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経営者向け 失敗から学ぶ

Meta(旧Facebook)|メタバースに数百億ドルを賭けた巨人、利用者伸び悩みで揺らいだ大規模投資の行方

Meta(旧Facebook)|メタバースに数百億ドルを賭けた巨人、利用者伸び悩みで揺らいだ大規模投資の行方 - コラム - 補助金さがすAI

2021年10月28日、Mark Zuckerbergは世界に向けて衝撃の発表を行った。Facebookという社名を捨て、新社名「Meta Platforms(メタ)」のもとで全社をメタバース(仮想空間)企業として再定義する——。当時のFacebookは月間アクティブユーザー29億人、年間売上高1180億ドルの世界最大級のSNS企業だった。その盤石の地位を捨てる賭けに、Zuckerbergは数百億ドル規模の投資を投じた。しかし数年が経過した現在、メタバース部門を担うReality Labsは毎年100億ドルを超える営業赤字を出し続け、目玉サービス「Horizon Worlds」の月間アクティブユーザーは当初目標の50万人にも遠く及ばないとされる。AIブームで本体株価は復活したものの、メタバースへの賭けは現時点で「成功」とは到底評価できない。世界最大のテック企業が陥った巨額投資の蹉跌は、規模を問わずあらゆる経営者にとって示唆に富む教材である。

1. Facebookの全盛期とザッカーバーグの次の一手

2004年にハーバード大学の学生寮で生まれたFacebookは、わずか17年で世界最大のSNSへと成長した。2012年にInstagramを10億ドルで、2014年にWhatsAppを約190億ドルで買収し、2021年時点では4つの主要プロダクト(Facebook、Instagram、WhatsApp、Messenger)の合計月間アクティブユーザーは34億人を超えた。世界人口の約4割が日常的に同社のサービスに触れるという、人類史上類を見ないネットワーク企業が完成していた。

2021年通期の売上高は1,179億ドル、純利益は393億ドル。広告事業を中心にした圧倒的な収益力で、AppleやGoogleと並ぶ「GAFA」の一角としての地位を確立していた。誰もがこの王座を維持するだけで十分な経営判断と考えていた——Zuckerberg本人を除いて。

ところが、Zuckerbergはこの絶頂期に強い危機感を抱いていた。理由は2つある。1つはAppleが2021年4月にiOS 14.5で導入した「App Tracking Transparency(ATT)」だ。ユーザーの同意なしにアプリ間のトラッキングを行えなくなり、Facebookの広告ターゲティング精度が大きく損なわれた。Meta自身が2022年初頭、ATTの影響で年間100億ドル規模の売上を失う見込みと発表している。スマートフォンOSという「他社プラットフォーム」に依存することの危うさが、初めて経営の中核を揺さぶった。

もう1つの危機感は「次のプラットフォーム」を自社で握りたいという長期的な戦略だった。PC時代はMicrosoftが、スマホ時代はAppleとGoogleがプラットフォームを支配した。Zuckerbergは「次のコンピューティング・プラットフォームはVR/ARに基づくメタバースになる」と確信し、その覇権を取りに行くと決断した。Facebookは2014年に既にVRヘッドセットメーカー「Oculus」を約20億ドルで買収しており、伏線は7年前から張られていた。

つまり、メタバースへの賭けはZuckerbergにとって「思いつきの新事業」ではなく、長年温めてきた戦略の本格始動だった。だが結果として、彼は「広告の王者」から「巨額赤字を垂れ流すVRハードウェア企業」への大転換を、自らの手で開始することになる。

出典: Meta 2021年通期決算プレスリリース / The Verge「Apple's privacy changes are costing Meta $10 billion this year」 / Wikipedia Meta Platforms

2. 2021年10月 社名変更「Meta」とメタバース宣言

2021年10月28日、年次イベント「Facebook Connect 2021」で、Zuckerbergは1時間以上にわたるキーノートを行った。仮想空間で同僚とミーティングをし、コンサートを楽しみ、フィットネスをするアバターたちの映像が次々と披露された。プレゼンの最後に、彼はこう宣言した——「私たちは新しい社名を発表します。Meta です」。

社名変更の意味は明確だった。Facebookは「いちブランド」に過ぎず、企業全体は「メタバースを構築する会社」へとアイデンティティを変える。同時に同社は事業セグメントを2つに分割した。既存の広告事業を担う「Family of Apps(FoA)」と、VR/AR・メタバースを担う「Reality Labs(RL)」である。後者が、これから巨額の損失を生み続ける震源地となる。

