世界初のパックツアーは1841年のトーマス・クック|178年の老舗旅行代理店はなぜ破綻したのか
「Thomas Cook」——この名前は、英国だけでなく世界の旅行業界の代名詞だった。1841年、英国レスターで一人の宣教師が始めた団体旅行の企画は、やがてパッケージツアーという旅行の概念そのものを発明し、178年にわたって世界中の旅人を運び続けた。最盛期には英国内だけで2,500店舗、年間1,900万人の旅行者を扱う巨大企業に成長した。しかし2019年9月23日早朝、Thomas Cook Groupは突如として経営破綻を発表した。負債16億ポンド(約2,200億円)、海外旅行中の英国民15万人が立ち往生、英国政府は史上最大の民間人救援作戦「Operation Matterhorn(マッターホルン作戦)」を発動した。世界最古の旅行代理店は、なぜオンライン予約全盛の時代に滅びたのか。中小企業の経営者にとっても、無関係ではない教訓が詰まっている。
Thomas Cookという発明——「旅」を産業にした178年の歴史
Thomas Cookの歴史は、1841年7月5日に始まる。創業者のトーマス・クックは英国レスターシャー出身の元バプテスト派の宣教師で、禁酒運動の熱心な活動家だった。彼は鉄道会社と交渉し、レスターからラフバラまでの片道11マイルの団体列車(往復1シリング)を企画。約500名の禁酒運動家を運んだ。これが世界初の「旅行代理店による団体旅行」の誕生とされている。
1845年には商業ベースの旅行業を本格的にスタート。1851年のロンドン万国博覧会では16万5,000人を団体輸送し、一気にその名を世界に知らしめた。1855年には初の海外ツアー(ベルギー・ドイツ・フランス)、1869年にはエジプトとパレスチナへのツアー、1872年には史上初の世界一周ツアーを企画した。「旅は富裕層だけの特権」だった時代に、中産階級・労働者階級にも旅を開放したのがThomas Cookだった。
息子のジョン・メイソン・クックは事業を国際的に拡大し、トラベラーズチェックの発行、ホテル予約、為替両替まで含めた総合旅行サービスを構築した。20世紀に入ると鉄道、航空、海運と結びついた巨大ネットワークを形成し、第二次世界大戦中は英国政府の国有事業として運営された時期もあった。
Thomas Cookは「パッケージツアー」というビジネスモデルを発明した企業として、観光産業の歴史そのものを体現していた。交通・宿泊・観光・食事をひとつにまとめて販売する手法は、20世紀の大衆旅行を可能にした。今日、世界中の旅行代理店が提供しているサービスの原型は、すべてThomas Cookが作ったと言っても過言ではない。
2007年にはライバルだったMyTravel Groupと合併し、Thomas Cook Groupとして再編。売上高は90億ポンド超、グループ全体で約2万2,000人の従業員を抱える欧州第2位の旅行コングロマリットとなった。航空子会社Thomas Cook Airlinesも保有し、ホテル、旅行代理店店舗、航空機をすべて自社で持つ「垂直統合型」の旅行事業者として、業界の頂点に立っていた。
出典: Wikipedia Thomas Cook Group / BBC News "Thomas Cook: A history of the world's oldest travel firm" / The Guardian "Thomas Cook: from a Victorian temperance crusade to bust in 178 years"
パッケージツアー全盛期——2,500店舗が支えた「店頭で旅を買う時代」(1960〜1990年代)
1960年代から1990年代にかけて、Thomas Cookは黄金期を迎えた。戦後の所得水準向上とジェット機の普及により、英国民にとって海外バカンスは「当たり前の楽しみ」となった。スペインのコスタ・デル・ソル、ギリシャの島々、トルコ沿岸、エジプト紅海沿岸——これらの海外リゾートに、Thomas Cookのパッケージツアーで毎年数百万人の英国人が押し寄せた。
当時の旅行購入プロセスは、現代から見れば驚くほどアナログだった。消費者は街角のThomas Cook店舗に足を運び、カウンターで分厚いカラーパンフレットを手に取り、店員と相談しながら行き先・ホテル・出発日を決める。書類にサインし、現金または小切手で支払う。空港送迎バスに乗り、Thomas Cook Airlinesの航空機で目的地へ飛び、現地でThomas Cookの添乗員が迎えてくれる——すべてが一気通貫のサービスだった。
