創業助成金・創業補助金 完全ガイド【2025〜2026年度版】
創業・起業時に活用できる補助金・助成金は、国・都道府県・市区町村の各レベルで複数存在する。補助金は審査通過が条件で採択が見送られるケースがある一方、助成金は要件を満たせば原則支給される。本記事では2025〜2026年度に申請可能な主要制度の要件・補助額・申請フロー・採択率を具体的な数値データとともに整理する。申請前には必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認されたい。
主要3制度の比較一覧
創業期に利用される代表的な制度は以下の3つに大別される。補助上限額・対象者・補助率がそれぞれ異なるため、自社の状況に合わせて選択する必要がある。
| 制度名 | 管轄 | 最大補助額 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都創業助成事業 | 東京都・東京都中小企業振興公社 | 400万円 | 2/3以内 | 都内創業予定者・創業5年未満 |
| 小規模事業者持続化補助金<創業型> | 中小企業庁 | 200〜250万円 | 2/3 | 創業後1年以内の小規模事業者 |
| 地方創生起業支援金 | 内閣府・各都道府県 | 200万円 | 1/2以内 | 地方移住+社会的事業の創業者 |
東京都創業助成事業(最大400万円)
公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する創業助成事業は、都内で創業予定の個人または創業から5年未満の中小企業者等に対して、賃借料・広告費・従業員人件費・市場調査費等の創業初期費用を助成する制度。助成限度額は上限400万円(下限100万円)、助成率は助成対象経費の3分の2以内。
申請要件(4要件のいずれかを満たすこと)
- TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者
- インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者
- 東京都及び都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者
- 都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方
要件を満たすには概ね2か月以上の準備期間が必要。募集は年2回(例年4月・10月頃)実施されるが、申請期間は約10日間と短い。
助成対象経費(7カテゴリ)
| 経費カテゴリ | 内容例 |
|---|---|
| 賃借料 | オフィス・店舗の家賃 |
| 広告費 | Web広告・チラシ・看板等 |
| 器具備品購入費 | 業務用機器・PC等 |
| 産業財産権出願・導入費 | 特許・商標出願費用 |
| 専門家指導費 | コンサルタント・士業への報酬 |
| 従業員人件費 | 採用した従業員の給与 |
| 市場調査・分析費 | 市場リサーチ費用 |
採択率の推移
採択率は例年10〜15%程度で推移しており、競争率が高い。令和6年度は年間で計208件(第1回108件+第2回100件)が採択された。令和7年度も第1回91件、第2回100件を採択。採択率が20%を下回る状況が継続しており、戦略的な準備が不可欠。
後払い制度に注意
交付決定後も補助金はすぐに受け取れない。事業を実施してから実績報告書を提出し、審査後に交付される仕組み(後払い)。助成対象経費はまず自己資金等で支出する必要がある。
小規模事業者持続化補助金<創業型>(最大250万円)
2025年度より新設された創業型は、創業後1年以内の小規模事業者が対象。商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓等の費用を補助する。補助上限200万円、インボイス特例適用で最大250万円。補助率は2/3。
各類型の比較
| 類型 | 補助上限 | 補助率 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 通常枠(一般型) | 50万円(特例250万円) | 2/3 | 小規模事業者全般 |
| 創業型 | 200万円(特例250万円) | 2/3 | 創業後1年以内 |
| 共同・協業型 | 最大5,000万円 | 2/3 | グループ申請 |
申請には認定市区町村が発行した「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の写しが必要。第17回受付分(一般型通常枠)の採択率は約51%(申請23,365件中11,928件採択)だが、創業型の採択率は約37.9%と低い点に注意。2025年度以降、採択から交付決定の間に見積書等の提出が必須となった。
申請フロー
- 最新の公募要領に基づき事業計画書等を作成
- 商工会・商工会議所に「事業支援計画書」の発行を依頼
- jGrantsで電子申請
- 採択通知後、見積書等を提出して交付決定
- 事業実施後、実績報告書等を提出し審査後に補助金を交付(後払い)
地方創生起業支援金(最大200万円)+移住支援金(最大100万円)
内閣府および各都道府県が実施する制度で、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業等する方を対象に、最大200万円(補助率1/2以内)の助成と伴走支援を提供する。対象事業分野は子育て支援・地域産品を活用する飲食店・買い物弱者支援・まちづくり推進など幅広い。移住支援金(最大100万円、単身60万円)と組み合わせると最大300万円の支援を受けられる。
補助対象経費は人件費・事務所賃借料・設備費・広報費・専門家謝金・旅費など広範囲にわたる。例えば総額300万円の経費計画の場合、その1/2の150万円が支給決定額となる。
採択率を高めるための5つのポイント
① 早期準備(申請の9か月前から)
東京都創業助成事業は申請から採択通知まで平均9か月の準備期間が必要。gBizIDプライムの取得に約2週間、創業支援事業の受講に2か月以上かかる。募集は半年に1回のため、タイミングを逃すと再挑戦まで6か月以上待つことになる。
② 事業計画書の具体性と独自性
