃上げに取り組む事業者向けに「補助上限額引上げの特例」があり、条件を満たせば補助上限額が100〜1,000万円上乗せされます。また、2026年度からは従来あった「収益納付」制度が撤廃され、補助事業で利益が出た場合でも国への返納義務がなくなりました。

小規模事業者持続化補助金(第19回公募)

申請枠 補助上限額 補助率 特例加算
通常枠(一般型) 50万円(特例活用で最大250万円) 2/3(条件により3/4) インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円
創業型 200万円(インボイス特例活用で最大250万円) 2/3 インボイス特例+50万円

補助金は後払い制度

どちらの補助金も、採択・交付決定後に事業を実施し、実績報告後に補助金が支払われる「後払い(精算払い)」方式です。事業実施中は自己資金で費用を立て替える必要があります。事前に必要な自己資金を確保した上で申請を検討してください。

申請フロー・スケジュールの比較

ものづくり補助金(第22次公募)のスケジュール

フェーズ 日程
公募開始 2025年10月24日
電子申請受付開始 2025年12月26日(金)17:00〜
申請締切 2026年1月30日(金)17:00
採択結果公表 2026年4月下旬(予定)

申請は電子申請システムのみで、郵送での受付はありません。GビズIDプライムアカウントの取得に2〜3週間程度かかるため、早めの準備が必要です。申請金額が一定以上の場合はオンラインでの口頭審査が実施されます。必要書類は事業計画書・補助経費に関する誓約書・賃金引上げ計画の誓約書・直近2年間の決算書・従業員数の確認資料です。

小規模事業者持続化補助金(第19回公募)のスケジュール

フェーズ 日程
公募要領公開 2026年1月28日(水)
申請受付開始 2026年3月6日(金)
様式4(事業支援計画書)発行受付締切 2026年4月16日(木)
申請受付締切 2026年4月30日(木)17:00

持続化補助金は商工会・商工会議所の事前相談が必須

小規模事業者持続化補助金の申請には、地域の商工会または商工会議所で経営相談を受け、「事業支援計画書(様式4)」の発行を受ける必要があります。様式4の発行受付締切は申請締切より2週間程度早く設定されているため注意が必要です。公募要領の公開から締切まで約1〜1.5か月と短く、公募開始の1〜2か月前からの準備が推奨されます。

採択率・審査の傾向

採択率は両補助金で大きく異なります。直近の実績を比較すると、ものづくり補助金(第21次公募)は638件/1,872件で採択率34.1%、小規模事業者持続化補助金(第17回公募)は11,928件/23,365件で採択率51.0%でした。持続化補助金は第9〜16回の平均採択率が55.6%と、約2社に1社が採択される水準を維持しています。

ものづくり補助金の不採択になりやすいケース

  • 「できるだけ多くもらいたい」という意図で、補助対象事業に不適切な設備投資を計画している
  • 補助事業の大半が広告宣伝費など経営資源の蓄積につながらない内容
  • 債務超過が2年以上継続している、または3期連続赤字など財務状況が悪化している

小規模事業者持続化補助金の審査ポイント

  • 基礎審査:必要書類の提出・要件適合の確認
  • 計画審査:事業計画の有効性・実現可能性の評価
  • 加点審査:政策的観点(賃上げ・インボイス対応等)からの優遇措置

事業計画書には具体的な数値目標・スケジュール・予算配分を明記することが求められます。計画が曖昧・抽象的な内容では審査で不利になります。また、形式上の不備(記入漏れ・添付書類の欠落)がある場合、内容の評価以前に審査対象外となるケースがあります。

補助対象経費の違い

両補助金では補助対象となる経費の範囲が異なります。補助対象経費として認められるには、使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できること、交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払いが完了していること、証憑資料等によって支払金額が確認できることが共通の条件です。