英国内だけで店舗数は約2,500店に達し、英国の主要なショッピングストリート(High Street)には必ずThomas Cookの看板があった。店舗は単なる窓口ではなく、地域コミュニティのなかで「旅の相談所」として機能していた。年配層の顧客は「Thomas Cookで旅を買う」習慣を当然のものとして持ち、ブランドへの信頼は絶大だった。
1990年代後半、Thomas Cookは欧州の旅行業界において、ホテル仕入れ・チャーター航空・店舗網・添乗員という4つを垂直統合した最大級の事業者だった。規模の経済で大量のホテル客室と航空座席を安く仕入れ、それをパッケージにして店舗で売る——このビジネスモデルは盤石に見えた。誰もこの巨人が崩れるとは想像していなかった。
しかし、垂直統合モデルには重大な弱点があった。固定費の塊だ。店舗の家賃と人件費、航空機のリース料と整備費、ホテル客室の事前買取契約——これらはどれも、需要が落ちても止められないコストだった。2000年代に入り、市場環境が変わり始めたとき、この固定費がThomas Cookの経営を蝕んでいくことになる。
出典: BBC News "Thomas Cook: A history of the world's oldest travel firm" / Reuters "How a 178-year-old travel firm got into a financial nosedive"
オンライン予約革命への対応遅れ——Booking.com、Expedia、Airbnbという脅威(2000〜2015年)
2000年代初頭、旅行業界に革命が起きていた。1996年に設立されたExpedia、同じく1996年に始まったBooking.com、2000年代後半に登場したAirbnb——これらのオンライン旅行サービスは、消費者が自分で航空券を選び、自分でホテルを比較し、自分で予約する「DIY旅行」を可能にした。価格は店舗購入のパッケージツアーより明らかに安く、選択肢も比較にならないほど豊富だった。
特にBooking.comは欧州市場で急成長し、宿泊予約のデファクトスタンダードとなった。2015年には英国の旅行予約の半数以上がオンラインで完結するようになり、店舗で旅行を買う消費者は急速に減っていった。若年層・ミドル層は完全にオンラインへシフトし、Thomas Cookの店舗を訪れるのは主に高齢顧客に偏っていった。
Thomas Cookもオンライン化に手をこまねいていたわけではない。自社サイトの強化、モバイルアプリの開発、デジタル広告への投資など、デジタル化への取り組み自体は行っていた。しかし、それは「店舗網を維持したままオンライン強化を追加する」という形でしかなく、抜本的な事業モデルの転換ではなかった。2,500店舗の固定費を抱えたまま、オンライン専業の競合と価格競争するのは不可能だった。
競合のExpedia GroupやBooking Holdingsは「店舗を持たない」ことを最大の強みとし、軽い資本でグローバルに展開した。Thomas Cookは長年築いたブランドと垂直統合の強みを手放せず、結果として2つの世界(オフライン店舗網とオンライン予約)の両方を抱える「中途半端な巨人」になってしまった。固定費負担は重く、オンラインでは新興勢力にスピードで負け続けた。
店舗を閉めるという判断は遅々として進まなかった。地域コミュニティへの責任、長年勤めた従業員、ブランドアイデンティティ——いずれも撤退判断の足を引っ張った。2010年代半ばまでにライバルのTUI Groupは店舗網を段階的に縮小しデジタル比率を高めていったが、Thomas Cookは大規模な店舗網を最後まで維持し続けた。その遅さが、最終的に致命傷となる。
さらに2014年以降、低価格航空(LCC)の急成長も追い打ちをかけた。ライアンエアーやイージージェットは、Thomas Cook Airlinesの欧州路線を圧倒的な価格競争力で侵食した。顧客は「Booking.comでホテルを取って、Ryanairで飛んで、自分で旅程を組む」というスタイルに完全に移行し、Thomas Cookのパッケージツアーは「割高で選択肢の少ない旧モデル」になっていった。
出典: The Guardian "How Thomas Cook fell off the cliff" / Financial Times "Thomas Cook collapse: how 178-year-old travel agent crashed"
2019年9月23日、突然の破綻——15万人が海外で立ち往生したマッターホルン作戦