Zuckerbergは社員向けレターで「今後数年で何百億ドルもメタバースに投資する」と明言した。実際、2021年の同部門の研究開発・資本支出は既に100億ドル規模に達しており、以後この水準が「最低ライン」となっていく。投資家の多くは困惑した。利益率の高い広告事業のキャッシュフローを、収益化のメドが立たない仮想空間に毎年100億ドル投じる——この経営判断は、上場企業のCEOとしては極めて異例だった。

Zuckerbergは創業者かつ議決権の過半を握る大株主でもあるため、機関投資家の反対があっても戦略を強行できる立場にあった。後にこの「絶対権力」が、撤退判断を遅らせる要因として批判されることになる。経営判断の独立性は強みでもあるが、誰もブレーキを踏めない仕組みは、巨額赤字の暴走を許す土壌でもあった。

2021年11月、Metaはハイエンド機「Quest Pro」の開発計画を発表。同時に2022年10月には「Quest Pro」を1499ドル(後に999ドルに値下げ)で発売し、業務用VR市場の開拓を狙った。並行して、誰でも入れる仮想空間プラットフォーム「Horizon Worlds」をPC・VRユーザー向けに展開する戦略を進めた。ハードウェア・ソフトウェア・プラットフォームを垂直統合で握り、「次のスマホ」を作るという壮大な計画だった。

出典: Meta「Founder's Letter, 2021」(社名変更時のZuckerbergによるレター) / CNBC「Facebook changes name to Meta in major rebrand」 / The Verge「Mark Zuckerberg's augmented reality」

3. Reality Labs の累積損失——2022年以降毎年100億ドル超の赤字

社名変更後、Reality Labsの損失は驚異的なペースで積み上がっていった。決算で開示された数字を時系列で見ると、その規模の異常さがわかる。

2021年通期:営業損失101億ドル(売上23億ドル)。社名変更前から既に100億ドルの赤字が出ていた。2022年通期:営業損失137億ドル(売上21億ドル)。社名変更後の最初の通期で損失は拡大した。2023年通期:営業損失160億ドル(売上19億ドル)。売上が逆に減少する一方、赤字は史上最大規模に。2024年通期:営業損失約177億ドル(売上約21億ドル)と、損失は更新を続けた。

2020〜2024年の5年間でReality Labs事業の累計営業損失は約600億ドル超に達した。日本円にして約9兆円という途方もない金額である。これは同期間の日本の上場企業のうち最も多くの利益を出した企業(トヨタ自動車)の年間純利益すら大きく上回る水準だ。「世界最大のテック企業1社が、サブ事業1つで日本を代表する企業の年間利益相当を毎年溶かしている」と言ってもよい。

注目すべきは、Reality Labsの売上が増えるどころか、2021年から2023年にかけて減少している点だ。消費者向けVRヘッドセット「Quest」シリーズはそれなりに販売されているものの、業務用ハイエンド機「Quest Pro」は商業的に大失敗。1499ドルという価格設定は法人需要を喚起できず、わずか1年半でディスコン(生産終了)が発表された。売上は伸びず、開発費は増え続ける——典型的な失敗投資のパターンが進行していた。

2022年11月、Metaは創業以来最大規模となる11,000人のレイオフを発表。さらに2023年3月には追加で10,000人の解雇を発表し、合計で全社員の約25%を削減した。Zuckerbergはこの一連の改革を「Year of Efficiency(効率化の年)」と銘打ち、株主の信頼回復を狙った。皮肉なことに、Reality Labsへの投資水準は維持したまま、広告事業側でコスト削減を進めるという形となり、社内の不公平感を生んだ。

株式市場の反応は2022年に最も厳しかった。Meta株は年初の約336ドルから10月には88ドルまで下落し、時価総額の約7割(およそ7,000億ドル)が消失した。投資家は「広告事業のキャッシュフローを永久に焼き続ける気か」とZuckerbergに反旗を翻したが、議決権の過半を握る彼の前ではどんな批判も意思決定を変えることはなかった。

出典: Meta 2024年通期決算(10-K形式の年次報告書概要) / CNBC「Meta's Reality Labs posts $4.65 billion Q4 loss」 / Reuters「Meta to lay off another 10,000 workers」