経費の種類 ものづくり補助金 持続化補助金
製造設備・機械装置 ◎ 主要対象 △ 業務効率化目的のみ
ソフトウェア・システム開発 ◎ 主要対象 ○ IT関連費用として対象
広告・チラシ・ウェブサイト制作 × 対象外(原則) ◎ 主要対象
展示会出展・商談会参加 △ 一部対象 ◎ 主要対象
試作品開発・研究開発 ◎ 主要対象 × 対象外

複数補助金の併用について

同一の取り組みに対して複数の国の補助金を同時に申請することはできません。ただし、異なる取り組みであれば複数の補助金を活用することは可能です。例えば、製造設備の導入をものづくり補助金、販路開拓を持続化補助金、業務システム構築をIT導入補助金と役割を分けることで、重複なく併用できるケースがあります。

2025〜2026年度の最新動向

ものづくり補助金:制度統合の予定

2026年度から、ものづくり補助金は「新事業進出補助金」と統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」(仮称)として再編される予定です。さらに「中小企業省力化投資補助金」も含めたパッケージとして、総額2,960億円規模の支援策として再構成される見込みです。また、2026年度より収益納付制度が全面撤廃されました。

小規模事業者持続化補助金:申請枠の整理

2025年度の制度見直しにより、旧来の「卒業枠」「後継者支援枠」は廃止されました。2026年度も引き続き「通常枠(一般型)」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の4類型で運用されます。

制度変更への注意

補助金制度は毎年度・毎公募回ごとに内容が変更されます。申請前には必ず最新の公募要領を公式サイトで確認してください。本記事の情報は2026年1〜3月時点のリサーチに基づいています。

どちらを申請すべきか:判断の基準

両補助金の特性を踏まえると、以下の基準で申請先を判断できます。

ものづくり補助金を選択すべき事業者の特徴

  • 革新的な新製品・新サービスの開発に取り組む
  • 製造設備・生産システムへの大規模な設備投資が必要(750万円以上)
  • 3〜5年の中期事業計画を具体的に策定できる
  • 製造業・建設業・IT・サービス業など幅広い業種
  • 従業員が複数名いる中小企業(従業員規模が大きいほど補助上限額が増加)

小規模事業者持続化補助金を選択すべき事業者の特徴

  • 販路開拓・販売促進(ホームページ制作・チラシ・広告・展示会出展)が主な目的
  • 商業・サービス業で従業員5人以下、または製造業等で従業員20人以下の小規模事業者
  • 個人事業主や創業間もない事業者
  • 比較的小規模な投資(250万円以下)で販路拡大を図りたい
  • 商工会・商工会議所のサポートを活用したい

迷った場合のチェックポイント

「何に使いたいか」が判断の出発点です。設備・開発投資が主目的であればものづくり補助金、広告・販促・ウェブ制作が主目的であれば持続化補助金を検討してください。また、持続化補助金は採択率が約50%と相対的に高く、申請ハードルも比較的低い傾向があります。まずは自社が小規模事業者の定義に該当するか確認することが最初のステップです。

現在申請できる補助金の一覧は補助金検索ページから確認できます。また、補助金制度の全体像については補助金ガイド一覧もあわせて参照してください。

まとめ

  • ものづくり補助金は設備投資・試作開発向けで補助上限750万〜2,500万円、採択率は直近34.1%
  • 小規模事業者持続化補助金は販路開拓・販促向けで補助上限50万〜250万円、採択率は直近51.0%
  • ものづくり補助金は中小企業全般が対象、持続化補助金は従業員5〜20人以下の小規模事業者のみ
  • ものづくり補助金の申請には3〜5年の事業計画策定と賃上げ要件の充足が必要
  • 持続化補助金の申請には商工会・商工会議所での経営相談と事業支援計画書(様式4)の取得が必須
  • どちらも後払い制のため、事業実施中は自己資金での立替が必要
  • 異なる取り組みであれば複数の補助金を役割分担して活用することが可能
  • 2026年度よりものづくり補助金は「新事業進出補助金」と統合予定、制度変更を随時確認すること

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