2018年の夏、Thomas Cookに最後の引き金が引かれた。欧州を襲った記録的な猛暑により、英国民が「わざわざ南欧のビーチに行く必要がない」と判断し、夏のバカンス需要が急減したのだ。Thomas Cookは前年に大量のホテル客室と航空座席を「強気の予測」で仕入れていたため、在庫余剰となり大幅な値引き販売を余儀なくされた。
同じ時期、Brexit(英国EU離脱)をめぐる政治的混乱が長期化し、英ポンドが対ユーロで下落。海外旅行のコストが上昇し、英国民の海外旅行需要そのものが冷え込んだ。さらに2018年11月には、Thomas Cookは2018年度の業績で1億2,300万ポンドの営業損失を発表。借入金が急速に膨らみ、財務体力が限界に近づいていた。
2019年に入ると経営危機が一気に表面化した。負債総額は16億ポンド(約2,200億円)に膨張。同社は中国の复星集団(Fosun International、Club Medのオーナー企業)と再建計画を交渉し、9億ポンドの救済融資・出資のスキームをまとめた。しかし英国の金融機関と債権者団は、さらに2億ポンドの追加運転資金を求めた。Thomas Cookはこの調達ができず、9月22日深夜、政府を交えた最終交渉も決裂した。
2019年9月23日午前2時、Thomas Cook Groupは破産管財人による清算手続きの開始を発表した。その時点で世界中のリゾート地には約15万人の英国人旅行者がThomas Cookのパッケージツアーで滞在していた。航空便はすべて運休、ホテルへの支払いも止まり、彼らは突然「帰る手段を失った」状態に陥った。
英国政府と民間航空局(CAA)は緊急対応として、史上最大の民間人帰国作戦「Operation Matterhorn(マッターホルン作戦)」を発動。チャーター便150機以上を世界各地から手配し、約2週間で15万人全員を英国へ帰国させた。費用は1億ポンド(約140億円)超に達し、英国政府が肩代わりした。これは英国の平時における民間人救援作戦としては史上最大規模だった。
Thomas Cook Groupの清算により、世界各国で約2万2,000人が失業。英国の旅行業界・ホテル業界・関連サプライヤーへも深刻な波及被害が広がった。そして9月25日には、Thomas Cookブランドそのものが中国Fosunに買収され、現在はオンライン専業の旅行サービスとして細々と再ブランドされている。178年の歴史を持つ垂直統合型の旅行企業としてのThomas Cookは、事実上、地球上から消えた。
出典: BBC News "Thomas Cook collapses as last-ditch rescue talks fail" / UK Civil Aviation Authority "Operation Matterhorn" / Reuters "Thomas Cook collapses, stranding 600,000 holidaymakers" / The Guardian "Thomas Cook collapse: full timeline of the demise"
中小企業経営者が学べること——業界変革期に「動けない巨人」になるな
Thomas Cookは創業178年・売上90億ポンドの巨大企業だ。それでも経営破綻に至った。その失敗のパターンは、規模を問わず、業界の変革期にある中小企業経営者にとって極めて示唆に富む。
教訓1:業界の前提が変わったら、ビジネスモデルも作り直せ
「店頭で旅行を買う」という前提が崩れた時点で、Thomas Cookに必要だったのは「店舗網を強化する」ことではなく「店舗網を縮小しオンラインへ重心を移す」という事業モデルの作り直しだった。しかし長年成功してきたモデルへの愛着と既存従業員への責任感が、判断を遅らせた。「うちの業界はこれまでこうやってきた」という前提が崩れているサインを、経営者は最初に察知する必要がある。中小企業でも、業界の仕組みが変わるとき、過去の成功体験こそが最大の障害となる。
教訓2:固定費の重さが「方向転換のスピード」を奪う
2,500店舗の家賃・人件費、航空機のリース料、ホテル客室の事前買取契約——Thomas Cookは固定費の塊だった。需要が落ちても止められないコストが重ければ重いほど、経営は「現状維持」を続ける以外の選択肢がなくなる。固定費比率が高いビジネスは「好調時には強い」が「環境変化に弱い」という弱点を抱えている。中小企業も、店舗・在庫・人員といった固定費を膨らませる前に、「業界変動時にも耐えられる構造か」を見直すべきだ。
教訓3:「両立」は時として「中途半端」を生む