4. Horizon Worlds 利用者数とハードウェア販売の伸び悩み

巨額の投資の成果として期待された主要プロダクトは2つあった。1つは仮想空間プラットフォーム「Horizon Worlds」。もう1つはVR/MRヘッドセット「Quest」シリーズである。両者とも当初の事業計画を大きく下回る結果に終わっている。

Wall Street Journalが2022年10月に入手した社内文書によると、Horizon Worldsの月間アクティブユーザー(MAU)は約20万人にとどまり、当初目標の50万人を大きく下回った。当初の目標値はさらに高く設定されており、年末までに50万MAU、その後100万MAU到達を目指していたが、現実はその4割程度しか達成できなかった。同記事は社員の内部メモを引用し「ユーザーは入っても、すぐに離脱する」「我々のメタバースは過疎地のような状態だ」と惨憺たる状況を伝えた。

更に深刻だったのは、Zuckerberg自身がアバターで投稿した記念写真の質である。2022年8月、彼が新たに公開したHorizon内のセルフィー画像は、まるで初期PlayStationのグラフィックのような質感で、SNSで大規模に嘲笑された。「数百億ドル投資してこのクオリティか」というネット上の反応は、メタバース事業全体への信頼を象徴的に毀損した。

ハードウェアの「Quest」シリーズも、計画通りには売れていない。調査会社IDCのデータでは、AR/VRヘッドセット市場全体が2022年から2023年にかけて前年比約24%減と縮小し、2024年もマイナス成長が続いた。Metaは市場シェアでは7〜8割を握る支配的存在だが、「市場そのものが伸びていない」という冷酷な現実に直面している。スマートフォンが10億台規模の市場に成長したのに対し、VR/ARは累計でも数千万台規模を脱却できていない。

2023年9月に発売されたミドルレンジ機「Quest 3」(499ドル)は比較的好調な滑り出しを見せたが、ホリデーシーズンの販売後は失速。2024年に発売された普及機「Quest 3S」(299ドル)は値下げ路線で台数を稼いだものの、収益性は更に悪化した。AppleのVision Pro(3499ドル)が話題性を集めるなか、市場全体が「キラーアプリ不在」「重い・高い・酔う」という根本課題を解消できないまま、踊り場で停滞している。

Zuckerbergが描いた「数年でVRが次のプラットフォームになる」というシナリオは、明確に外れた。VRが本当に普及するとしても、それは彼が宣言した「数年」ではなく「数十年」のタイムスケールである可能性が高い。投資のタイミングが早すぎたとも言える——あるいは、市場予測そのものが楽観的すぎたとも言える。

出典: Wall Street Journal「Company Documents Show Meta's Flagship Metaverse Falling Short」 / IDC「Worldwide AR/VR Headset Market Declined」 / The Verge「Mark Zuckerberg's Horizon Worlds selfie was rough」

5. AI路線への並行投資と株価復活——「失敗」の評価は途上

2022年末、世界の話題はメタバースから「生成AI」に急速にシフトした。OpenAIのChatGPT登場後、テック業界の関心はAIに集中し、メタバースは「2022年のバブル」として急速に過去のものになりつつあった。Metaにとって、これは戦略の大幅な修正を強いられる状況だった。

Metaはこの環境変化に対し、メタバースを諦めるのではなく「AIにも全力投資する」という二正面作戦に出た。2023年以降、自社開発の大規模言語モデル「Llama」シリーズをオープンソースで公開し、生成AI業界での存在感を急速に高めた。2024年にはGPU「NVIDIA H100」を35万枚規模で調達する計画を発表し、AI向け資本支出は年間数百億ドル規模に達する見込みとなっている。

結果として、Metaの本体(広告事業)は2023年から急回復を始めた。AIによる広告ターゲティングの精度向上、Reels(短尺動画)の収益化進展、リールでのAdvantage+広告の成功などにより、2023年通期売上高は1,349億ドル(前年比+16%)、2024年通期売上高は約1,645億ドル(同+22%)と急成長を回復した。株価も2022年の底値88ドルから2024年には700ドル超まで回復し、時価総額は2兆ドル目前まで戻った。

この株価復活が、メタバース失敗の「総合評価」を複雑にしている。本体事業の回復が圧倒的だったため、Reality Labsの巨額赤字が「許容できる範囲内」に見えてしまっているのだ。だが累計600億ドルを超える損失は厳然たる事実であり、Metaが今後10年以内にメタバースで黒字化できる保証はない。「広告事業の好調がなければ即座に経営危機だった」のは、振り返れば疑いようがない。