審査では「製品・サービス内容の完成度」「問題意識・潜在力の明確さ」「対象市場に対する理解度・適応性」の3点が重視される。市場調査データや顧客ニーズ分析、競合他社との差別化を定量的に示すことが重要。
③ 社会貢献性・地域への影響の明示
東京都の創業助成事業は都内開業率の向上(2030年度に12%が目標)を政策目標に掲げている。地域経済の活性化や雇用創出への貢献を具体的な数値(採用予定人数・想定売上等)で示すと効果的。
④ 助成終了後の事業継続性の提示
「助成金がなくても存続・発展できる事業計画か」という視点で評価される。助成対象期間(最長2年間)終了後の収支見通しや成長戦略を明確に示す必要がある。
⑤ 経費計画の整合性(水増し経費の排除)
申請経費が売上計画・事業計画と連動しているか、通常以上の見積りになっていないかが審査官によってチェックされる。根拠のある複数社からの見積書を取得し、計画の妥当性を示すことが求められる。
関連制度・組み合わせ活用
東京都創業助成金は他の補助金との併用が可能な場合がある。ただし、同一経費について複数の助成金を重複受給することはできないため、経費項目を分けて申請する必要がある。
| 制度名 | 最大補助額 | 補助率 | 対象 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 〜350万円 | 1/2〜3/4 | ITツール導入 |
| ものづくり補助金 | 750〜4,000万円 | 1/2〜2/3 | 製造業・革新的サービス |
| 中小企業新事業進出補助金 | 2,500〜9,000万円 | 1/2〜2/3 | 新事業進出(2025年新設) |
| 商店街起業・承継支援事業(東京都) | 工事費等250万円+テナント料180万円 | 2/3 | 都内商店街での起業・承継 |
| 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金 | 7,200万円(融資) | 優遇金利(▲0.65%〜) | 創業〜事業開始後7年以内 |
なお、2024年3月に廃止された「新創業融資制度」は現在「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化されており、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。補助金の後払い期間中の運転資金として融資と組み合わせて活用するケースが多い。
2025〜2026年度の主な制度変更点
- 持続化補助金 第17回公募以降、「卒業枠」「後継者支援枠」が廃止。現在は通常枠・創業型・共同協業型・ビジネスコミュニティ型の4類型で運用。採択から交付決定の間に見積書等の提出が必須化。
- 東京都創業助成事業 令和6年度第1回募集より助成限度額・対象経費・採択件数が拡充。2030年度に都内開業率12%を目指す政策目標に基づく。令和7年度よりjGrantsによる電子申請に加え、過去受給歴があっても重複しない経費なら申請可能に。
- 新事業進出補助金 2025年に事業再構築補助金の後継として新設(予算1,500億円)。2026年にはものづくり補助金と統合・再編され「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」へ移行予定。補助上限2,500〜9,000万円。
- 日本政策金融公庫 「新創業融資制度」が2024年3月廃止。「新規開業・スタートアップ支援資金」に一本化。自己資金の明確な数値要件は制度上なくなった。
まとめ:制度選択の基準と準備の優先順位
都内で創業する場合は東京都創業助成事業(最大400万円)が最大規模の支援となるが、採択率10〜15%の競争率に加え、申請要件を満たすまでに最低2か月以上かかる点を踏まえると、創業計画の9か月前からの準備が現実的。
創業直後(1年以内)で小規模事業者に該当する場合は、持続化補助金の創業型(最大250万円)が対象。採択率は約37.9%。商工会・商工会議所への事業支援計画書の発行依頼が必須のため、早期に地域の商工会等に相談することが求められる。
地方移住を伴う場合は起業支援金(最大200万円)と移住支援金(最大100万円)の組み合わせで最大300万円。補助率は1/2のため、自己負担分の資金計画も並行して策定する必要がある。
いずれの制度も補助金・助成金は後払いが原則であり、交付決定前の経費は対象外になる。事前申請と自己資金による先行支出の準備が不可欠。制度の内容・スケジュールは年度ごとに変更されるため、申請前に必ず公式サイトの最新公募要領を確認されたい。
自分の状況に合った補助金を探す
補助金を検索する参考情報(公式情報源)
- 東京都中小企業振興公社 創業助成事業: https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html
- TOKYO創業ステーション 採択情報: https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/sogyojosei-saitaku/
- 小規模事業者持続化補助金<創業型>公式: https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/
- 地方創生起業支援金(内閣府): https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html
- 中小企業新事業進出補助金(中小機構): https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
- 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金: https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
- ミラサポplus(中小企業庁): https://mirasapo-plus.go.jp/hint/28890/
※ 本記事の情報は2026年3月時点のリサーチに基づく。制度内容・スケジュール・要件は年度ごとに変更されるため、申請前に必ず公式サイトの最新公募要領を確認すること。
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