Thomas Cookは店舗網を維持しながらオンライン化を進めるという「両立」戦略を選んだ。結果、店舗運営の固定費を抱えたまま、オンライン専業の競合と価格競争する形になり、両方の世界で負けた。変革期には「両立」ではなく「軸の入れ替え」が必要なことがある。新しい事業モデルを軸に据え、旧モデルを段階的に縮小する勇気こそが、生き残りの分かれ目になる。中小企業にも、新規事業を始めるとき「既存事業の縮小」をセットで計画する視点が重要だ。
教訓4:ブランドの強さは「業態転換の遅れ」を覆い隠す
「Thomas Cook」は世界中で知られた強力なブランドであり、英国民の信頼も厚かった。しかし、ブランドの強さは「客足がまだ来ている」という幻想を与え、経営判断の危機感を鈍らせた。ブランドが強いほど、衰退のサインに気づくのが遅れる傾向がある。顧客年齢の偏り、来店頻度の減少、若年層の認知度低下——こうした先行指標を見逃さず、ブランドが効いている間に転換を始めることが、中小企業の老舗にも当てはまる教訓だ。
出典: McKinsey "The future of the travel industry post-COVID-19" / Harvard Business Review "What Thomas Cook's collapse can teach us about disruption"
業態転換・DX・観光業の再構築に使える補助金
Thomas Cookが直面した「オンライン化の遅れ」「固定費の重さ」「事業モデル転換の必要性」は、日本の旅行業・宿泊業・観光関連業の中小企業も今まさに直面している課題と重なる。国は、こうした課題に取り組む事業者を後押しするための補助金制度を用意している。
| 制度名 | 補助上限・内容 | 活用場面 |
|---|---|---|
| 新事業進出補助金 | 最大9,000万円(大幅賃上げ特例適用時) | 店舗型旅行業からオンライン・体験型ビジネスへの業態転換 |
| ものづくり補助金 | 最大1,250万円〜2,500万円(規模により異なる) | 新サービス開発、独自旅行コンテンツのデジタル化 |
| IT導入補助金 | 最大450万円 | 予約管理システム、顧客管理(CRM)、旅行業DX |
| 観光地域づくり法人(DMO)支援 | 事業内容により定額補助 | 地域連携型の観光商品開発、インバウンド対応 |
| セーフティネット保証(4号・5号) | 融資枠の保証率引き上げ | 業界縮小期の運転資金・つなぎ融資の確保 |
Thomas Cookの教訓を踏まえると、特に注目すべきは「新事業進出補助金」と「IT導入補助金」だ。
新事業進出補助金は、従来の事業モデルから大きく変革する際に、幅広い投資を補助する制度だ。店頭販売中心の旅行業からオンライン予約プラットフォームへ、団体パッケージから個別カスタマイズ型旅行へ、国内団体旅行からインバウンド向け体験商品へ——いずれも業態転換型の投資として活用できる。「客足が止まる前に次の柱を作る」——Thomas Cookに欠けていたのはまさにこの動きであり、この補助金を使って先手を打てるかどうかが勝負になる。
IT導入補助金は、予約管理システム、CRM、デジタルマーケティングツール、オンライン決済基盤など、旅行業のDXに直結する投資に活用できる。Booking.comやExpediaが押し寄せる市場で生き残るには、自社オンラインチャネルの強化と顧客データ活用が不可欠だ。中小旅行業者でも、IT導入補助金を活用すれば最大450万円のシステム投資が可能であり、デジタル化の初期投資のハードルを大きく下げられる。
地域に根ざした旅行事業者であれば、観光地域づくり法人(DMO)支援も有効な選択肢だ。地域の宿泊・飲食・観光資源を組み合わせた独自商品の開発、インバウンド対応の多言語化、地域ブランドの構築など、Booking.comでは提供できない「地域固有の価値」を作り込むための支援が受けられる。Thomas Cookが汎用パッケージ商品で破れた一方、地域固有性のある商品はオンラインプラットフォームに対する差別化要因となり得る。
また、業界縮小期には「セーフティネット保証」が資金繰りの命綱になる。旅行業・宿泊業のように外部環境変動の影響を強く受ける業種では、認定を受けることで通常の保証限度額とは別枠で融資保証が受けられる。Thomas Cookのように「最後の運転資金が足りずに破綻した」事態を避けるためにも、財務が苦しくなる前にセーフティネットの活用を検討しておきたい。
出典: 中小企業庁 事業再構築・新事業進出補助金 / 中小企業庁 IT導入補助金 / 観光庁 観光地域づくり法人(DMO)