2024年の決算カンファレンスで、CFOのSusan Liはアナリストに対し「Reality Labsの営業損失は2025年も拡大する見込み」と明言した。撤退の兆候は依然としてゼロである。Zuckerbergは「メタバースは10年単位のプロジェクトであり、現在の損失は将来の覇権のための投資」というスタンスを崩していない。

この姿勢は2つの解釈が可能だ。1つは「世紀の長期投資の途中段階」という肯定的評価。Amazonが20年以上赤字を続けてEC覇権を握ったように、いずれメタバースが花開く可能性は否定できない。もう1つは「サンクコストに縛られた撤退できない経営者の典型」という否定的評価だ。歴史の判定はまだ下っていないが、現時点で「成功」とは到底評価できない状況にあることは確かである。

出典: Meta 2024年通期決算プレスリリース / Reuters「Meta to spend $35-$40 billion on AI infrastructure in 2024」 / Bloomberg「Meta CFO sees Reality Labs losses growing in 2025」

6. 中小企業への教訓 & この失敗を防ぐ補助金

Metaのメタバース投資は規模が天文学的すぎて中小企業には縁遠く感じられるかもしれない。しかし「将来の柱を作るための新規投資」という意思決定は、規模を問わず経営者が直面する普遍的な課題である。Metaの蹉跌から学べる教訓は、中小企業の事業転換投資にもそのまま当てはまる。

教訓1:「市場の到来時期」は経営者の希望ではなく顧客の準備度で決まる

Zuckerbergは「数年でVRが次のプラットフォームになる」と確信した。しかし2025年時点でVR/AR市場は依然としてニッチであり、彼の予測は明確に外れた。市場が立ち上がるタイミングを「自社の戦略カレンダー」で決めることはできない。顧客が「キラーアプリ」を見出し、「価格と価値のバランス」が成立し、「日常使いの習慣」が形成される——この3条件が揃わない限り、どれだけ供給側で投資をしても市場は立ち上がらない。中小企業でも、自社の見立てで「これから来る市場」を信じ込んで先行投資をした結果、待てど暮らせど顧客が来ないというパターンは多い。

教訓2:「本業のキャッシュフロー」が失敗を許容する余力を決める

Metaがメタバースに毎年100億ドルを溶かしても倒産しないのは、広告事業が年間1500億ドル規模の売上と巨額の利益を稼いでいるからだ。新規事業への投資余力は、本業の収益力と財務体力で上限が決まる。本業が弱体化しているなかで新規事業に大型投資すると、Metaのようには持ちこたえられない。中小企業の場合、「本業の年間利益の何割までを新規事業の年間損失として許容するか」を予め決めておくことが、暴走を防ぐ唯一の方法である。

教訓3:撤退基準を「投資前に」言語化しておく

Metaがメタバースから撤退しない理由の1つは、撤退基準が明確に設定されていなかったことにある。「ユーザー数が3年で◯人に達しない場合は撤退」「累積損失が◯億円を超えた段階で計画見直し」といった事前合意がなかったため、Zuckerbergは「もう少し続ければ花開くかもしれない」と判断し続けた。サンクコスト効果を防ぐ唯一の有効な方法は、投資判断の時点で「何が起きたら撤退するか」を文書化しておくことだ。事後に判断しようとすると、ほぼ確実に「撤退できない」状態に陥る。

教訓4:「次の柱」は1本に賭けず、複数のオプションを並走させる

皮肉なことに、Metaを救ったのはメタバースではなくAIだった。生成AIブームが起きたとき、Metaは既にAI研究投資を継続していたため、Llamaシリーズで一気に存在感を出すことができた。未来予測は当たらないものと割り切り、複数の方向に同時に種を蒔いておくことが、結果として企業を守る。中小企業でも、1つの新規事業に全リソースを投じるのではなく、規模の小さい複数の実証実験を並行させることが、現実的なリスク分散策となる。

新規事業・業態転換に活用できる主要な補助金

Metaの教訓を踏まえると、中小企業が「次の柱」を育てる際には、自己資金だけでなく補助金を活用してリスクを分散することが極めて重要だ。日本では中小企業の新規事業・業態転換を後押しする制度が複数用意されている。

制度名 補助上限・内容 活用場面
事業再構築補助金(後継:新事業進出補助金) 最大9,000万円(大幅賃上げ特例適用時) 既存事業から新分野・新市場への業態転換、新規事業立ち上げ
IT導入補助金 最大450万円 新規事業立ち上げに伴うクラウド・SaaS・AIツール導入
ものづくり補助金 最大1,250万円〜2,500万円 新サービス・新製品開発のための設備投資、試作開発
小規模事業者持続化補助金 最大200万円(特定枠) 新規顧客獲得・販路開拓のためのテストマーケティング

特に注目すべきは「事業再構築補助金(およびその後継となる新事業進出補助金)」「IT導入補助金」である。

事業再構築補助金は、既存事業から新分野へ大きく舵を切る企業を支援する制度で、補助率は中小企業の場合最大2/3、補助上限額は条件により最大9,000万円に達する。Metaのような「広告から仮想空間へ」という大規模な業態転換を中小規模で行う際の、設備投資・システム開発費・人件費の一部などをカバーできる。「自己資金だけで全リスクを負わない」というのが、Metaの暴走を防ぐ最も実践的なアプローチだ。

IT導入補助金は、新規事業を立ち上げる際のソフトウェア導入・クラウド利用料・AIツール導入などに使える。Metaの「AIへの並行投資が結果として本体を救った」という事例が示すように、規模の小さい実証実験を複数並走させる際に、IT導入補助金で初期コストを下げることができる。最大450万円という金額は大規模投資には不足するが、複数のサービスの小さな立ち上げに分散して活用することで、リスク分散型の新規事業ポートフォリオを組める。

新規事業の投資は「成功するかどうか」ではなく「失敗しても会社が潰れないかどうか」で設計するべきだ。Metaは時価総額2兆ドル規模の本体があったから600億ドルの損失を吸収できたが、中小企業は1回の判断ミスで存続が危うくなる。補助金を組み合わせて自己負担率を下げ、撤退基準を投資前に明文化しておく——これがメタバース失敗から学べる最も実用的な経営判断のパターンである。

出典: 中小企業庁 事業再構築補助金 / 中小企業庁 IT導入補助金 / 中小企業庁 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

まとめ:Metaのメタバース投資が教える「巨額投資×市場予測」の難しさ

  • 2021年10月、Facebookは社名を「Meta」へ変更し、メタバースに数百億ドル規模の投資を行うと宣言
  • メタバース事業を担うReality Labsは2021〜2024年の累計で営業損失約600億ドル超を計上
  • 主力プロダクト「Horizon Worlds」の月間アクティブユーザーは当初目標50万人を大きく下回る約20万人にとどまった
  • VR/ARヘッドセット市場全体が2022〜2024年に縮小し、「次のプラットフォーム」予測は明確に外れた
  • 2022年には株価が約88ドルまで暴落(時価総額の約7割が消失)したが、AI路線への並行投資で2024年には700ドル超まで回復
  • 教訓:市場予測は希望でなく顧客準備度で決まる・本業のキャッシュフローが失敗の許容量を決める・撤退基準を投資前に明文化・複数オプションの並走
  • 中小企業は事業再構築補助金(新事業進出補助金)・IT導入補助金を活用し、自己負担率を下げてリスク分散しながら新規事業を進めるべき

参考資料
Meta「Founder's Letter, 2021」(社名変更時のZuckerbergによるレター)
Meta 2021年通期決算プレスリリース
Meta 2024年通期決算プレスリリース
Wall Street Journal「Company Documents Show Meta's Flagship Metaverse Falling Short」
CNBC「Meta's Reality Labs posts $4.65 billion Q4 loss」
The Verge「Apple's privacy changes are costing Meta $10 billion this year」
Reuters「Meta to lay off another 10,000 workers」
Wikipedia「Meta Platforms」

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この記事を書いた人

松田信介
松田 信介 Shinsuke Matsuda

X-HACK Inc. 代表取締役 / PARKLoT CTO

Microsoft for Startups Founders Hub 採択

X-HACK Inc. 代表取締役。システムコンサルタントとして中小企業の基幹システム構築・業務設計に携わったのち、自ら起業。小規模ビジネスの立ち上げから黒字化までを複数回経験し、採用・資金調達・補助金申請の実務にも精通。「補助金さがすAI」の開発・運営を通じて、経営者が本当に必要とする情報を現場目線で発信しています。

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