よくある質問:トーマス・クックとパックツアーの基礎知識
Q. 世界で初めてパックツアーを企画したのは誰ですか?
A. 英国レスター出身の元バプテスト派宣教師トーマス・クックです。1841年7月5日、鉄道会社と交渉してレスターからラフバラまでの団体列車(往復1シリング)を企画し、約500名を運びました。これが世界初の『旅行代理店による団体旅行』とされ、トーマス・クックは旅行業の先駆者と呼ばれています。
Q. パックツアー(パッケージツアー)とは何ですか?
A. 交通・宿泊・観光・食事をひとつにまとめて販売する旅行商品のことです。トーマス・クックが1841年以降に確立し、20世紀の大衆旅行を可能にしました。今日、世界中の旅行代理店が提供するパッケージ商品の原型は、すべてトーマス・クックが作ったといえます。
Q. トーマス・クックはなぜ破綻したのですか?
A. 英国内2,500店舗という巨大な固定費を抱えたまま、Booking.comやExpediaなどオンライン予約への対応が遅れたためです。2018年の欧州猛暑やBrexit不安による海外旅行需要の冷え込みも重なり、負債16億ポンド(約2,200億円)を抱えて2019年9月23日に経営破綻しました。
Q. トーマス・クックの破綻は中小企業に何を教えていますか?
A. ①業界の前提が変わったらビジネスモデルを作り直すこと、②固定費の重さが方向転換の速度を奪うこと、③『両立』より『軸の入れ替え』が必要なこと、④強いブランドが衰退のサインを覆い隠すこと——の4点です。日本の旅行業・宿泊業でも、業態転換やDXに新事業進出補助金・IT導入補助金を活用できます。
まとめ:Thomas Cookが教えてくれる「歴史と規模では業界変動に勝てない時代」
- Thomas Cookは1841年創業、パッケージツアーを発明した世界最古かつ最大級の旅行代理店
- 2007年MyTravel Group合併で売上90億ポンド超、英国内2,500店舗、欧州第2位の旅行コングロマリットに成長
- Booking.com・Expedia・Airbnbなどオンライン予約サービスへの対応が遅れ、店舗網の固定費が経営を蝕んだ
- 2018年の欧州猛暑、Brexit不安、英ポンド下落、ホテル客室の過剰仕入れが重なり、負債は16億ポンドに膨張
- 2019年9月23日に突然破綻し、海外滞在中の英国人15万人が立ち往生。英政府がOperation Matterhornで救援(費用1億ポンド超)
- 中国Fosunがブランドを買収し、オンライン専業として再出発。垂直統合型の旅行企業としては事実上消滅
- 教訓:業界の前提が変わったらモデルを作り直せ・固定費の重さが転換速度を奪う・「両立」より「軸の入れ替え」・強いブランドが衰退を覆い隠す
- 新事業進出補助金・IT導入補助金・DMO支援を活用し、業態転換を早めに始めることが鍵
参考資料
・Wikipedia「Thomas Cook Group」
・BBC News「Thomas Cook: A history of the world's oldest travel firm」
・BBC News「Thomas Cook collapses as last-ditch rescue talks fail」
・The Guardian「Thomas Cook: from a Victorian temperance crusade to bust in 178 years」
・The Guardian「How Thomas Cook fell off the cliff」
・Reuters「Thomas Cook collapses, stranding 600,000 holidaymakers」
・UK Civil Aviation Authority「Operation Matterhorn」
・Financial Times「Thomas Cook collapse: how 178-year-old travel agent crashed」
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